Google Native Client Google Native Clientの概要

Google Native Client

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/09 00:36 UTC 版)

Google Native Client
開発元 Google
最新版
Pepper 45 / 2015年6月10日 (8年前) (2015-06-10)
リポジトリ
プログラミング
言語
C++
対応OS Microsoft Windows, macOS, Linux, Chrome OS, Android
サポート状況 終了
種別 ネイティブコードを安全に、しかし効率的に実行することを目標としたサンドボックスフレームワーク
ライセンス BSDライセンス
公式サイト developers.google.com/native-client/
テンプレートを表示

WebAssemblyの普及に伴いそちらにリソースを集中するため開発を終了し、2019年にChromeから削除されることを発表[1]。2023年に削除された[2]

概要

NaCl、PNaClともx86ARMに対応したものが公開されている。ウェブブラウザ上のウェブアプリケーションをネイティブアプリケーションに近い速度[3]で実行することなどを主な目標とした、安全にネイティブコードを実行できるシステムである。PC版およびChrome OSGoogle Chrome 14からはChromeウェブストアで配布されているアプリケーションを実行する場合に限りデフォルトで有効になっており、それ以外の場合はchrome://flags/で有効にする必要がある[3][4]Google Chrome 29からPNaClが導入され、Google Chrome 31(デスクトップ版のみ)からは、PNaCl がデフォルトで有効になっており、NaClとは異なりAdobe FlashのようにChromeウェブストア以外の一般のウェブページ内に埋め込みでも使用できる[5]

NaClのARMへの実装は、2010年3月にリリースされた[6]x86-64もサポートされている。しかし、NaClはCPU依存であり、それぞれホストの命令セットへコンパイルされたバイナリしか使用できない。Portable Native Client (PNaCl) では、LLVM中間言語コードを採用することでこの問題を解決しており、CPU非依存でアプリケーションを動作させられる[7]。PNaCl向けに書かれたアプリケーションをEmscriptenを使い、汎用のJavaScriptとして動作させるための、pepper.js英語版もGoogleは開発している。

標準CライブラリとしてNewlibを使用しているが、NaClはポートされたGNU Cライブラリ(glibc)も使用可能である[8]。今のところ、PNaClはglibcは未対応。標準CライブラリではPOSIXスレッドも使用可能であるが[9]、プロセスはサポートしていない。

Google Chrome 14 (release 0.5) から、Native Clientは安定版のABIを持っていて、将来のバージョンでの上位互換性を保証している[10]。同様に、PNaClの方はGoogle Chrome 31以降、上位互換性を保証している[11]

NaCl、PNaClはGoogleによってオープンソースプロジェクト(BSDスタイルのライセンス)として開発が進められていた[12]

サンドボックス

NaClはARMとx86-64でのサンドボックス化のため、ソフトウェアによるフォールト分離を利用している[13]。x86-32での実装は、サンドボックスのメモリ空間を規制するなど一部用途以外ではx86のセグメンテーション機能を用いない[14]。システムコールの呼び出しなどの危険な命令の実行を防ぐためには、コード検証機を利用する。また、安全な命令の中に隠された危険な命令へジャンプすることを防ぐため、Native Clientでのインダイレクトジャンプは32バイトブロックの先頭へのみ許されるほか、ジャンプ先ブロックが不定なジャンプは許可されない[14]。これらの制約のため、C言語で書かれたプログラムは Native Client 上で動作するためにはカスタマイズされたGNU toolchain、特にgccbinutilsで再コンパイルすることが必要になる。


  1. ^ WebAssembly Migration Guide (P)NaCl Deprecation Announcements
  2. ^ 株式会社インプレス (2023年11月1日). “「Google Chrome 119」が正式公開 ~Android版は「Android 7.0 Nougat」対応を終了/セキュリティ関連の修正は全15件”. 窓の杜. 2023年11月9日閲覧。
  3. ^ a b Native Client: A Technology for Running Native Code on the Web
  4. ^ How to Test-Run Web Applications
  5. ^ Chrome 31 Beta: Android Application Shortcuts, requestAutocomplete(), and PNaCl
  6. ^ Google's Native Client goes ARM and beyond”. The H (2010年3月18日). 2010年5月19日閲覧。
  7. ^ PNaCl: Portable Native Client Executables
  8. ^ NativeClient: Plash Wiki
  9. ^ a b c Native Client Technical Overview
  10. ^ Official NaCl Release Notes
  11. ^ Stability of the PNaCl bitcode ABI
  12. ^ Google Native Client on Google Code
  13. ^ David Sehr, Robert Muth, Cliff L. Biffle, Victor Khimenko, Egor Pasko, Bennet Yee, Karl Schimpf, Brad Chen (2010年). “Adapting Software Fault Isolation to Contemporary CPU Architectures”. 19th USENIX Security Symposium. 2011年7月31日閲覧。
  14. ^ a b Bennet Yee, David Sehr, Greg Dardyk, Brad Chen, Robert Muth, Tavis Ormandy, Shiki Okasaka, Neha Narula, Nicholas Fullagar (2009年). “Native Client: A Sandbox for Portable, Untrusted x86 Native Code”. IEEE Symposium on Security and Privacy (Oakland'09). 2011年7月31日閲覧。
  15. ^ JavaScript founder dismisses Google Native Client, pushes ECMAScript 6
  16. ^ Mozilla: Our browser will not run native code


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