キガフセル
- 忍ヒ入ル節、屎ノ上ニ草履ヲ裏向ケ載ルコトヲ云フ。〔第一類 言語及ヒ動作之部・和歌山県〕
- 窃盗の成就する呪を云ふ。夜更師が忍び入る際門口其他に脱糞をなし其上に草履を裏返しにして置く事を云ふ。かくすると番犬が来ても糞の臭気を嗅げば鼻先に附着して嗅覚を失ひて「わめかない」と云ふ。これは夜更師(ふけし)仲間では窃盗の成功する呪いともなつてゐる。又空巣狙ひでは脱糞をして其上に盥を伏せて置く事又は座敷の真中へ小便大便等をなす事、又甚しきに至つては飯櫃の中へ大便をなす等の事は空巣狙ひ仲間に於て窃盗の成功する呪ひとなつてゐる。空巣狙ひに於ては前の夜更師(ふけし)と違つて番犬除けより来たものでなく窃盗に入つて大便をしたり又は小便をしたりする様な心に余裕があれば、窃盗は必ず成功するものであると云ふ事より来たものである、飯櫃の中へ脱糞をする事は其家で喫飯をなして後する者が多い。蓋しかかる行為をなす者は初犯者には甚だ少く累犯者に多き事は自明の理である。
- 窃盗の成就する呪をいう。夜更師(ふけし)が忍入る際門口その他に脱糞をなしその上に草履を裏返しにしておくことをいう。そうすると番犬が来ても糞の臭気を嗅げば鼻先に附着して嗅覚を失って「わめかない」という。これは夜更師仲間では窃盗の成功する呪いともなっている。また空巣狙いでは脱糞をしてその上に盥を伏せて置くこと、又は座敷の真中へ小便などをすること。また甚しきに至っては飯櫃の中へ大便をする等のことは、空巣狙い仲間において窃盗の成功する呪いとなっている。空巣狙いの場合は前の夜更師と違って番犬除けより来たものではなく、窃盗に入って大便をしたり又は小便をしたりするような心に余裕があれば窃盗は必ず成功するものであるということより来たものである。飯櫃の中へ脱糞するものはその家で飯をくってから後でする者が多い。しかしこれは初犯者には少く累犯者に多いことはいうまでもない。
分類 和歌山県
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