アズマット級ミサイル艇とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > アズマット級ミサイル艇の意味・解説 

アズマット級ミサイル艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/13 14:59 UTC 版)

アズマット級ミサイル艇
アズマット(1013)
基本情報
艦種 ミサイル艇
建造所
  • 新港造船廠(1番艇)[1][2]
  • Karachi Shipyard & Engineering Works(2番艇以降)[1][2]
運用者  パキスタン海軍[1][2]
就役期間 2012年[1] - 現役[2]
建造数 4隻[1][2]
要目
基準排水量 560 t[1][2]
満載排水量 673 t[2]
全長 63.0 m[1][2]
最大幅 8.8 m[1][2]
吃水 2.4 m[1]
主機 SEMT ピルスティクディーゼルエンジン×4基[2]
推進 スクリュープロペラ×4軸[1]
最大速力 30ノット[1][2]
航続距離 1,000海里(18ノット巡航時)[1][2]
乗員 15名[1][2]
兵装 #装備節を参照
レーダー
  • 347G(1)型 射撃指揮レーダー[1]
  • 360型 対水上捜索レーダー[1]
  • 航海レーダー[1]
電子戦
対抗手段
  • RIBAT ECM装置[2]
  • H/PJ-46 デコイ発射機×2基[2]
  • テンプレートを表示

    アズマット級ミサイル艇(アズマットきゅうミサイルてい、英語: Azmat-class missile boat)は、パキスタン海軍ミサイル艇の艦級[1]。2012年から2022年にかけて4隻が就役した[2]

    開発

    2010年後半に2隻が発注されたミサイル艇で、さらに2013年6月に3番艇、2014年6月には4番艇が発注が行われたが、後半2隻は搭載兵装が変更されている[1][2]。開発は中国のChina Shipbuilding and Offshore Company(CSOC)と新港造船所が共同で行い、建造は1番艇は新港造船所、2番艇以降は技術移転契約によりパキスタンのKarachi Shipyard & Engineering Worksで行われている[1][2][3]

    設計

    基準排水量は560トン、全長は63メートルで、設計は中国人民解放軍海軍紅箭型(037-II型)ミサイル艇をベースとしている[1][2]。鋼製の船体にアルミニウム製の上部構造物を組み合わせた構造で[1]、外形はステルス性を意識したような形状であるものの、ステルス性の有無についてはあるとする資料[3][4]とないとする資料[5]がある。乗員は15名[1][2]

    主機関にはSEMT ピルスティク製のディーゼルエンジン4基を搭載しており、スクリュープロペラ4軸で推進する[1][2]。最大速力は30ノット、航続距離は18ノット巡航時で1,000海里である[1][2]

    装備

    兵装

    アズマット(1013)のC-802A SSM

    主兵装の艦対艦ミサイルは1・2番艇(前期艇)と3・4番艇(後期艇)で異なり、前期艇ではC-802Aの4連装発射筒2基、後期艇ではC-602 Harbahの3連装発射機2基を搭載している[1][2][6]

    前期艇のC-802AはYJ-83の射程を延長した改良型輸出モデルで、120キロメートルの最大射程と165キログラムの弾頭を持つ亜音速の艦対艦ミサイルである[3]。一方、後期艇のC-602 Harbahは情報源ごとに記述が異なり混乱がみられるが、トマホークに相当する中国製巡航ミサイルがC-602であり、C-602のうち艦載型のパキスタン側名称がHarbahであるという[7]。パキスタン軍の公式発表では、このミサイルには対地攻撃能力もあるとされている[8]

    砲熕兵器に関しては、資料ごとの差異が大きい。艦上構造物の後端に中国製の630型もしくはその原型であるAK-630 30ミリCIWSを搭載している点では共通しているが[1][2]、艦首に搭載している機関砲に関しては、37ミリ連装機関砲だとするもの[1]、25ミリ機関砲だとするもの[3]、23ミリ機関砲だとするもの[5]、前期艇には76A式37ミリ連装機関砲1基、後期艇には25ミリ口径のアセルサン STOP 遠隔操作式機関砲塔が搭載されているとするもの[2]、前期艇が25ミリ連装機関砲で後期艇がSTOP 機関砲塔だとするもの[9]がある。

    このほか、敵ミサイルを妨害するためのH/PJ-46 デコイ発射機が2基搭載されている[2][3]

    電子装備

    レーダーとしては360型対水上捜索レーダーと347G(1)型射撃指揮レーダー、航海レーダーを装備している[1]。また、電子戦装備としてRIBAT ECM装置を搭載している[2]

    同型艦

    # 艦名 建造所 起工 進水 就役 備考
    1013[1] Azmat[1] 新港造船廠[1] 2011年
    3月1日[1]
    2011年
    9月21日[1]
    2012年
    6月21日[1]
    起工日を3月22日、進水日を9月20日、就役日を4月24日とする資料もある[2]。現役[2][6]
    1014[1] Dehshat[1] Karachi Shipyard & Engineering Works[2] 2011年
    10月28日[1]
    2012年
    8月16日[1]
    2014年
    6月13日[1]
    就役日を6月12日とする資料もある[2]。現役[2][6]
    1027[2] Himmat[2] 2015年
    8月11日[2]
    2016年
    9月17日[2]
    2017年
    7月28日[2]
    現役[2][6]
    1028[2] Haibat[2] 2017年
    3月30日[2]
    2019年
    11月27日[2]
    2022年
    3月31日[2]
    現役[2][6]

    脚注

    出典

    1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am Saunders 2015, p. 612.
    2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar Gogin 2025, p. 78.
    3. ^ a b c d e Azmat Class Fast Attack Craft (Missile)”. naval-technology.com (2016年5月16日). 2025年11月11日閲覧。
    4. ^ Projects”. karachishipyard.com.pk. 2025年11月12日閲覧。
    5. ^ a b Azmat Class Pakistani Fast Attack Craft”. odin.tradoc.army.mil. アメリカ陸軍 (2024年4月11日). 2025年11月12日閲覧。
    6. ^ a b c d e IISS 2025, p. 288.
    7. ^ Pakistan Cruise Missiles”. globalsecurity.org. 2025年11月12日閲覧。
    8. ^ Ridzwan Rahmat (2019年4月24日). “Pakistan Navy flexes land attack capabilities in Arabian Sea”. janes.com. 2025年11月12日閲覧。
    9. ^ Bilal Khan (2017年7月30日). “Pakistan commissions third Azmat-class missile boat – PNS Himmat”. quwa.org. 2025年11月12日閲覧。

    参考文献

    関連項目




    英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
    英語⇒日本語日本語⇒英語
      
    •  アズマット級ミサイル艇のページへのリンク

    辞書ショートカット

    すべての辞書の索引

    「アズマット級ミサイル艇」の関連用語

    アズマット級ミサイル艇のお隣キーワード
    検索ランキング

       

    英語⇒日本語
    日本語⇒英語
       



    アズマット級ミサイル艇のページの著作権
    Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

       
    ウィキペディアウィキペディア
    All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
    この記事は、ウィキペディアのアズマット級ミサイル艇 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

    ©2025 GRAS Group, Inc.RSS