007/私を愛したスパイ 007/私を愛したスパイの概要

007/私を愛したスパイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 02:25 UTC 版)

007/私を愛したスパイ
The Spy Who Loved Me
監督 ルイス・ギルバート
脚本 クリストファー・ウッド
リチャード・メイボーム
原作 イアン・フレミング
製作 アルバート・R・ブロッコリ
出演者 ロジャー・ムーア
バーバラ・バック
クルト・ユルゲンス
リチャード・キール
キャロライン・マンロー
バーナード・リー
デスモンド・リュウェリン
ロイス・マクスウェル
ジョフリー・キーン英語版
音楽 マーヴィン・ハムリッシュ
撮影 クロード・ルノワール
編集 ジョン・グレン
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 1977年7月7日
1977年7月13日
1977年12月10日
上映時間 125分
製作国 イギリス
アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $14,000,000[1]
興行収入 $185,400,000[1]
$20,672
$46,800,000
配給収入 31億5000万円[2]
前作 007/黄金銃を持つ男
次作 007/ムーンレイカー
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概要

本作はシリーズ開始15周年と10作目というメモリアルな作品であり、3度目の登板となったロジャー・ムーアの一番のお気に入りでもある。しかし、15周年記念というのはあくまでも結果論で、それまでは毎年、或いは一年おきに制作されたシリーズに初めて3年のブランクが発生した。

理由は複数あり、共同プロデューサー、ハリー・サルツマンの無断離脱(彼のイオン・プロの持ち株はブロッコリに無断でユナイテッド・アーティスツ(UA)に譲渡された)、ショーン・コネリーとケヴィン・マクローリーによる『サンダーボール作戦』のリメイク訴訟、前作『黄金銃を持つ男』の興行不振を理由にUAがムーアの降板を要求(元々UAはムーア起用に反対だったが、前作の失敗により、上層部からのムーア降板の声が更に高まった)、あらゆる意味でシリーズ初の完全オリジナルストーリーの構築。ブロッコリはこれらの障壁を乗り越えて完成にこぎつけた。

内容は秘密兵器とアクションを大掛かりにした、スペクタクル・アドベンチャーとしての魅力を全面に押し出したものとなった。第5作『007は二度死ぬ』の監督は本作の監督であるルイス・ギルバートであることから、敵の機材が米ソの宇宙船(本作では潜水艦)より大きく、吸収するような奪い方、両国を互いに疑心暗鬼へ追い込む、敵の首魁の基地内にプールがあり、人を襲う生物を棲まわせている、首魁のボディガードがボンドを上回る大男など、本作の設定に第5作『007は二度死ぬ』と類似性が表れている。とはいうものの、過去9作以上にヒットを飛ばし、ブロッコリの手腕と本格的なロジャー・ムーア時代の到来を世に知らしめることになった。本作で初期のコネリー時代のシリアスとポップのバランスの取れた作風からムーアの演じるボンドのコミカル路線に移行されたとも言われる。

本作から完全オリジナル作品となったため、従来の「Ian Fleming's ○○」から「Ian Fleming's James Bond 007 in ○○」とタイトルコールが変更され、現在まで続いている(『ムーンレイカー』は除く)。

音響はシリーズで初めてドルビーステレオで収録された。

ストーリー

核ミサイルを搭載したイギリス海軍弾道ミサイル原子力潜水艦「レンジャー」とソ連海軍の弾道ミサイル原子力潜水艦「ポチョムキン」が突如消息を絶った。調査を命ぜられたボンド(ロジャー・ムーア)はエジプトカイロへ飛び、そこで同じ目的でソ連が派遣した美しい女スパイ、トリプルXことアニヤ・アマソワKGB少佐(バーバラ・バック)と出会う。二人は現地の情報源に接触するが、謎の暗殺者から襲撃を受ける。

英ソの利害が一致したことからボンドとアニヤは共同で任務に当たるが、事件の直前、アバンタイトルでボンドに差し向けられ返り討ちにあったソ連の殺し屋は、彼女の恋人だった。「この任務が終わったら、あなたを殺すわ」とアニヤに言われたボンドは彼女と共にアメリカ海軍の原子力潜水艦に乗り込み、怪しいとにらんだ大富豪の海洋学者・ストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)率いるストロンバーグ海運の大型タンカー「リパラス号」に接近する。すると怪信号による攻撃を受けて潜水艦の全機能が失われ、緊急浮上した潜水艦はリパラス号の船内に取り込まれてしまう。リパラス号の内部には行方不明だった英ソの潜水艦が係留されており、乗組員たちは船内の牢に監禁されていた。

ストロンバーグは強奪した原潜を使って米ソ双方を核攻撃することで核戦争を勃発させ、世界を壊滅させ海の世界を作ろうとしていた……。


  1. ^ a b The Spy Who Loved Me” (英語). The Numbers. 2022年8月12日閲覧。
  2. ^ a b 『キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002』キネマ旬報社、2003年、230-231頁。ISBN 4-87376-595-1 
  3. ^ 映画版の邦題は「私」であるが、小説表記は「わたし」
  4. ^ Box Office History for James Bond Movies” (英語). The Numbers. 2009年6月16日閲覧。
  5. ^ Movie list by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月16日閲覧。
  6. ^ 過去にも『女王陛下の007』(On Her Majesty's Secret Service)の『We Have All the Time in the World』(ルイ・アームストロング)があったが、こちらは劇中挿入歌で、オープニングタイトル曲ではなかった。
  7. ^ しかし、日本語は字幕、吹替共にこの箇所が翻訳されていない
  8. ^ 『ドクター・ノオ』と『ロシアより愛をこめて』ではエンドクレジットでの表記のみ
  9. ^ [1]
  10. ^ [2]
  11. ^ 007 私を愛したスパイ(月曜ロードショー版)”. ふきカエル大作戦!!. 2022年7月29日閲覧。
  12. ^ 007 私を愛したスパイ(ザ・ロードショー版)”. ふきカエル大作戦!!. 2022年7月29日閲覧。
  13. ^ “映画『007/私を愛したスパイ』の車、1600万円で落札” (英語). AFPBB News. (2008年12月2日). https://www.afpbb.com/articles/-/2544561?pid=3574640 2009年6月24日閲覧。 
  14. ^ “James Bond Lotus sells at auction” (英語). BBCニュース. (2008年12月2日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/7760208.stm 2009年6月24日閲覧。 
  15. ^ 倉庫に眠っていたボンドカーに8千万円超 「水陸両用車」英競売で(産経ニュース2013年9月10日)2014年1月13日閲覧
  16. ^ ボンドウォッチプロジェクト参照。[リンク切れ]
  17. ^ Q Branch at Her Majesty's Secret Servant参照。
  18. ^ James Bond Gadget Watch History at Watchismo Times参照。
  19. ^ またロジャー・ムーア主演の『北海ハイジャック』でも日本の時計が使用されている。






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