エスプランディアンの武勲とは? わかりやすく解説

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エスプランディアンの武勲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/29 15:11 UTC 版)

エスプランディアンの武勲
著者ガルシ・ロドリゲス・デ・モンタルボ英語版
スペイン
言語スペイン語
ジャンル騎士道物語
出版日1510年7月

エスプランディアンの武勲』(エスプランディアンのいさおし、Las Sergas de Esplandián)は、ガルシ・ロドリゲス・デ・モンタルボ英語版により15世紀後半から16世紀初頭に書かれた小説。15世紀に人気があった小説である『アマディス・デ・ガウラ』の続編である。この中で女王カラフィア英語版が統治するカリフォルニア島が描かれており、カリフォルニアという名の由来となった。

内容

エリサバッド親方によりギリシャ語で記された書物がコンスタンティノープルで発見された体をとっている[1]。『アマディス・デ・ガウラ』で描かれたアマディスの息子であるエスプランディアンの功績を描いている[2]

歴史

『アマディス・デ・ガウラ』は3巻からなっているが、モンタルボが第4巻(完全にモンタルボの自作と考えられる)を加えた[3]。この完成の後にモンタルボは続編である『エスプランディアンの武勲』を執筆した。『アマディス・デ・ガウラ』は先行する作者不詳の原典を改編・改訂したものであったが、『エスプランディアンの武勲』はモンタルボの独創により書かれたものである[4]

現存する最古の版は、1510年7月にセビリアで出版されたものである。それより前の版は、1496年にはセビリアで出版されたと考えられている。Ruth Putnamはモンタルボがこの小説を完成させたのは1492年以降であるが[5]イサベル女王が亡くなる1504年前だったと主張している[6]。モンタルボは1505年に死去したと考えられており[2]、作品のいくつかは死後に出版された[7]

評価

ミゲル・デ・セルバンテスは、『ドン・キホーテ』の第6章において、『アマディス・デ・ガウラ』をスペインで印刷された最初の騎士道本にしてこの分野の最高傑作であり騎士の模範として仰ぐべきだと評価し火に投げ込まれるのを防いでいるのに対し、『エスプランディアンの武勲』は焚きつけに使っており一蹴している[4]

カリフォルニア

スペイン帝国が新世界の探検を始めたころ、騎士道小説が人気となった。このような小説は真実、伝説、フィクションが混在していたが、それぞれの側面がどれに該当するかは明確ではなかった。探検家たちはこれらの小説をインスピレーションの源として用い、小説の著者は新たな探検の報告を物語を飾るために用いた[8]

『エスプランディアンの武勲』はカリフォルニアという架空の島を描いている[9]。この島は黒人女性のみ生活し、女王カラフィア英語版が統治し、インド諸島の東に位置する。エルナン・コルテスの指揮下にあるスペインの探検家は、西メキシコの沖合にアマゾーンの女性が統治すると噂の島があることを知り、カリフォルニアと名付けた。太平洋(当時は南太平洋(South Sea)と呼ばれていた)は、実際よりもずっと小さいと考えられていたため、モンタルボの小説で描写されているように、カリフォルニア島はインド諸島に東にあると考えられた。島が半島であることが判明するころには、カリフォルニアという名前はすでに採用されており、この「島」は最終的にバハ・カリフォルニア半島として知られるようになった。

本小説は1862年に注目され、Edward Everett Haleが本小説がカリフォルニアという名前の由来であると結論付けた。

日本語訳

  • 『エスプランディアンの武勲 ―続 アマディス・デ・ガウラ』岩根圀和彩流社 2020年

出典

  1. ^ 岩根 p.499
  2. ^ a b Garci Rodríguez de Montalvo”. La Real Academia de la Historia. Real Academia de la Historia. 20 July 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。26 July 2020閲覧。
  3. ^ Garci Rodríguez de Montalvo”. biografiasyvidas.com. Biografias y Vidas. 26 July 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。26 July 2020閲覧。
  4. ^ a b 岩根 p.500
  5. ^ Putnam, Ruth (1917-12-19). Stephens, Henry Morse; Bolton, Herbert Eugene. eds. Herbert I. Priestley. “California: The Name”. University of California Publications in History 4 (4): 313–314. https://books.google.com/books?id=d2Q-AQAAMAAJ&pg=PA313 2014年7月14日閲覧. "It seems a fair inference that Montalvo did not complete his own story of Esplandian's victories until after Columbus came back from his first voyage. Even if it appeared originally in 1496, the author would have had time to incorporate a fresh incident into his nearly finished 'copy.'" 
  6. ^ Putnam, Ruth (1917-12-19). Stephens, Henry Morse; Bolton, Herbert Eugene. eds. Herbert I. Priestley. “California: The Name”. University of California Publications in History 4 (4): 305. https://books.google.com/books?id=-Fs-AQAAMAAJ&pg=PA305 2014年7月14日閲覧. "The date [of Las sergas de Esplandián] is not fixed, but it was certainly before 1504 that it was completed. In his prologue, the author refers to the Catholic Sovereigns in a way to show that they were both still in life, and Isabella died in 1504." 
  7. ^ Garci Ordóñez de Montalvo”. kids.britannica.com. Encyclopædia Britannica, Inc.. 27 July 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。27 July 2020閲覧。
  8. ^ , Polk, Chapter 1.
  9. ^ Rodríguez de Montalvo, Garci (1526) (スペイン語). Las sergas de Esplandián [The Adventures of Esplandián]. https://books.google.com/books?id=ZWcBYnKWya0C&q=California. "Sabed que ala diestra mano de las Indias ouo una Isla llamada California mucho llegada ala parte del paraiso terrenal la qual sue poblada de mugeres negras sin que algun uaro entre ellas ouiesse: que casi como las amazonas …"  (The first mention of "California" occurs on the unnumbered page after page CVIII, in the right column.)

ビブリオグラフィ

  • Polk, Dora Beale (1995). The Island of California: A History of the Myth. Lincoln, Nebraska: University of Nebraska Press. ISBN 0803287410 



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