わたのまち、応答セヨ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 09:32 UTC 版)
わたのまち、応答セヨ | |
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監督 | 岩間玄 |
原案 | 土屋敏男(企画・プロデューサー) |
ナレーター | 岸井ゆきの |
撮影 | 岩間玄 |
編集 | 岩間玄 |
配給 | 鈴正、JAYMEN TOKYO |
公開 | 2025年5月2日 |
上映時間 | 99分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 日本語 |
『わたのまち、応答セヨ』(わたのまち、おうとうせよ)は、2025年公開の日本のドキュメンタリー映画作品である。
あらすじ
本作の舞台となる愛知県蒲郡市を含む三河地方は古くからの「三河木綿」の産地で、『類聚国史』や『日本後紀』によると799年(延暦18年)頃に幡豆郡福地村[注釈 1]に漂着した崑崙人[注釈 2]が日本に綿を伝えた始まりと考えられている[1]。戦後はガチャンと織機を動かせば万単位の儲けが出る「ガチャマン景気」で活況を呈したが、安価な外国製品の流入などの要因により[2]、蒲郡市内の繊維産業の事業所数は1989年から2019年までの30年間でおよそ6分の1に減少するほど衰退が進んでいる[3]。
蒲郡市役所は、映像監督の岩間玄とテレビプロデューサーの土屋敏男に、プロモーション映画の制作を依頼した。土屋は市に対し、一切の口出しをしないことを条件に引き受け[4]、制作費は蒲郡市と、豊田市のケーブルテレビ局ひまわりネットワークをはじめとする民間企業が折半出資した[5]。
蒲郡を訪れた岩間が目にしたものは、織機の音が鳴り響くこともない、諦めの空気感が漂う光景であった[6]。地元の繊維業者らからは「余計なことをしないでくれ」と反感を買い、「ここに描くべき希望があるのか」と苦悩する中、1964年に蒲郡に移り住み、当地で綿花を育て三河木綿を織る80歳のテキスタイルデザイナーの鈴木敏泰と知り合う[7]。当初は岩間に対して懐疑的であった鈴木だが、「君たち(制作陣)が本気なら僕も本気を出す。このままで終わりたくない」と強い意志を示す[2]。 三河木綿復刻プロジェクトを牽引する繊維商社森菊の石川雅祥、東京表参道で三河木綿を販売するファッションデザイナーの小田順子、イギリスに人脈を持つコスチュームデザイナーのタニ・クミコ、地元企業の若手として奮闘する岡田理沙らもキーパーソンとして登場する[2][5]。鈴木らによる新たな挑戦で作り出された三河木綿の作品は東京ガールズコレクション、さらに海を越えてロンドンデザインフェスティバルに出品され、賞賛を受けたのであった[8]。
『進め!電波少年』を生み出した土屋が手掛けた本作には、もう一つのエピローグが用意されていた[9]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “三河木綿の歴史”. 三河織物工業協同組合. 2025年6月20日閲覧。
- ^ a b c 中野香織 (2025年3月28日). “かつて日本一の繊維の街だった愛知県蒲郡市の今、撮り手と撮られ手が共鳴しあい生まれた、奇跡のドキュメンタリー”. JBpress. 2025年6月21日閲覧。
- ^ “伝統工芸品の衰退で「地域の個性や記憶の喪失」 サブスクやレンタルなどの取り組みで後世へ継承する試みも”. テレビ愛知. (2025年5月23日) 2025年6月21日閲覧。
- ^ 堀井憲一郎 (2025年5月10日). “さすが「電波少年」の土屋敏男…!プロデュースした映画『わたのまち、応答セヨ』に潜んでいた《悪魔のような企み》”. 現代ビジネス. p. 1. 2025年6月21日閲覧。
- ^ a b 大宮冬洋 (2025年5月13日). “ヤラセか、「神の導き」か。ドキュメンタリー映画『わたのまち、応答セヨ』の際どい魅力”. Yahoo!ニュース. オリジナルの2025年5月17日時点におけるアーカイブ。 2025年6月22日閲覧。
- ^ “わたを紡いで蒲郡からロンドンへ 映画が奇跡を起こすエンタメドキュメンタリー 映画『わたのまち、応答セヨ』”. otocoto (2025年2月27日). 2025年6月21日閲覧。
- ^ 森田健司 (2025年5月2日). “『わたのまち、応答セヨ』100分の1まで衰退した三河木綿の復活プロジェクトは「逆境」と「奇跡」の物語だった”. 日刊ゲンダイDigital. p. 2. 2025年6月21日閲覧。
- ^ “さすが「電波少年」の土屋敏男…!プロデュースした映画『わたのまち、応答セヨ』に潜んでいた《悪魔のような企み》”. 現代ビジネス. p. 2 (2025年5月10日). 2025年6月21日閲覧。
- ^ “『わたのまち、応答セヨ』100分の1まで衰退した三河木綿の復活プロジェクトは「逆境」と「奇跡」の物語だった”. 日刊ゲンダイDigital (2025年5月2日). 2025年6月21日閲覧。
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- わたのまち、応答セヨ (@watanomachi) - X(旧Twitter)
- わたのまち、応答セヨのページへのリンク