旧暦2033年問題 他国の状況

旧暦2033年問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 01:18 UTC 版)

他国の状況

中国台湾韓国で使われている時憲暦は、このような問題が起こらない置閏法(上記 1'. および 2'.)を採用していた。こちらの方が合理的であり破綻は生じない。しかし、1811年嘉慶16年)に、宮廷の祭祀の都合で、冬至を含む暦月を必ず11月、春分を含む暦月を必ず2月にするために置閏法が「修正」されたと考えられた。天保暦はその「修正」された時憲暦の置閏法を参考にして置閏法を定めたとされている。しかし、1851年(咸豊元年) - 1852年(咸豊2年)では冬至を含む暦月と春分を含む暦月の間に1暦月しかなかったため、冬至を含む暦月は11月であったが、春分を含む暦月が正月となった(1699年(康熙38年) - 1700年(康熙39年)にも同様のことがあった)。時憲暦では1851年(咸豊元年)の冬至から1852年(咸豊2年)の冬至までの間は12暦月しかないためこの間に閏月はなく、春分を含む暦月が正月となっても置閏法には一切影響しない。つまり、冬至から次の冬至までの間に13暦月ある場合に限り、1'. と2'. を適用するのである。その場合、清の欽天監(暦を管理する役人)によって1811年(嘉慶16年)から200年間にわたって置閏法が破綻しないことが確認されており、最近の研究では置閏法が「修正」されたのではなく、もとの置閏法でも冬至が11月、春分が2月になることを「再確認」しただけではないかと考えられている[4][9]

日本では時間帯の違い(1時間の時差)のため、この時には2つ中気を含む暦月や中気のない暦月が複数発生したものの、上記 1. および 2. の定義だけで作暦上の問題は起きなかった。なお、正確には1873年(明治6年)の太陽暦への改暦までは、現在の「東経135度(明石)における地方平均太陽時 = 現在の日本中央標準時」ではなく、京都における真太陽時を使用していた[10]ため中国との時差はさらに数分長くなるが、そのことを考慮してもこの違いは発生しうる。

2033年問題と同様の問題は、天保暦に似た置閏法を持つ他の太陰太陽暦でも起こりうる。ただし、それがいつ起こるかは、朔や中気がどの日に属するか、つまり、時間帯に依存するので、同一時期でも国によってこのような問題が発生する国としない国に分かれる可能性もある。日本と中国には1時間の時差があるので、日本において0時台に朔や中気の瞬間があれば、中国においては前日の23時台にこれらがあることになり、1日のずれを生ずる(太陰太陽暦における時差による暦日(まれには暦月)のずれは、このような問題の発生する時以外でも時々発生する)。上記1851年 - 1852年の中国と日本の違いは、このことによって現れた。しかし、2033年 - 2034年の問題に関連する時期には、日本時間0時台に朔や中気の瞬間が入ることはなく、両国とも朔や中気の日付は全く同一で問題を処理することとなる。

なお、中国においては現在の公式な暦は世界共通のグレゴリオ暦であるが、春節(日本で言う旧正月に相当)が公式の祝日であるため、それの決定のために旧暦(時憲暦)も公的なメンテナンスのもとにある。

インドの太陰太陽暦では、このような場合は月を飛ばす欠月(けつげつ)を認めている。たとえば、1982年は9番目の月の翌月が11番目の月であり、10番目に相当する月が飛ばされて欠月となった。


注釈

  1. ^ これは秋分・霜降・小雪はいずれも朔と同一日であるが(ただし時刻は朔の前)、冬至は直後の朔と日をまたいでしまう(冬至:12/21 22:45、朔:12/22 3:46)ことで、秋分・霜降・小雪は各々直後の朔で始まる暦月に属するのに対し、冬至は直後の朔で始まる暦月には属せず直前の(小雪が属することになった)暦月に属してしまうためである。秋分〜朔は21時間、霜降〜朔は6時間、小雪〜朔は1.5時間、冬至〜朔は5時間であるが、間で日をまたぐのは冬至〜朔の間である。この後、小寒で再び朔と同一日になるが(小寒〜朔は9.5時間)、次の雨水で再び日をまたいで雨水が朔の前日になり(雨水〜朔は9時間)、次の春分で再び朔と同一日になる(この時は中気である春分の方が朔の3時間後になる)。それ以降は、中気の方が遅れていくので問題は発生しない。

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