いんきんたむし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/01 16:32 UTC 版)
いんきんたむし | |
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別称 | 鼠径部白癬[1]、頑癬[1]、股間部の痒み、crotch rot、dhobi itch、gym itch、股部白癬、jock rot、scrot rot[2][3] |
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いんきんたむしの症例[4] | |
概要 | |
診療科 | 皮膚科 |
症状 | 鼠径部の痒みとの発赤[5] |
継続期間 | 長期間[1] |
原因 | 皮膚糸状菌[6] |
危険因子 | 過度な発汗、タイトな格闘技などの服装、接触スポーツ、糖尿病、貧困[6] |
診断法 | 顕微鏡検査、培養[4] |
鑑別 | カンジダ性間擦疹、紅斑、逆性乾癬、脂漏性皮膚炎[4] |
予防 | 他の真菌感染症の治療、股間を乾燥させる、タイトな衣服を避ける、肥満の場合は体重を減らす[7] |
使用する医薬品 | 抗真菌薬[1] |
頻度 | 一般的[5] |
分類および外部参照情報 |
いんきんたむし(Tinea cruris)または、股部白癬(こぶはくせん、jock itch)は、真菌症の一種であり鼠蹊部の皮膚に生じる[3][6]。症状は、痒み、発赤、曲線状に明確な輪郭が盛り上がった状態の発疹と鱗片状である[1][5]。最も一般的に太股の上部内側に発症する[5]。
原因は、皮膚糸状菌で知られている一群の真菌によって引き起こされる[6]。危険因子には、過度の発汗、サイズのきつい戦闘服、接触スポーツ、糖尿病、貧困な環境によるものなどがあげられる。水虫、爪白癬、感染したタオルや衣類の使用、などから鼠径部に広がることがある[1][5]。診断は、顕微鏡検査または皮膚の掻爬物の培養によって確認される[4]。同様の症状には、カンジタ性間擦症、紅班、逆乾癬、脂漏性湿疹、などがあげられる。いんきんたむしは白癬の一種であり、特に紅色白癬菌を原因菌とするのが多い[6]。
治療には、一般的に抗真菌クリームが用いられ、特に症状が発症してからすぐに使用した場合は効果的である[1]。さらに深刻な症状に使用される抗真菌薬には、テルビナフィンなどが経口投与される。ステロイドクリームは症状の改善を早める可能性がある[4]。再発の予防には、他の真菌感染症の治療、高湿を避け鼠径部を乾燥した状態にする、きつい服装を避ける、肥満の場合は体重を減らすこと、などがあげられる[7]。
いんきんたむしは一般的にみられる疾患である[5]。女性より男性に多くみられ、高温多湿の気候により一般的に発生する[6]。子供の罹患はまれである。たむしは、西暦30年にアウルス・コルネリウス・ケルススによって初めて説明された[8]。
出典
- ^ a b c d e f g Hay, Roderick J.; Morris-Jones, Rachel; Bleiker, Tanya O. (2016). “32. Fungal Infections”. In Griffiths, Christopher. Rook's Textbook of Dermatology, 4 Volume Set. John Wiley & Sons. p. 47. ISBN 978-1-118-44119-0. オリジナルの2021-08-29時点におけるアーカイブ。 2020年11月15日閲覧。
- ^ Rapini, R. P.; Bolognia, J. L.; Jorizzo, J. L. (2007). Dermatology. St. Louis: Mosby. ISBN 978-1-4160-2999-1
- ^ a b James, William D.; Elston, Dirk; Treat, James R.; Rosenbach, Misha A.; Neuhaus, Isaac (2020). “15. Diseases resulting from fungi and yeasts” (英語). Andrews' Diseases of the Skin: Clinical Dermatology (13th ed.). Elsevier. p. 297. ISBN 978-0-323-54753-6. オリジナルの2023-04-19時点におけるアーカイブ。 2023年4月19日閲覧。
- ^ a b c d e “Tinea cruris | DermNet NZ”. dermnetnz.org (2003年). 2020年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月15日閲覧。
- ^ a b c d e f Libby Edwards; Peter J. Lynch (2010). Genital Dermatology Atlas. Lippincott Williams & Wilkins. p. 67. ISBN 978-1-60831-079-1. オリジナルの2021-08-29時点におけるアーカイブ。 2020年11月13日閲覧。
- ^ a b c d e f Pippin, MM; Madden, ML (January 2020). Tinea Cruris. PMID 32119489.
- ^ a b Wiederkehr, Michael (11 September 2020). “Tinea Cruris”. Medscape. オリジナルの23 July 2017時点におけるアーカイブ。 2020年12月1日閲覧。.
- ^ Cox, Rebecca A. (1989) (英語). Immunology of the Fungal Diseases. CRC Press. p. PR5-IA1. ISBN 978-1-000-14184-9. オリジナルの2021-08-29時点におけるアーカイブ。 2020年12月1日閲覧。
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