サングブランド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/17 01:46 UTC 版)
サングブランド[注釈 1]またはタングブランド[注釈 2](古ノルド語: Þangbrandr[注釈 3])は、ノルウェーのオーラーヴ・トリュッグヴァソン王によって、アイスランドの住民をキリスト教に改宗させるべくその地に派遣された宣教師である。 『オーラヴ・トリュッグヴァソン王のサガ』第80章によると、サングブランドはオーラーヴ王の館にいたサクソン人の聖職者で、激しやすく手に負えない男でたいへんな殺人者であったが、優れた学者、賢い男であったという[1]。
注釈
- ^ 『サガの社会史』、『巫女の予言 エッダ詩校訂本』などにみられる表記。
- ^ 『サガとエッダの世界』、『北欧神話』(デイヴィッドソン)などにみられる表記。
- ^ 「Þangbrandr」は彼の名前の通常の語形である。しかし彼は、修道士テオドリクス (Theodoricus monachus) の『ノルウェー古代列王史』では「Theobrandus」、『植民の書』のソールズル本の版では「Þorbrandr」と呼ばれている。彼は、アイスランド語だけでなくノルウェー語による他のすべての情報源において「Þangbrandr」と呼ばれている。
- ^ ニャールのサガ「100 アイスランドにおけるサングブランドの布教」)で確認した表記[4]。
- ^ 時期は不明であるがサングブランドはノルウェーの他にフェーロー諸島でも布教を行っている[8]。
- ^ a b 『サガの社会史』にみられる表記。
- ^ a b 『サガとエッダの世界』にみられる表記。
- ^ シーグルズル・ノルダルによれば、オーラーヴ王の布教は大天使ミカエルに負わせるところが大きかった。王がノルウェーで開いたミカエル・ミサに、その地に滞在中のアイスランド人が参加することもあり、これがきっかけになりキリスト教に帰依した者もいた。アイスランドでミカエル・ミサをあげたサングブランドはハッルに、ミカエルが人の行いを好意的に判断し情も濃やかであると語り、そのためハッルは自身の守護天使にミカエルを選んだという[11]。
- ^ ノルダルはこの事について無理のない説明を提案した。すなわち、ヨークルフロイプ(en)を引き起こし得た火山活動とこの事を関連づけた[15]。
- ^ スノッリの『オーラヴ・トリュッグヴァソン王のサガ』および『オーラーヴ・トリュッグヴァソン王の大サガ』による。しかし『キリスト教徒のサガ』においては、彼らはサングブランドが外国人であったことを重視している。
出典
- ^ Laingによる英訳。
- ^ 『ニャールのサガ』。
- ^ a b c 『オーラーヴ・トリュッグヴァソン王の大サガ』。
- ^ a b 『アイスランド サガ』737頁。
- ^ 修道士テオドリクス (Theodoricus monachus) の『ノルウェー古代列王史 (Historia de Antiquitate Regum Norwagiensium)』(8).
- ^ 『キリスト教徒のサガ』、『オーラーヴ・トリュッグヴァソン王の大サガ』。
- ^ McDougall, 1998:66
- ^ 『サガの社会史』148頁。
- ^ 『サガとエッダの世界』79-83頁。
- ^ 『巫女の予言 エッダ詩校訂本』74頁。
- ^ 『巫女の予言 エッダ詩校訂本』74-75頁。
- ^ 『サガとエッダの世界』83-84頁、『巫女の予言 エッダ詩校訂本』75頁。
- ^ Byock, 2001:299.
- ^ 『サガの社会史』148頁。
- ^ "Þangbrandur á Mýrdalssandi". Festskrift til Finnur Jónsson 29. maj 1928. Copenhagen, 1928.
- ^ 『アイスランド サガ』738-739頁(ニャールのサガ「101 サングブランドが布教をすること。フロシとほかの者たちが洗礼をうける。サングブランドと魔法のヘジン」)。
- ^ 『アイスランド サガ』739-740頁(ニャールのサガ「102 グズレイヴが魔法のヘジンを殺すこと。病もちのソルヴァルドとウールヴ・ウガソン。ソルヴァルドが殺されること。ヒャルティは追放になる。ステイヌンとサングブランド」)。
- ^ 『北欧神話』(デイヴィッドソン)284-285頁。
- ^ 『アイスランド サガ』740-741頁(ニャールのサガ「102 グズレイヴが魔法のヘジンを殺すこと。病もちのソルヴァルドとウールヴ・ウガソン。ソルヴァルドが殺されること。ヒャルティは追放になる。ステイヌンとサングブランド」)。
- ^ 『アイスランド サガ』741-742頁(ニャールのサガ「103 サングブランドが一人のベルセルクを打ち負かすこと。彼の布教活動とノルウェーへの帰還」)
- ^ Laingによる英訳。
- 1 サングブランドとは
- 2 サングブランドの概要
- 3 参考文献
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