コシャン (バヤウト部)とは? わかりやすく解説

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コシャン (バヤウト部)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/25 09:05 UTC 版)

コシャンモンゴル語: Qošang、生没年不詳)は、モンゴル帝国に仕えた将軍の一人で、バヤウト部の出身。『元史』などの漢文史料における漢字表記は和尚

概要

コシャンの祖父のカラチャル(哈剌察児)はチンギス・カンに部下を率いて投降し、以後の家系は代々モンゴル帝国に仕えるようになった。コシャンの父のクドス(忽都思)は体力に優れ、 1232年壬辰)にはトルイの指揮下で三峰山の戦いに活躍し、この時の功績によってバアトル(勇士)の称号を与えられた。1235年乙未)には管軍百戸の地位を授けられ、クチュを総司令とする南未遠征に従軍して唐州鄧州潁州蔡州襄陽府郢州復州信陽軍光州の諸城の攻略に功績を挙げた。1255年乙卯)には鉄城寨の攻略に取り掛かったが、その中で陣没した[1]

クドスが亡くなると子のコシャンが跡を継ぎ、1259年己未)にはクビライに従って鄂州包囲に加わった。1262年(中統3年)には李璮の乱鎮圧に加わり、1268年(至元5年)からはアジュの指揮下で襄陽包囲に加わった。襄陽が陥落すると、1274年(至元11年)よりバヤンを総司令とする南宋全面侵攻が始まり、コシャンは柳子・魯洑・新灘・沌口といった地で南宋軍を破った。1275年(至元12年)にはエリク・カヤの指揮下に入って岳州を攻略し、江陵に至った。江陵では南宋の守将をコシャン自らが説得し、モンゴルに投降させたという。更に1276年(至元13年)には長期間に渡る包囲戦の末潭州を攻略し、城民を虐殺しようとした諸将を説得してやめさせている。潭州に対する寛大な処分を聞いた湖南一帯は続々とモンゴル軍に下り、この功績を聞いたクビライによってコシャンは行省のジャルグチに任じられた[2]

広西一帯が平定されると、以上の功績により常徳路ダルガチに任じられた。この頃、南宋遠征軍の重鎮であるエリク・カヤが自らの功績を誇って横暴な振る舞いをとっていることが問題になっており、コシャンはこれを弾劾している。その後、江南浙西道提刑按察使に転任になったが、浙西地域は南宋の旧都の臨安があるため問題の多い地域とみなされていた。しかしコシャンの在職中は大きな問題が起こることもなく統治は定まり、この在職中に49歳でコシャンは亡くなった。死後、その地位は息子の千家奴が継承した[3]

脚注

  1. ^ 『元史』巻134列伝21和尚伝,「和尚、玉耳別里伯牙吾台氏。祖哈剌察児、率所部帰太祖。父忽都思、膂力過人。歳壬辰、従睿宗破金大将合達軍于鈞州三峰山、以功賜号抜都魯。甲午、金亡。乙未、授管軍百戸、従攻宋唐・鄧・潁・蔡・襄陽・郢・復・信陽・光等州、屡立戦功。辛亥、賜名馬・文錦・白金・甲冑・弓矢。乙卯、従攻漢上鉄城寨、歿于軍、贈竭忠宣力功臣・資徳大夫・中書右丞・上護軍・兗国公、諡武愍」
  2. ^ 『元史』巻134列伝21和尚伝,「和尚襲父職。己未、従世祖攻鄂州。中統三年、李璮叛、従国兵討之、戦老僧口、斬獲甚衆、陞阿剌罕万戸府経歴。至元五年、攻襄陽、軍務繁劇、賛画一有方、都元帥阿朮薦其才可大用。十一年、従丞相伯顔渡江、与宋軍戦于柳子・魯洑・新灘・沌口、伯顔上其功、世祖嘉奨不已。十二年、従平章阿里海牙攻抜岳州、取沙市。至江陵、宋安撫使高達城守拒戦、和尚直抵城下、諭以禍福、達遂開門出降、以功陞行省郎中。従国兵囲潭州、潭守臣李芾堅守、攻之三月不下。十三年、城破、芾死。諸将利於虜略、欲屠其城、和尚宣言曰『拒我師者、宋将耳。其民何罪。既受其降、即是吾民、殺之何忍。且今列城多未附、降而殺之、是堅其效死之心也』。左丞崔斌曰『郎中言是』。平章阿里海牙意亦与合、遂従之。一城之人、頼以全活。由是湖南諸郡、聞風皆下。世祖聞之、賞賜加厚、改行省断事官。徇地広西、督前軍攻破静江、遂兼行宣撫事」
  3. ^ 『元史』巻134列伝21和尚伝,「広西平、授太中大夫・常徳路達魯花赤、以治最聞、擢嶺南広西道提刑按察使。時阿里海牙恃功頗驕恣、和尚劾奏不少貸。遷江南浙西道提刑按察使。浙西、宋故都、民衆事繁、在職惟務鎮静、人服其知大体。卒于官、年四十九。贈宣忠守正功臣・銀青栄禄大夫・司徒・上柱国、追封兗国公、諡荘粛。子千奴」

参考文献




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