独楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 23:49 UTC 版)
遊び方
回す
単に回すだけでも面白いものである。恐らく、独楽の発生はそこに動機があると思われる。ひねりゴマを回すことは力加減の調整が効きづらい初心者にとってはなかなかの関門である。投げゴマはひねりゴマより難しいとされる。掛けゴマとなれば、回すだけでその難易度は更に高い。
多くの場合、独楽には模様があって、回転する様子を見ているだけでも、その色の変化など、見飽きないものがある。
また、単に回すのではなく、回し方に凝る場合もある。たとえば投げゴマでは、投げたものを自分の手のひらにのせて回すとか、両手の間に紐を渡し、その上に乗せて回すなどの芸が伝えられている。空中で回す独楽では、非常に多彩な芸が知られる。
競う
- 回転する時間を競う
- 同時に回して、速く倒れた方が負け、といったものである。手軽にできるため、よく行われている。これの上級版で、マレーシアにガシンという独楽がある。この独楽のルールは、胴に分厚く金属を巻き付け、これを太い紐を巻き付けて投げるように回し、更に専用の台に移して回転させ、回転時間を競うというものである。回転維持時間は軽く五時間を超える。
- ぶつけ合う
- 土俵を決めてそこで回転させ、互いの独楽をぶつけてはじかれたら負け、といったもの。ひねりゴマでは相撲取りの模様をつけ、小さな土俵型の円盤で遊ぶ相撲ゴマ、投げゴマやベーゴマがそれである。佐世保独楽は木の塊の胴体に金属の釘を突き刺しただけの構造で、これを互いにたたきつけ合い、相手の独楽をかち割る。
- 技を競う
- さまざまな回し方を互いにやってみせる。
- 投げゴマの技
- 特定の場所を決めて投げる、いったん遠くへ投げつけておいて手元に引き寄せる、自分の手のひらの上に投げる、綱渡りなど。
- 空中ゴマの技
- 投げ上げる、他人との間で投げ合う、綱渡り、紐昇りなど。
曲芸
日本の曲独楽は演芸として独楽を専門に使う点で世界に他に例がない。一般に心棒が細い鉄芯の手より独楽を使う。
以下は寄席芸として演じられた曲独楽、三増流 三世 三増 紋也の寄席演目の一例である。
- 手より独楽を使用する演目
- 投げ独楽の演目
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- 投げ独楽
- 直径15cmほどの胴体、鉄の心棒17cm程度の独楽を、長さ3m位の紐を巻き、投げて回す。投げ回した独楽を手で受け止め、演技に入る。
- 要止め
- 独楽を長さ1mの煙管の火皿に乗せ、扇を開いて要の部分に投げ移す。
- 行灯
- 吊るし行灯から垂らした紐に掛ける。独楽は行灯の仕掛けを開き、垂れ幕が出る。
- 衣紋流し
- 独楽を長さ1mの煙管の火皿に乗せ、曲独楽師の着ている羽織が小道具になる。始点は左袖、首の後から右袖、終点の煙管の先端まで一気に通らせる。袖がらみといって、最後まで回転が落ちていない時には、左の袖口で回す。やなぎ女楽は、晩年、衣紋の独楽と言って、投げずにもみ独楽で回して左袖に乗せ、衣紋流しとは違う演じ方をしていた。
江戸時代後半から明治にかけて、足芸やバランス芸、水芸と共に曲独楽として、多くの興行があった。
欧米ではディアボロがジャグリングの中で使われ、中国の空中ゴマも雑伎団の演目に含まれる。
賭ける
賭博の対象を独楽にするものである。先に挙げたような競う場合はこの対象になり得る。他に、賭けのために作られた独楽もある。
大きく2つの型がある。一つはひねりゴマの側面が多角形、たとえば六角柱型の胴の独楽で、それぞれの側面に数字や絵柄があるものである。回転が止まったときに倒れれば、どれかの面を上にするから、それを当てるものである。もう一つは丸い台の中心に柱を立て、その先端で独楽を回すもので、先端には独楽の軸のはいる孔があり、独楽の軸は先が膨らんで、胴との間に切れ込みが入っている。独楽が回転を止めると横に倒れるが、このとき台の先端の縁と軸とがかみ合って、独楽が柱から落ちずにある方向を指すようになっている。台の方には方向ごとに数字を書いてあって、独楽の先端の指す方向を巡ってルーレットのごとくに賭博を行うものである。
- ^ a b 多摩川精機『ジャイロセンサ技術』東京電機大学出版局、2011年、14頁
- ^ 多摩川精機『ジャイロセンサ技術』東京電機大学出版局、2011年、11-12頁
- ^ 貫井康徳@dcp (2013年3月29日). “小学生ってどれくらい減っているか知っていますか?”. マイナビニュース. 株式会社マイナビ. 2013年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月7日閲覧。
- ^ 小学生や中学生の数の推移をグラフ化してみる(2014年)(最新)(ガベージニュース 2014年9月16日)
- ^ 「ウルトラアイ」1984年1月9日放送「独楽 コマ まわれ」 http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200998401090130061/
- ^ 「次第に立ち上がる」理由は、軸の先端が点ではなく半球状をしており、それが床と小さいが点ではなく面積を持って接触して滑っていることなどによる。定性的な説明は戸田盛和『コマの科学』(岩波新書 pp.93-96)にある。定量的な扱いはなかなかに厄介だが、報告のひとつがロゲルギスト『新 物理の散歩道 第3集』収録のロゲルギストI(磯部孝)による「コマはなぜ起き上がる」(ちくま学芸文庫版 pp.188-230 )にある。
- ^ ロゲルギスト『新 物理の散歩道 第2集』収録、ロゲルギストC「こまの不思議」(ちくま学芸文庫版 pp.181-191)
独楽と同じ種類の言葉
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