氷と炎の歌の諸名家 スターク家

氷と炎の歌の諸名家

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 15:00 UTC 版)

スターク家

House Stark

スターク家の盾形の紋章

このシリーズの多くの視点人物がスターク家の者である。スターク家は北部の最上位の貴族家であり、本拠は由緒あるウィンターフェルである。紋章は白雪の野原を走る灰色の狼であり、標語は“冬来たる”(“冬がやって来る”)である。物語の冒頭で、エダード・スタークは死んだ大狼の傍らに6匹の仔狼を見つけて、子供たちに与える。

スターク家は、何千年も前の英雄時代の伝説的な存在で、ウィンターフェルと〈壁〉を創った建設王ブランドンの子孫である。〈征服戦争〉においてトーレン・スタークが征服王エイゴンに忠誠を誓うまでは、スターク家が北部の“冬の王”であった。それ以来、スターク家はウィンターフェル公および北部総督として北部を統治している。

物語の15年前、リアナ・スタークとプリンス・レイガー(レーガー)・ターガリエンはともに姿を消した。スターク家はこれを誘拐とみなし抗議した。これに対し、エイリス(エリス)二世王はスターク公とその長男のブランドンを処刑した。エダードはウィンターフェル公となり、リアナを助け出して父と兄の復讐をするために、友でありリアナの婚約者でもあるロバート・バラシオンの〈ロバートの反乱〉に加わる。ロバートが王となり、ターガリエン家の者は殺されるか追放されたが、リアナも死んでしまった。物語の冒頭までに、エダードとタリー家出身の妻キャトリン(ケイトリン)はロブサンサアリアブランリコンと5人の子供をもうけている。さらにエダードは私生児の息子ジョン・スノウを認知している。

シリーズを通して、スターク家の家族は〈五王の戦い〉によって離ればなれとなり、生き残った者たちは様々な境遇に置かれる。スターク家の運命は明らかでなく、嫡出の息子はすべて死んでいると多くの人々が信じる。 ウィンターフェルはボルトン家の私生児ラムジー・スノウ(ラムジー・ボルトン)によって焼かれている。

主な旗主(旗手)としては、ドレッドフォードのルース・ボルトン、ホワイト・ハーバーのワイマン・マンダリー、〈最後の炉端城〉(ラスト・ハース)のグレイトジョン、〈灰色沼の物見城〉(グレイウォーター監視所)のハウランド・リード、カーホールドのリカード・カースターク、〈熊の島〉のレディ・メージ・モーモントなどがいる。

スターク家の系図

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
リカード
故人
 
 
 
 
 
不明
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ブランドン
261-282
 
不明
 
エダード
263-298
 
キャトリン
264-299
 
ベンジェン
不明
 
リアナ
267-283
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジョン・スノウ
 
ロブ
283-299
 
ジェイン・
ウェスタリング

(タリサ・マイギア)
 
サンサ
 
アリア
 
ブラン
 
リコン
 

エダード・スターク

Eddard Stark

エダード・スタークはネッドと愛称され、ウィンターフェル公であり北部総督。視点人物であり、『七王国の玉座』の主役の一人である。 キャトリンとの間に 5人の子がおり、また私生児の息子であるジョン・スノウがいる。家族はネッドを温和な男として見るが、その控え目な性格を冷酷さと軽蔑の表れとみる者もいる。領地では、義務と名誉を重んじる領主として尊敬されている。スターク家の特徴である茶色の髪と灰色の目をしている。子の中ではジョンとアリアだけがこの容貌を受け継ぐ。ネッドは、〈最初の人々〉の神々である〈古の神々〉の熱心な信者である。この神々はウェスタロスの本来の居住者であった〈森の子ら〉(〈森の子供たち〉)の神々でもあった。

ネッドはリカード・スターク公の次男として生まれ、ロバート・バラシオンとともに高巣城ジョン・アリンのもとで里子として育ち、アリン公を父親のように尊敬するようになった。ネッドはロバートの終生の友となり、ロバートは妹のリアナ・スタークを恋するようになった。レイガー・ターガリエンがリアナを誘拐し、エイリス二世王がネッドの父と兄を処刑した後、ネッドは兄の婚約者であったキャトリンと結婚した。エイリス王は、アリンに被後見人の二人の首を送ることを要求した。アリンはこれを拒否して反乱をおこし、ネッドとロバートはそれぞれの家の当主および総指揮官として反乱に加わった。ネッドは妹のリアナを取り戻すためにドーンとの国境の〈喜びの塔〉で〈王の盾〉の騎士たちと戦った。リアナが血だらけのベッドで「約束して、ネッド」を最後の言葉として死んだ時、ハウランド・リードとともにその場に居合わせ、その事件の記憶はネッドを苦しめた。数年後、グレイジョイ家が反乱をおこし、グレイジョイ公の残る唯一の息子であるシオン・グレイジョイを里子として引き取った。続く年月はウィンターフェル公として過ごした。自らの土地をほとんど離れようとはせず、南部の宮廷の複雑な陰謀に加わろうとしなかった。

シリーズの冒頭で、ロバート王はウィンターフェルに旅して、アリンの代わりに、君主の最も近くで仕える助言者である〈王の手〉となることを願う。ネッドは辞退することを望むが、妻が妹の夫であったアリンの死因の調査を願うために、職を受諾する。ブランは城から落下して昏睡状態となるが、キャトリンを城に残して、娘たちと王都へ向かう。 〈壁〉に向かうジョンには、次に会う時には母親のことを教えると約束する。キングズランディングで、宮廷の陰謀に巻き込まれながらも、ジョン・アリンの死を調査する。パイセルから、過去の全貴族の容貌を記した本を与えられる。キャトリンが密かにキングズランディングに来て、ラニスター家の雇った暗殺者がブランを殺そうとしたと伝える。ピーター・ベイリッシュの助けにより、ロバートの子供たちが、実は王妃サーセイの弟であるジェイミー・ラニスターの子であることを発見する。ロバートにこの発見を話そうとするが、ロバートは猪狩りで重傷を負い、死んでしまう。ネッドはロバートの弟のスタニス・バラシオンに宛てて、スタニスが正当な世継ぎであると手紙を書く。サーセイは反逆の罪でネッドを収監し、恩赦による〈壁〉への追放の用意をする。しかし、サーセイと宮廷の意図に反し、新王ジョフリーは気まぐれを起こして公開の場でネッドを斬首させる。

これにより〈五王の戦い〉が始まる。ネッドの処刑を知り、ロブは〈北の王〉であることを宣言し、スタニスとその弟のレンリー・バラシオンもまたそれぞれ〈鉄の玉座〉の正統な世継ぎであることを宣言する。ネッドの首は城門の大釘にさらされるが、〈王の手〉になったティリオン・ラニスターはネッドの頭と体をキャトリンに返還する。エダード・スタークは『ゲーム・オブ・スローンズ』においてショーン・ビーンが演じ、少年時代はセバスチャン・クロフト英語版が、青年時代はロバート・アラマヨ英語版が演じる。

キャトリン・スターク

キャトリン・タリーを参照。

ロブ・スターク

Robb Stark

ロブはエダード・スタークキャトリン・タリーの間に生まれた長男であり、ウィンターフェルの世継ぎである。視点人物ではないが、他のスターク家の視点人物の章にしばしば登場する。不満を漏らさずに大きな責任に耐え、父と同じく名誉と公正さを身につけている。ロブは私生児で腹違いの兄弟であるジョン・スノウと極めて親しく、母がジョンに向ける敵意を苦々しく思う。また10歳の時から里子に来ているシオン・グレイジョイとは親友である。タリー家の容貌を受け継ぎ、がっしりとした体格と青い目と豊かな赤褐色の髪を持つ。その大狼の名はグレイウィンドである。

エダードが〈王の手〉になった時、ロブはウィンターフェルに留まり父の代理として治める。エダードが反逆罪で逮捕されると、旗主たちを集めジョフリー王に対抗する軍をなし、リヴァーランドに進む。母キャトリンは双子城に赴き、川を渡してもらう代わりにロブをウォルダー・フレイの娘と結婚させる約束をする。エダードの処刑の知らせが届いた時、ジョフリーに対する戦争を開始し、旗主たちの求めに応じて北部の独立と“北の王”であることを宣言する。ロブはラニスター家の軍勢に対して多くの勝利を収め、“若き狼”として知られるようになる。ジェイミー・ラニスターを捕虜として、妹のサンサおよびアリアと交換しようとする。

ロブは次々と戦いに勝ち、玉座を求める他の者たちの脅威となる。タイウィン・ラニスターには子供のように呼ばれはするが、戦争で強さを発揮し、数々の戦いでラニスター家を破る。タイレル家の支持を得て玉座に座ろうとするレンリー・バラシオンとの同盟を求めて、母を使者として送りだすが、レンリーは不可解な状況下で暗殺され同盟は不調に終わる。グレイジョイ家との同盟を求めて送り出したシオンが裏切り、ウィンターフェル城を焼いてブランリコンを殺した知らせを受け、ロブの心は引き裂かれる。ロブのもとに戻った母は、娘たちとの交換を求めて密かにジェイミーを釈放し、ブライエニーと共に送りだしてしまう。

戦傷を受け、弟たちの死に悲しんだロブは、ラニスター家に属する弱小な家の娘であるジェイン・ウェスタリングと一夜を過ごし、彼女の名誉を守るために結婚してしまう。約束を破られたフレイ家は怒り軍を去るが、ロブの代わりに叔父エドミュア・タリーウォルダー・フレイの娘と結婚させ、アリアをその孫と結婚させることでフレイ家との関係を修復する。キャトリンがジェイミーを釈放したことに怒り、ロブの命令を無視してラニスター家の少年を殺したリカード・カースタークを処刑するが、その結果、カースタークの軍もまたロブのもとを去る。エドミュアとフレイ家の娘との婚儀に出席し、ロブは約束を破ったことを謝罪する。だがフレイ家はボルトン家と共に裏切り、ロブ、その大狼グレイウィンド、母、そして多くの旗主や家来たちがフレイ家の兵たちに殺される。スターク家の旗主のルース・ボルトンは自ら若き王を殺し、辱めとしてグレイウィンドの頭がロブの肉体に縫い合わされ、王冠をかぶせられる。この凶事は〈釁られた婚儀〉 (〈血染めの婚儀〉)と呼ばれるようになる。生き残ったスターク家の旗主たちは怒りに燃え、食べ物と屋根を与えられた客の安全は守られなければならないという、七王国の最古の伝統を踏みにじったフレイ家の名誉は汚される。

ロブ・スタークは『ゲーム・オブ・スローンズ』においてリチャード・マッデンが演じている。

サンサ・スターク

Sansa Stark

キャトリンエダードの第二子で長女であり、視点人物である。

シリーズ冒頭で、美しい11歳のレディとして登場する。母親に似て、青い瞳、豊かなとび色の髪と白い肌をもつ。歌やダンスなど、女性らしい嗜みに優れ、父が〈王の手〉になった時に、皇太子のプリンス・ジョフリーと婚約する。サンサの大狼はレディと名付けられる。当初サンサはジョフリーを愛し、乱暴で男の子のような妹のアリアを嫌っている。キングズランディングに向かう途中、トライデント河のほとりでジョフリーがサンサを散歩に連れ出した時、ジョフリーはアリアの友達のマイカーを傷つけ、アリアを攻撃しようとするが、アリアの大狼のナイメリアに邪魔をされ怪我をする。ロバート・バラシオンに状況を聞かれた時、サンサは何が起きたのか覚えてないと嘘をつき、アリアを怒らせる。アリアがナイメリアを逃がしたため、王妃サーセイは代わりにレディを殺させる。キングズランディングについた後、サンサは南部の女性のように着飾り、振舞い始める。ネッドは、ロバート王の子たちがすべてサーセイとその弟ジェイミー近親相姦の子であることを発見し、争いを恐れて娘たちをウィンターフェルに帰そうとする。ジョフリーおよびキングズランディングから離れたくないあまり、サンサは父親の計画をジョフリーとサーセイに話してしまう。ロバート王が死に、父が逮捕された後、サンサはジョフリーに恩赦を願って、ウィンターフェルか〈壁〉への追放を求める。だがジョフリーは父を処刑し、〈王の盾〉(近衛騎士団)の騎士にサンサを打たせる。

保護者であった父を失い、サンサはジョフリーを愛したふりをし、貴婦人として振舞い続ける。〈ブラックウォーターの戦い〉の際、彼女に対して無愛想と優しさの二つの態度を見せる、顔に傷のあるジョフリーの護衛サンダー・クレゲインがサンサを連れて逃げ出そうと申し出るが、サンサは断る。戦いの後、ジョフリーはサンサとの婚約を破棄し、マージェリー・タイレルと婚約する。サンサは傷ついたふりをするが、内心はジョフリーから離れられることを喜ぶ。

タイレル家がサンサをお茶に招き、マージェリーの祖母オレナ・レッドワインは、サンサをマージェリーの兄で世継ぎのウィラス・タイレルと結婚させたいと言う。これを知った、〈王の手〉タイウィン・ラニスターは、サンサを末息子の小人ティリオン・ラニスターと結婚させる。サンサは奇形の夫への嫌悪感を隠し、うわべは上品につくろう。だがティリオンは床入りを強制しないと約束する。二人が床入りを迎えてないことは宮廷中に知られることになる。母親とロブブランリコン、そしてアリアが死んだと聞かされ、サンサは密かに悲しむ。ジョフリーがマージェリーとの婚儀で毒殺された時、混乱の中でキングズランディングを脱出する。 ピーター・ベイリッシュはサンサを自らの私生児アレイン・ストーンと偽ってアリンの谷間高巣城に連れて行く。ベイリッシュはサンサの叔母ライサ・アリンと結婚する。ライサはサンサを病弱な息子で今はアリン家の当主となったロバート・アリンと結婚させると約束する。ピーターがサンサにキスをしているところを目撃し、ライサは逆上してサンサを殺そうとするが、ピーターによって殺される。サンサは高巣城の女主人となり、ベイリッシュから宮廷の陰謀術を学ぶ。ピーターはサンサをロバートの世継ぎであるハロルド・ハーディングと結婚させることを計画する。結婚したのちには、サンサの身分を明かし、ウィンターフェルを取り戻させるつもりである。

サンサ・スタークは『ゲーム・オブ・スローンズ』においてソフィー・ターナーが演じている。

アリア・スターク

Arya Stark

キャトリンエダードの第三子にして次女で、視点人物である。

アリアは機知に富み、抜け目なく、必要があれば辛いことも厭わない。その性格は上品な姉サンサとは対照的であり、自由で大胆である。姉に劣等感を持ち、勝てるのは乗馬だけだと思っている。自分を可愛いとは思っておらず、スターク家の特徴が色濃く、灰色の瞳と茶色の髪の毛を持つ。その気性と外見は亡くなった叔母リアナに似ていると言われる。同様に劣等感を持って育った私生児の兄ジョン・スノウと仲がいい。その大狼はナイメリアと名付けられる。父と姉と共にキングズランディングに旅立つ前、ジョンから細身の剣を送られ、アリアは〈ニードル〉(〈針〉)と名付ける。

旅の途中、皇太子 ジョフリーがアリアの平民の友マイカーを傷つけようとして諍いを起こす。アリアを守るためにナイメリアがジョフリーを噛んだため、その命を救うためにナイメリアを逃して別れる。逃げるマイカーを殺したサンダー・クレゲイン(ハウンド)とジョフリー、その母で王妃のサーセイを憎むようになる。宮廷ではブレーヴォス (ブラーボス)の名高い剣士、シリオ・フォレルの下で訓練を受ける。その厳しくも創造的な指導のもとでブレーヴォス流の剣技を学ぶ。

〈赤の王城〉(〈赤い城〉)からスターク家が追放された時、シリオはアリアを襲撃した王の盾たちを引き留め、アリアは逃げ延びて父の公開処刑日まで街の片隅で生き延びる。〈冥夜の守人〉(〈夜警団〉)の募集係であるヨーレンは、アリアを護衛するため父親の処刑を見させず、新兵の男の子に見せかけるため髪を切り、ウィンターフェルに連れ戻すため密かに王都を離れる。アリアはホットパイ、ジェンドリーなどの新兵の男の子と友達になる。募集兵の一団が王都の小隊に襲われた時、ジャクェン・フ=ガー (ジャケン・フガー)という名のブレーヴォスの暗殺者と他の2人の命を救うが、グレガー・クレゲイン率いる隊に捕えられ、〈ニードル〉を奪われて〈ハレンの巨城〉(ハレンホール)に連行される。アリアは偽名を使って正体を隠すが、〈ハレンの巨城〉でラニスター軍の召使として働かされる。ジャクェンは城に着いた時にアリアに気づき、アリアが救った3人の命の対価を死の神に支払うため、指名した3人を誰でも殺してやると持ちかける。アリアの指名した2人はほどなくして殺される。アリアは囚われの北部人を助けるようジャクェンに頼むが断られたため、3人目としてジャクェン自身を指名する。ジャクェンは自分の名を取り消させるために彼女を助け、北部人を解放する。彼女との別れ際にジャクェンは古代のコインを与え、これによって彼女はブレーヴォス行きの船に乗れることになる。

ジェンドリーとホットパイとともに〈ハレンの巨城〉を脱出した3人は、 ベリック・ドンダリオン率いる〈旗標なき兄弟団〉(〈旗印を持たない結社〉) に捕えられる。ドンダリオンは身代金と引き換えに、今や〈北の王〉となった兄ロブのところにアリアを連れて行くと約束する。王都を逃亡したサンダー・クレゲインが兄弟団に捕まるが、決闘裁判に勝って生き延びる。アリアは兄弟団を逃げ出すが今度はサンダーに捕まる。アリアをロブに渡して礼金を得るため、サンダーはアリアの母方の叔父エドミュア・タリーの婚礼が行われる双子城にアリアを連れて行く。婚儀が行われている最中に兄ロブとその妻、母キャトリンの一行はフレイ家・ボルトン家に惨殺される。クレゲインはアリアとともにその修羅場を去り、今度は母方の叔母であるレディ・ライサから身代金を得るため、アリンの谷間の高巣城(アイリー)に向かう。旅の途中、サンダーは兄グレガーの家来と戦って瀕死の重傷を負うが、アリアは以前奪われた自分の剣〈ニードル〉を取り戻す。クレゲインの傷は悪化するがアリアは置き去りにして死なせる。

行き場をなくしたアリアは、ジャクェンの言葉を思い出してブレーヴォスに渡る。ジャクェンが所属する恐るべき暗殺のエリート集団〈顔のない男たち〉の見習いとなる。過去の人生のすべてを捨てなくてはならないため持ち物全部を捨てるが、ジョンがくれた〈ニードル〉だけは捨てられなかった。〈黒と白の館〉で仕え、嘘のつき方と見分け方を学ぶ。訓練の一部として、〈運河の猫〉という新たな人格の下、アリアはブレーヴォスの街で過ごす。その間に〈冥夜の守人〉から来たサムウェル・ターリーとダレオンに出会うが、ダレオンが〈冥夜の守人〉の誓いを捨てようとしていることを発見し、ダレオンを殺す。〈顔のない男たち〉の元に戻ったアリアは自ら手を下した殺しを認め、苦い後味の残るミルクを与えられ、翌朝盲目となって目覚める。ナイメリアになった夢を見て、アリア・スタークとしての人生を捨てられずに苦しむ。目が見えなくても誰に襲われたかを見分けられるようになり、相手に反撃を返すことができた時、彼女の視覚は戻される。だが自身の目ではなく猫の目を通して物を見る。視覚を取り戻したあとに最初の暗殺の使命が与えられ、数日後に相手を殺す。〈顔のない男たち〉の一員であることを示すローブを与えられてアリアは徒弟となる。今や〈運河の猫〉として知られ、ギルドの一員となる。

ゲーム・オブ・スローンズ』においては、アリア・スタークはメイジー・ウィリアムズが演じる。主にブレーヴォス以降の彼女のストーリーには幾つかの変更点がある。

ブラン・スターク

Bran Stark

キャトリンエダード・スタークの第四子で次男であり、視点人物である。 ウィンターフェル中の高いところに登って探検することを楽しむ。ブランは冒険好きで気が強く、7歳にして自分のことを“もうほとんど大人”だと信じている。エダードの兄の亡き伯父ブランドンにちなんで名づけられ、いつの日か偉大な騎士になることを夢見る。

ブランは城の塔に登り、王妃サーセイと双子の弟ジェイミー・ラニスターの性交を見てしまう。ジェイミーは二人の秘密を守るために窓からブランを突き落とす。ブランは生き延びるが、背骨を折って昏睡状態となる。暗殺者がブランを襲うが、ブランの獰猛な大狼が暗殺者の喉を引き裂く。目覚めたブランは大狼をサマーと名付ける。落下する幻視を見て、彼とともに飛ぶ〈三つ目の鴉〉の夢を見る。腰から下が麻痺したままとなり、どこにいくにもホーダーに運ばれなければならない。落下の直前の出来事は覚えていない。サマーの意識に入り込む能力を得たことにやがて気付く。ウェスタロスではこのようなことをできる少数の者たちを〈狼潜り〉(ウォーグ)と呼ぶ。ロブが北の王として戴冠した後、ブランはロブの世継ぎとしてウィンターフェルのプリンスとなり、兄がラニスター家との〈五王の戦い〉を戦う間、城を治める。〈灰色沼の物見城〉(グレイウォーター監視所)からミーラ・リードジョジェン・リードがウィンターフェルにやってきて彼を助ける。ジョジェン・リードはブランの〈狼潜り〉としての能力に気づき、その適切な使い方を教える。ジョジェンは、もしブランが壁の北側に行けば、〈三つ目の鴉〉を見つけることが出来ると教える。シオン・グレイジョイスターク家を裏切りウィンターフェルを占拠した時、シオンは農民の子供を殺して、ブランは死んだと七王国中に告げる。だが、ブランは生き延び、リード姉弟と北に向かう。彼らは〈壁〉の放棄された城である〈夜の砦〉に着き、サムウェル・ターリーに出会う。サムウェルは謎の存在である〈冷たい手〉の命で、〈壁〉の底にある隠された扉である〈黒い扉〉をブランの一行に通り抜けさせる。〈壁〉の北側で、ついに〈三つ目の鴉〉に会うが、その正体はターガリエン家の私生児で、かつて〈王の手〉であり、また〈冥夜の守人〉の総帥でもあったブリンデン・リヴァーズである。ブランは緑視者となることを学ぶが、それは自然に対する支配力を持ち、予知夢を見て、人や動物に乗り移る能力である。ウィアウッドの樹を通じて過去を見ることもできるが、過去を変えることはできない。

ブランは『ゲーム・オブ・スローンズ』においてアイザック・ヘンプステッド=ライトが演じている。

リコン・スターク

Rickon Stark

エダードの末息子で、シリーズが始まった時にはわずか3歳であった。リコンは積極的で強い意志を持つ子である。しかし、戦争が彼の人生と家族にもたらした恐ろしい変化に立ち向かうには、幼いリコンにとっては難しい。シオン・グレイジョイウィンターフェルを占領した時、リコンは兄ブランとともに地下墳墓に隠れる。ウィンターフェルが襲撃されて火に包まれた時、二人の兄弟は血筋を守るために別の道を行く。〈野人〉(〈野性人〉)の女オシャがリコンとその大狼シャギードッグと旅をする。2人は食人族の住むスカゴス島にいると言われる。

リコン・スタークは『ゲーム・オブ・スローンズ』においてアート・パーキンソン英語版が演じ、ウィンターフェルを脱出した後のストーリーには変更が加えられた。

ジョン・スノウ

Jon Snow

ジョン・スノウは視点人物であり、エダードと、デイン家に仕える乳母のウィラという名の女性の間に生まれた私生児だとされている。だが多くの人がリアナ・スターク、アシャラ・デイン、そしてレイガー・ターガリエンなど他の人物がジョンの親であると語っている。三姉妹諸島ではまた別の噂が流れる。ジョンはスターク家に特徴的な容貌をしている。

ジョンは、父と同じく名誉に献身し、酷い決断をしなければならない時でも道徳的であろうとする。ジョンはロブと同じ年齢である。妹リアナが死んだ後、エダード(ネッド)はウィンターフェルにジョンを連れて来た。妻キャトリンの反対にもかかわらず、エダードはジョンを嫡出のスターク家の子らとともに育てることを宣言した。私生児でありキャトリンの敵意に晒されたため、ジョンの子供時代は辛いものであった。腹違いの兄弟姉妹たちとは仲が良く、特にロブアリアとは極めて親しいが、それでも疎外感にさいなまれる。父を尊敬しているが母親のことを教えてくれないことに傷つく。ジョンの大狼は穏やかな性質のアルビノで、毛皮は白く、まったく音を立てないため「ゴースト」と名付けられる。後にジョンはゴーストの意識に入り込む体験をする。

ジョンの成長につれて私生児としての地位は次第に微妙なものになる。キャトリンはジョンをこれ以上ウィンターフェルには置けないとネッドに言う。ネッドはジョンをキングズランディングに連れて行けないため、ジョンが〈壁〉に行くことを許さざるを得ない。ジョンは当初、〈冥夜の守人〉の身分の低い〈誓約の兄弟〉(ブラザー)たちに軽蔑しか感じず、私生児であることを嘲ってつけられた“ロード・スノウ(スノウ公)”というあだ名に傷つく。やがてジョンは偏見をなくし、仲間の新兵たち、特にサムウェル・ターリーと仲良くなり、残酷な剣術師範アリザー・ソーンに対抗して仲間を団結させる。北部で信仰される〈古の神々〉の前で誓いを立て、〈哨士〉(突撃隊員)ではなく、総帥(司令官)ジオー・モーモント付きの〈雑士〉(執事隊員)に配属されたことに失望するものの、将来の指導者として見込まれていることを後に知る。〈異形〉に復活させられた死体〈亡者〉を倒してモーモントの命を救い、感謝の印としてモーモント家伝来のヴァリリア鋼の剣「ロングクロウ」を贈られる。父が反逆罪で逮捕されると、ジョンは家族と誓いの間で心を引き裂かれる。そして父が処刑されると、脱走は死罪となるにもかかわらずロブの軍に加わろうとするが、仲間たちに連れ戻される。その直後、モーモント率いる〈壁〉の向こうへの偵察遠征に参加する。

ジョンは斥候の一行に加わる。一行が〈壁〉の向こうに住む〈野人〉に襲われた時、〈野人〉の計画を調べるため〈冥夜の守人〉を裏切るふりをするよう命令され、仲間の〈二本指のクォリン〉を殺す。それで〈野人〉の信用を得たジョンは仲間に加わり、〈野人〉が〈異形〉から逃れるために七王国に侵入しようとしていることを知る。ジョンは禁欲の誓いを破り、イグリットという名の〈野人〉の女戦士と恋に落ちる。〈野人〉の軍が〈冥夜の守人〉の砦〈黒の城〉に近づいた時、イグリットを捨てるか〈冥夜の守人〉を捨てるか迷う。最終的にはイグリットを捨てて〈冥夜の守人〉に警告することを選ぶ。〈野人〉の攻撃に対する〈黒の城〉の防衛に加わって〈壁〉の指揮を任された時、 マンス・レイダーの圧倒的に優勢な軍に対抗して何日も〈壁〉を守る。その最中でイグリットは戦死し、ジョンは悲しみに暮れる。他の城から援軍がやって来た時、ジョンはアリザー・ソーンと、父を裏切ったかつての〈王都の守人〉(都市警備隊)の総帥ジャノス・スリントによって逮捕され、マンス・レイダーを暗殺するようにと〈壁〉の北に送り出される。そこにスタニス・バラシオンの軍が到着して〈野人〉の軍を撃退する。スタニスはジョンが〈冥夜の守人〉の誓いを捨ててル=ロールの信者となり、北部人にとっての聖なる象徴であるウィンターフェルの〈心の木〉を切り倒すならば、ジョンを後継者にしてウィンターフェル奪還後に領主にしてやると提案する。しかしその直後、サムウェルの尽力によって、ジョンは〈冥夜の守人〉の第998代総帥に選出される。戸惑いながらも総帥の地位を受け入れ、ジョンはスタニスの提案を断る。スタニスがボルトン家からウィンターフェルを取り戻すため南に向かった時、〈壁〉の南西の山の民から助力を得られるかもしれないと教える。

スタニスが去った後、〈野人〉たちに〈壁〉のすぐ南に定住することを許し、〈野人〉たちからの志願者で〈冥夜の守人〉を強化する。だがその決断は〈野人〉に敵対してきた〈冥夜の守人〉たちには不評であり、ジャノス・スリントは人前でジョンを侮辱して命令を拒否したため、ジョンに処刑される。ラムジー・スノウからは手紙が届き、スタニスを倒したと語り、人質を要求し、ジョンが従わなければ〈冥夜の守人〉を倒すと誓う。ジョンはボルトン家と戦うために志願者を集めるが、これは七王国の内戦に関わらないという〈冥夜の守人〉の誓いに反し、〈冥夜の守人〉の幹部に不満を生む。出発する前に、ジョンは〈冥夜の守人〉の〈誓約の兄弟〉によって少なくとも四度は刺され、その運命はわからない。

ゲーム・オブ・スローンズ』においてジョン・スノウはキット・ハリントンが演じている。

ベンジェン・スターク

Benjen Stark

エダードの弟であり、志願して〈壁〉の〈冥夜の守人〉に加わり、哨士長となった。将来に見通しの立たない落とし子の甥ジョンを誘って守人の仲間に迎え入れる。〈壁〉の向こう側の調査活動中に行方不明となる。

ゲーム・オブ・スローンズ』では、ベンジェン・スターク役をジョゼフ・マウルが演じている。

リアナ・スターク

Lyanna Stark

エダードの唯一の妹であり、ロバート・バラシオンと婚約し、15年前の〈ロバートの反乱〉の原因となった。ロバートはリアナに夢中になったが、リアナはそれほどロバートを愛してはおらず、ロバートの漁色ぶりを知っていた。しかし、プリンス・レイガー・ターガリエン〈ハレンの巨城〉の馬上試合で優勝した際、妃であるドーンのプリンセス・エリア・マーテルの前を通り過ぎて、リアナを愛と美の女王に戴冠した。レイガーとリアナの関係の詳細は今のところよくわかっていない。だがその直後にリアナとレイガーは揃って失踪し、これは婚約者のロバートと兄のブランドンによって、合意に基づかない誘拐であると断じられた。この件に関する二人の怒りが、エイリス王によるブランドンの処刑と〈ロバートの反乱〉につながった。エダードと仲間たちはドーン国境の〈喜びの塔〉からリアナを救出しようと向かった。3人の〈王の盾〉の騎士と戦い、エダードとハウランド・リード以外は殺された。エダード・スタークは血だらけのベッドで瀕死のリアナを見つけた。リアナのエダードへの最後の言葉は「約束して、ネッド」であった。リアナはウィンターフェルの古代から続く地下墳墓に葬られた。

リアナを知る人々によれば、リアナは周りの手に負えないほど元気な若い女性であったと言う。典型的なスタークの肌の色をしており、美しい女性であったと見なされていた。リアナとアリアは、外見と気質が似ていると言われる。自分の魅力にまだ気づいていないアリアにとって、これは衝撃である。

ゲーム・オブ・スローンズ』では、少女時代をCordelia Hillが、青年期をアイスリング・フランシオシが演じる。

スターク家の旗主、家来および縁者







英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「氷と炎の歌の諸名家」の関連用語

氷と炎の歌の諸名家のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



氷と炎の歌の諸名家のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの氷と炎の歌の諸名家 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS