キング・チャールズ・スパニエルとは? わかりやすく解説

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キング・チャールズ・スパニエル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/23 16:07 UTC 版)

キング・チャールズ・スパニエル
愛称 イングリッシュ・トイ・スパニエル (English Toy Spaniel)

トイ・スパニエル (Toi Spaniel)
チャーリーズ (Charles)
プリンス ・チャールズ・スパニエル (Prince Charles Spaniel)
ルビー・スパニエル (Ruby Spaniel)
ブレンハイム・スパニエル (Blenheim Spaniel)

原産地  イギリス
特徴
体重 8–14 lbs (3.6–6.4 kg)
体高 9–11 inches (23–28 cm)
毛色 キングチャールズ(黒と赤褐色)
プリンスチャールズ(白と黒と赤褐色の三色)
ブレンハイム(赤褐色と白)
ルビー(赤褐色)
出産数 5 匹
寿命 10-16 年
イヌ (Canis lupus familiaris)

キング・チャールズ・スパニエル: King Charles Spaniel)は、イギリスイングランド原産の愛玩用のスパニエル犬種である。犬種名はそのまま「国王チャールズのスパニエル犬」を意味している。別名はイングリッシュ・トイ・スパニエル: English Toy Spaniel

歴史

起源についてはスペインから輸入されたという説もあるが、小型のスパニエル自体は以前からイギリスに存在している[1]

イギリスのチャールズ2世は、小さなブラック・アンド・タンの毛色をした小さなスパニエルを飼育しており、そのスパニエルの評価は高かった[2]。王は熱心なブリーダーで、ハンプトン・コート宮殿では本種が走り回っていたとされる。サミュエル・ペピスの日記によれば、王の行く先々に供し、公務にも付き添ったとされる[1]。あまりにも熱愛していたことから側近から政務を怠けている嘆かれていた[2]

チャールズ2世に気に入られていたことから[1][3]、同じタイプの犬を国王に因んでキング・チャールズ・スパニエルと名付けられた[2][3]。そして次第に大陸から輸入されるようになり、一般的にも知られるようになった[2]

かつては鼻が尖っていたが[3]ヴィクトリア朝時代に入ると流行と気まぐれによって、小型化かつ顔が平坦なものとなった。この傾向は1920年代まで続いた[1]。その隆盛は長くは続かなかった。1920年代になると改造が進み過ぎて健康を害するようになった他、ブームも去り、いびきがうるさく一緒に寝ると熟睡できないなどの理由により[要出典]、愛好家からはマズルが長くハンサムで、サイズも大きめの姿に戻し、健康を取り戻すことが願われるようになった。その結果、ピーラムの姿が忠実に復元され、現在も人気がありよく知られたキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが誕生した。

キャバリア種とは別に平坦な顔の本種の人気が絶えることはなく、どちらも品種もザ・ケネルクラブの公認を受けている[1]

特徴

マズルはつぶれていて、目は小さめで離れた位置に付いている。その顔つきはよく東洋人の顔つき」と表現される。頭部は大きめでややずんぐりした体つきで、脚は細い。耳は垂れ耳、尾は垂れ尾でそれらには飾り毛がついている。コートはウエーブがかったロングコートで、毛色はブラック・アンド・タン、ブレンハイム、トライカラー、ルビーなど、キャバリアと同じものである。体高26〜31cm、体重3.6〜6.3kgの小型犬で、性格は飼い主家族によく甘え、陽気であるが見知らぬ人には無愛想である。子供にも寛容で、しつけの飲み込みも良い。運動量は少ないため散歩の時間も短めで済み、高齢者でも安心して飼育することが出来る。長毛種だが、寒さには弱いので冬季の健康管理には十分注意する必要がある。かかりやすい病気は熱中症や軟口蓋過長症、口蓋裂心臓病水頭症気管虚脱など。先にも述べたようにいびきが大きいため、その点は飼育する前から家族の了解を得ておく必要がある。

尚、キング・チャールズは個体によってマズルの長さに大きな差があり、パグなどのように完全につぶれているものや、つぶれておらずチワワのように短いもの、更にはキャバリアとほとんど同じ長さのマズルを持った犬も存在する。このため、マズルの長い個体は時としてキャバリアとして流通し、誤ってキャバリアの繁殖に使われてしまうといった事故も過去に起こっている。現在そのようなことはほとんど無いが、稀にこの影響でマズルが標準値よりも短いキャバリアが生まれることもある。

飼育状況

イギリスではかつて人気犬種であったが、2016年にドッグショーを主催するケネルクラブに登録された新生子は84匹で、英国原産種でありながら絶滅も危惧される状況となっている[4]

熱心な愛好家の間では愛玩犬種としてブリーディングが継続され続け、短吻種を好む愛犬家に親しまれ続けている。日本でも好き嫌いが分かれる犬種のためあまりメジャーではないが、数年に一度国内登録が行われている。国内でもブリーディングが行なわれていて、ブリーダーからの入手が可能である。

脚注

  1. ^ a b c d e デズモンド・モリス『デズモンド・モリスの犬種事典 : 1000種類を越える犬たちが勢揃いした究極の研究書』誠文堂新光社、2007年8月10日、409-410頁。ISBN 978-4-416-70729-6 
  2. ^ a b c d 大野淳一『世界の犬』プレス、1969年8月10日、476-477頁。doi:10.11501/12640221 
  3. ^ a b c 杉本正篤「第二章 犬の種類及び用途」『養犬大鑑』長隆舎、1911年5月25日、145頁。doi:10.11501/842149https://dl.ndl.go.jp/pid/842149/1/133 
  4. ^ “愛すべき英国原産種の犬に絶滅の危機?”. AFPBB News. (2017年3月23日). https://www.afpbb.com/articles/-/3122393?cx_tag=pc_sns&cx_position=7#cxrecs_s 2017年3月24日閲覧。 

参考文献

  • 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2010』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

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