とんぼ連れて味方あつまる山の国
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 夏 |
出 典 | 絵本の空 |
前 書 | |
評 言 | 阿部完市の俳句としては珍しく分かりやすい俳句といえようか。 蜻蛉(とんぼ)、味方、山の国という言葉のつながりは、中年以降の男性にとっては、戦争ごっこ、野球遊びなど容易に幼児体験がよみがえってくる。そう考えると逆に完市俳句としては、物足らなくなってくるから不思議だ。 幼児にとっては仲間といっても、それはなぜか、正義の味方と悪の敵に分かれていた。その味方にとんぼも加勢しているかのように集まってくるのだ。かつては空を覆いつくすように、とんぼも飛んでいた。子供も多かった。男の子だけではなく、女の子も元気が良かった。「とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな」(中村汀女)も蜻蛉の身近さがあればこその句。 季語は「とんぼ」。従来の歳時記では「秋」となっていたが、もともと夏休みに親しいもの。その生育状況からしても夏にこそふさわしい。最新の「現代俳句歳時記」(現代俳句協会)、「新版俳句歳時記」(雄山閣)にも夏に分類されている。なお「赤蜻蛉」は「秋茜」ともいわれるように秋季。 |
評 者 | |
備 考 |
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