海綿動物 人間との関わり

海綿動物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 05:37 UTC 版)

人間との関わり

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普通海綿綱に属する6種の海綿は海綿質繊維だけからなり硬い骨片を持たないため、スポンジとして化粧用や沐浴用に用いられる。地中海産、紅海産の海綿が柔らかく、品質が高いとされる。海底で捕獲した海綿の組織を腐敗させ洗い流して残った骨格が、スポンジとして店頭で見られる海綿となる。日本では、ガラス海綿の一種であるカイロウドウケツなどがその姿の面白さから飾りなどに使われた。

海綿は水中に浮遊する食物を濾過摂食するため、水質汚濁の原因となる水中の微生物や有機物を除去する役割を果たしている。

カイメンからは複雑な構造を持つ有機化合物が多数発見されており、医薬品の候補として期待されている。抗 HIV 薬として用いられているジドブジンはカイメン由来の天然物と類似した構造を持っており[4]、他にもハリコンドリンB[5]や環状グアニジン類[6]などが抗がん剤や抗 HIV 薬、抗マラリア薬として作用することが確認されている。

挿入式の生理用品タンポン)として使用されることがある。乾燥したカイメンを膣に挿入して経血を吸わせる。取り出して洗って乾燥させれば再利用できる。江戸時代から使われていたことがわかっている。

脚注

出典

参考文献

  • 白山義久 編 『バイオディバーシティ・シリーズ (5) 無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)』 裳華房 (2000) ISBN 978-4-7853-5828-0
  • 佐藤矩行、倉谷滋、野地澄晴、長谷部光泰 著 『シリーズ進化学 (4) 発生と進化』 岩波書店 (2004) ISBN 978-4000069243
  • L.マルグリス、KV.シュヴァルツ 著 『図説・生物界ガイド 五つの王国』 日経サイエンス社 (1987) ISBN 978-4-532-06267-5
  • J. Vacelet. 1999. Sponges(Porifera) in submarine Caves. Qatar Univ. Sci. J.pp.46-56.

関連項目


  1. ^ Gretchen Vogel, "The Inner Lives of Sponges", Science 2008, 320, 1028 - 1030. doi:10.1126/science.320.5879.1028
  2. ^ Lars Fieseler, Matthias Horn, Michael Wagner, and Ute Hentschel, "Discovery of the Novel Candidate Phylum “Poribacteria” in Marine Sponges", Appl Environ Microbiol. 2004 June; 70(6): 3724–3732. doi:10.1128/AEM.70.6.3724-3732.2004.
  3. ^ Vacelet(1999)p.46
  4. ^ Lisa M. Jarvis, "Liquid Gold Mine", C&EN 2007, 85, 22-28. [1]
  5. ^ 上村 大輔, "海洋生物由来の“切れ者分子”の謎"
  6. ^ 長澤 和夫, “海産環状グアニジン系天然物の全合成及び新規グアニジン型不斉有機分子触媒の開発”, 薬学雑誌, Vol. 123, 387-398 (2003). doi:10.1248/yakushi.123.387


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