炎立つ (NHK大河ドラマ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 07:54 UTC 版)
概要
奥州藤原氏の開祖とも言える藤原経清の生涯を描いた第一部、初代・藤原清衡が奥州の覇者となるまでを描く第二部、奥州藤原氏滅亡へと到る第3代・藤原秀衡と第4代・藤原泰衡の時代を描く第三部の3つのパートで構成されている(第2代・藤原基衡の時代を含む1125年から1169年にかけては割愛されている)。
原作小説を先行公開してそれをベースにドラマ脚本化することとなり、高橋克彦が小説『炎立つ』を執筆し、中島丈博が脚本を担当した。また、プロデューサーは『琉球の風』のプロデュースをした音成正人が、前作に引き続き担当した。しかし、高橋の小説の執筆が予定よりも遅れ、中島の脚本内容が小説に先行して展開されていたことから、第二部中盤以降はNHK側の主導でストーリーが構成され、それ以前のストーリーに比較して物語の展開や登場人物(及びその性格描写)などに原作小説との大きな相違が随所に見られた。第一部・第二部では「原作・高橋克彦」と表記されていたクレジットが、第三部では「高橋克彦・作「炎立つ」より」となっている。また、第一部・第二部では高橋のクレジットが最初だったが、第三部は中島のクレジットが冒頭に来ている。
これに関して、著者である高橋と製作者側の間で軋轢があったとも伝えられ、月刊誌『ドラマ』(映人社)に当時、脚本を担当した中島が自らその顛末を掲載したこともある他[注釈 1]、2010年2月に刊行された中島の回想記『シナリオ無頼―祭りは終わらない』(中公新書)でも原作者、主演俳優、プロデューサーとの間で悶着があったことを認めている。
このドラマのために建てられたオープンセットは、撮影終了後も「えさし藤原の郷」となり、テーマパーク兼撮影所として多くのドラマや映画の撮影に利用されている。
本作品は、大河ドラマ史上初となる年をまたいで放送され、それまで暦年制で1月から1年間をかけて描いてきた番組のスリム化を図った。1994年度から連続テレビ小説と同じ4・10月からスタートする半年1シリーズおよび1年間で2作品にするための準備のためという試みの位置づけであったが、1995年以降は暦年制・1年に戻っている。本作の放送後大河ドラマの越年放送は『麒麟がくる』(2020年1月19日 - 2021年2月7日)までなかった。ただし『麒麟がくる』の越年放送は新型コロナウイルスの感染拡大などが影響して放送日程が変更されたため、当初から越年放送が予定されていた事例としては本作が唯一である。
なお、第1回の放送は第40回衆議院議員総選挙の公示日と重なり、この日は衆院選の関連番組を放送したため、総合テレビでは予定より遅れて21:00 - 22:00に放送された。
2007年、完全版DVDが発売された。なお、第一部・第二部でのタイトルバックに流れる「鹿踊」の映像が拡大するシーンは、第三部では画面が暗くなり、紅葉が散る背景から「中尊寺金色堂」が現れる映像に差し替えられている。
平均視聴率は17.7%、最高視聴率は21.6[1]%。
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