オーベルト‐こうか〔‐カウクワ〕【オーベルト効果】
オーベルト効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/22 04:36 UTC 版)
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宇宙工学において、パワードフライバイ(英: powered flyby)またはオーベルトマヌーバ(Oberth maneuver)は宇宙機が重力井戸に落ちている最中に加速する軌道マヌーバである[1]。これにより重力井戸の外で同一の力積を使って加速するよりも効率的に運動エネルギーを得ることができる。この効率化はオーベルト効果(オーベルトこうか、Oberth effect)、すなわち反動推進型エンジンは高速時に稼働させたほうが低速時に稼働させるより大きなエネルギー差を生み出せるということから説明される。実用的な用語でいうと、宇宙機が推進剤を噴射する際には軌道速度が(したがって運動エネルギーが)最大となる、できるかぎり低い近点で噴射するのが最もエネルギー効率が良いと表現できる[1]。いくつかの場合には、オーベルト効果の効率上の利点を最も生かせるのは宇宙機の減速を重力井戸の中で行うときである[1]。このマヌーバと効果は1927年にこれを初めて記述したヘルマン・オーベルトに名前をちなむ[2]。
宇宙機が近点付近にとどまるのは短時間にすぎないので、オーベルトマヌーバは可能な限り短い時間に可能な限り大きな推力を発揮することのできる宇宙機がもっとも効率的に行える。したがってオーベルトマヌーバは液体燃料ロケットなどの高推力ロケットエンジンなどを用いる場合に効果的で、イオンエンジンなどの加速に時間のかかる低推力推進装置を用いる場合はあまり効果的でない。低推力の場合も、長い離脱噴射を1回行うかわりに、何度も近点付近で噴射を行うことによりオーベルト効果を活かすことが可能である。オーベルト効果は多段ロケットのふるまいを理解するためにも応用できる。上段の推進剤のもつ総化学的エネルギーを大きく超える運動エネルギーを使うことが可能である[2]。
エネルギーの用語で表現すると、高速時は推進剤が化学的ポテンシャルエネルギーに加えて大きな運動エネルギーをもつためオーベルト効果がより効果を発揮する[2]:204。高速になればなるほど推進剤の速度変化(推進剤は後ろに噴射されるので減速)はより大きな運動エネルギー変化(減少)をもたらすようになり、そのぶん宇宙機は運動エネルギーをより多く得ることができる[2]:204。
運動エネルギーによる説明
運動エネルギーは1/2mv2に等しいので、同じ速度差分による運動エネルギー変化は低速での変化よりも高速での変化の方が大きい。たとえば、2 kgのロケットは、
- 始状態の速度が1 m/sのときは12 = 1 Jの運動エネルギーを持っている。速度を1 m/s増加させると運動エネルギーは22 = 4 Jとなり、3 Jの増加となる。
- 始状態の速度が10 m/sのときは102 = 100 Jの運動エネルギーを持っている。速度を1 m/s増加させると運動エネルギーは112 = 121 Jとなり、21 Jの増加となる。
運動エネルギーの変化が大きいということはロケットを重力井戸のより高い地点まで到達させられることを意味する。
仕事による説明
ロケットエンジンが発揮する推力は大気との相対速度には依存せず一定である。地上噴射試験時のように固定された物体にロケットエンジンを作用させた場合、推力は仕事をしない。ロケットの化学的エネルギーは排気の運動エネルギーおよび熱エネルギーに転換される。しかし、ロケットが移動している場合、力学的仕事の定義どおり推力に移動距離を乗じた分だけの仕事がなされる。ロケットの速度が大きければ大きいほどエンジンの燃焼中にロケットとペイロードが移動する距離もはたらく仕事も大きくなり、ロケットとペイロードが得る運動エネルギーも大きくなる。ロケットの速度が増加するにつれ、運動エネルギーはどんどんロケットとペイロード側で増加し、排気側は増加分がどんどん少なくなる。
これは下のように数式で書ける。ロケットにはたらく仕事(W)はエンジンの推力(F→)と燃焼中の変位(s→)とのドット積で定義される。
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