オールラウンダー (自転車競技)とは? わかりやすく解説

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オールラウンダー (自転車競技)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/29 18:13 UTC 版)

自転車競技ロードレースにおけるオールラウンダーとは、山岳コース、タイムトライアルのいずれも 弱点なく、ステージレースやグランツールでエース格になるタイプの選手[1]

特徴

上り、平地、タイムトライアルのいずれにおいても平均以上の実力を持つ。一流選手ともなれば、クライマーと同等以上の登坂能力とタイムトライアルスペシャリストに匹敵する独走力を併せ持っていることもあるが、連続した超級山岳や長距離のタイムトライアルでは、特化型の選手には一歩劣る(あくまで山と平地を両立させた選手であるため)。

ステージレースにおいては、タイムトライアルと山岳ステージでほかの選手に差をつけ、平地のレースではステージ優勝争いをするスプリンターと同じ集団でゴールする(順位差はつくがタイム差はつかない)という戦い方が基本であるためスプリント能力は特に要求されない。ただしステージ順位上位3人にボーナスタイムが付くレースではスプリント力が総合成績争いにおいて武器になることもある。 ただ、代表格であるエディ・メルクスベルナール・イノーツール・ド・フランスにおいて総合優勝とスプリント賞を同時獲得したことがあり、またショーン・ケリーランス・アームストロングのようにスプリンターとしてデビューし、後にオールラウンダーに転向した選手もいることなどから分かるように、スプリントが全く出来ないわけではない選手もいる。しかし、ゴールスプリントでは混戦になる事が多いため、落車の危険や足に負担のかかるスプリントを避ける場合が多い(総合優勝を狙う選手はゴールスプリントになった場合、ステージ優勝を譲るという暗黙の了解があることも一因)。

レースでの役割

グランツールと呼ばれるツール・ド・フランスジロ・デ・イタリアブエルタ・ア・エスパーニャの三大レースを筆頭としたステージレースでは、エースとして総合優勝を狙うほか、山岳ステージやタイムトライアルステージでのステージ優勝も狙う。

ワンデイレースにおいては、リエージュ~バストーニュ~リエージュアムステルゴールドレースなどアップダウンの激しいコース設定がされたレースでエースを務める。

代表的な選手

2010年代以降の選手

  • アルベルト・コンタドール(スペイン)
    ツール・ド・フランス総合優勝2回 (2007, 2009)、ジロ・デ・イタリア総合優勝2回 (2008, 2015)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝3回 (2008, 2012, 2014)、ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝1回 (2014)、パリ〜ニース総合優勝2回 (2007, 2010)、イツリア・バスクカントリー総合優勝4回 (2008, 2009, 2014, 2016)
    UCIワールドランキングチャンピオン (2009)
    史上5人目の3大ツール制覇者。
    2010年ツール・ド・フランス、2011年ジロ・デ・イタリアの総合優勝はドーピング問題に関連して剥奪された。
    2017年引退。

過去の選手

  • グレッグ・レモン(アメリカ)
    • ツール・ド・フランス総合優勝3回 (1986, 1989, 1990)、世界選手権個人ロード優勝2回 (1983, 1989)。
  • ジーノ・バルタリ(イタリア)
    • ジロ・デ・イタリア総合優勝3回 (1936, 1937, 1946)、ツール・ド・フランス総合優勝2回 (1938, 1948)。
  • ファウスト・コッピ(イタリア)
    • ジロ・デ・イタリア総合優勝5回 (1940, 1947, 1949, 1952, 1953)、ツール・ド・フランス総合優勝2回 (1949, 1952)、世界選手権個人ロード優勝1回 (1953)、史上初のダブルツール達成者。
  • ミゲル・インドゥライン(スペイン)
    • ツール・ド・フランス5連覇 (1991-1995)、ジロ・デ・イタリア総合優勝2回 (1992, 1993)、史上唯一の2年連続ダブルツール達成者。
  • ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
    • ツール・ド・フランス総合優勝1回 (1997)、総合2位5回 (1996, 1998, 2000, 2001, 2003)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝1回 (1999)。
  • ジャック・アンクティル(フランス)
    • ツール・ド・フランス総合優勝5回 (1957, 1961-1964)、ジロ・デ・イタリア総合優勝2回 (1960-1964)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝1回 (1963)、史上初の3大ツール制覇者。
  • ベルナール・イノー(フランス)
    • ツール・ド・フランス総合優勝5回 (1978, 1979, 1981, 1982, 1985)、ジロ・デ・イタリア総合優勝3回 (1980, 1982, 1985)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝2回 (1978, 1983)、世界選手権個人ロード優勝1回 (1980)。
  • エディ・メルクス(ベルギー)
    • ツール・ド・フランス総合優勝5回 (1969-1972, 1974)、ジロ・デ・イタリア総合優勝5回 (1968, 1970, 1972-1974)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝1回 (1973)、世界選手権個人ロード優勝3回(1967, 1971, 1974)、史上最多の3度のダブルツール達成者、史上初のトリプルクラウン達成者。
  • ジャンニ・ブーニョ(イタリア)
    • ジロ・デ・イタリア総合優勝1回 (1990)、世界選手権個人ロード優勝2回 (1991, 1992)。
  • ステファン・ロシュ(アイルランド)
    • ジロ・デ・イタリア総合優勝1回 (1987)、ツール・ド・フランス総合優勝1回 (1987)、世界選手権個人ロード優勝1回 (1987)、史上2人目のトリプルクラウン達成者。
  • デニス・メンショフ(ロシア)
    • ジロ・デ・イタリア総合優勝1回 (2009)、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝2回 (2005, 2007)。
  • カデル・エヴァンス(オーストラリア)
    • ツール・ド・フランス総合優勝1回 (2011)、2007年UCIプロツアーチャンピオン。世界選手権個人ロード優勝1回 (2009)
  • アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)
    • ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝1回 (2006)
  • イヴァン・バッソ(イタリア)
    • ジロ・デ・イタリア総合優勝2回 (2006, 2010) 
  • リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)
  • アンドレアス・クレーデン(ドイツ)
  • ランス・アームストロング(アメリカ)
    • 世界選手権個人ロード優勝1回 (1993)。
  • サムエル・サンチェス(スペイン)
    • 北京オリンピック個人ロード優勝 (2008)

脚注

  1. ^ 『ciclissimo 2021 No.64 選手名鑑2021』八重洲出版、2021年、020頁。

関連項目


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