あざけりを浴びるごと昼冴返る
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春 |
出 典 |
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前 書 |
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評 言 |
成田千空は、青森県西津軽の五所川原に住んでいる。 そこは成田にとって父祖伝来の地でもある。彼の原風景にある西津軽野では、二米にも達するアシガヤがはびこり、冬のあいだじゅう北西風が野面を吹き鳴らしていたという。成田はこの厳しい自然の中に生きる人間の内面を、その風土感もろとも深く鋭く捉えてきた。 この句は、厳しくも長い冬を、うずくまるようにして生きてきた人々に、嘲りを浴びせるような昼間の冴え返る寒気、それもアシガヤの容赦なく吹き鳴らす音とともに襲いかかるさまを活写している。 成田には他に、「鞭からみ鳴る葦原は没り日の巣」「葦折れず氷面(ひも)解けがたし父祖の野は」という佳吟がある。 ともに北国のきびしくも未開な自然を、したたかに受けとめて生きる人々の精神風土として捉え返している。 |
評 者 |
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備 考 |
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