Technics SL-1200
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 13:49 UTC 版)
歴史
SL-1200(SLのSはステレオ事業部、Lはプレーヤーを意味している)が最初に登場したのは1972年である。1970年代の同社ダイレクトドライブレコードプレーヤーは「SL-1XXX」という型式名で商品展開をしており(各型式名は機能により規則性があった)、当初のSL-1200はその商品群の中のひとつであった。
初代はクオーツシンセサイザーがまだ搭載されておらず、時間が経つと回転速度のブレが生じるため、ピッチコントローラーが搭載されたのはその回転速度を調節するのが目的だった[4]。その後開発者たちが初代モデルを使っているDJ達を目撃し、大きな指で小さなつまみを操作していた様子から「スライドさせたほうが、よりダイナミックなプレイができるのではないか」として、MK2からスライダータイプに変更された[4]。また初代はインシュレーターも非搭載だったためハウリングが起きやすかったが、MK2からインシュレーターに加えて筐体内部にもゴムを入れることで、下からの振動を極力ピックアップに伝えないようにした[4]。
当時の開発部長がアメリカ合衆国のクラブDJに意見聴取に赴きSL-1200の不具合箇所は無いか尋ねると「このままで良い、これ以上触って欲しくない。」と言う回答を得た[5]。このためMK2以降は主な外観や、主要装備は変わっていない。電圧の異なるヨーロッパ向けには220/240V切替が可能な「SL-1210」が発売されているが、SL-1210についてはSL-1200MK2相当のものが長期にわたって生産された[1](ただしMK5・MK5Gについては欧州モデルも存在する)。また北米向けにもMK2が販売終了まで生産されていたため、北米でMK3以降の製品は(中古品も含め)ほとんど出回っていないという[1]。
なおMK3D・MK5・MK6・MK7の各シリーズは、DJ操作性を高める目的からダストカバーにヒンジ(蝶番)が付いていない。さらに演奏中のカートリッジを照らして高級感を演出するLEDスポットライト「スタイラスイルミネーター」も搭載されている(イルミネーター横のボタンを押せばスポットライト部が上がりランプが点灯。収納する場合はライト部の先端を押し込む。MK4以前のシリーズは白熱電球、MK5のシリーズは黄色LED、MK5G・GLD・MK6シリーズは青色LED、GAE・G・GR・MK7シリーズは白色LED採用)。
MK3からMK6までのシリーズは「Technics」ロゴが描かれたターンテーブルシートと透明ビニールシートが付属されており、これらを敷いた上にレコード盤を載せるとDJプレイ時に滑らかなスリップ感が得られる(但し通常のレコード再生時にこれらシートを敷くとレコード盤が正常に回転しない場合あり)。なおDJプレイ時はテクニクス純正DJカートリッジ「EPC-U1200」を用いるよう推奨されている[要出典](DJプレイ非対応カートリッジは針先の寿命を縮めレコード盤を痛めるので「EPC-U1200」以外のカートリッジはテクニクス・パナソニック製であってもDJプレイ使用不可)。
2010年に「Technics」ブランド自体が一旦消滅したため、それに伴い販売を終了したが、2016年3月に限定モデル「SL-1200GAE」を発表して販売を再開。4月には一般向けモデルである「SL-1200G」を発表し、本格的に復活を果たした[6]。
- ^ a b c 「SL-1200インタビュー」 - OTAI RECORD
- ^ グランドクラス ダイレクトドライブターンテーブルシステム SL-1200GR2
- ^ 復活Technicsターンテーブルの標準モデル「SL-1200G」。33万円 - AV Watch・2016年4月27日
- ^ a b c SL-1200Mk6 開発者インタビュー
- ^ パナソニック - 「SL-1200」のあゆみ
- ^ 【DJ通信】Technics EPC-U1200K用交換針について - 島村楽器・2011年8月17日
- ^ テクニクスの名アナログレコードプレーヤーを復活 - ascii.jp・2016年1月7日
- ^ Technics、50周年記念の特別カラー・ターンテーブル「SL-1200GAE-K - AV Watch・2021年9月16日
- ^ 1字違いでお値段半分!? テクニクスのアナログターンテーブル「SL-1200GR」は何が変わった? - ITmedia・2017年3月22日
- ^ Technics、DJターンテーブル11年振りの新機種。「SL-1200MK7」約9万円 - AV Watch・2019年3月14日
- ^ Technics、10万円のHi-Fi入門レコードプレーヤー「SL-1500C」 - AV Watch・2019年5月13日
- ^ テクニクス、エントリークラスのアナログプレーヤー「SL-100C」海外発表 - PHILE WEB・2021年4月22日
- ^ テクニクス、DJ用ターンテーブル「SL-1200」シリーズが50周年--7色の記念モデルを発表 - CNET Japan・2022年4月7日
- ^ Supreme/Technics SL-1200MK7が秋冬コレクションWEEK17に登場。マニア垂涎のコラボアイテム - DISCPICK・2023年12月11日
- ^ Technics、新開発ΔΣドライブ搭載レコードプレーヤー「SL-1200GR2」 - AV Watch・2023年9月29日
- ^ Pioneerから約4万円のDD方式ターンテーブルPLX-500。USB端子搭載でアナログ盤のデジタル化にも対応 - engadget日本版・2016年8月4日
- ^ Technicsのアナログターンテーブルが復活。新「SL-1200」シリーズを発表 - clubberia・2016年1月6日
- ^ ローランド初のターンテーブル「TT-99」。'83年のTR-909モチーフで500台限定 - AV Watch・2016年9月13日
固有名詞の分類
音響機器 |
デジタル音響システム ICレコーダー Technics SL-1200 LMD-649 コンポーネントステレオ |
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