日産・NV200バネット ラインアップ

日産・NV200バネット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 08:57 UTC 版)

ラインアップ

バン/ワゴン

16S

日本仕様車のNV200バネットはバンとワゴンが発売される。当初、バンは「DX」と「GX」が、ワゴンは「16S」が用意される3グレードであった。「DX」は2列5人乗り仕様、1列2人乗り仕様、1列2人乗りのルートバンタイプ、が設定される。ワゴンの「16S」は3列7人乗りでミニバンの要素を備え、2列目と3列目シートは折り畳んでラゲッジスペースとすることもできる。

VX

ワゴンは2010年10月にラインナップを刷新し、従来設定されていた「16S」は内装をフルトリム化すると共に、カップホルダーや小物入れを2列目・3列目にも追加。フロントフォグランプを標準装備化してグレード名を「16X-3R(3ロウ)」に変更すると共に、同仕様の2列シート車「16X-2R」を新たに設定した。「16X-2R」ではワゴンでは標準装備であったCDプレーヤーをオーディオレス仕様に変更されている。バンについても同年12月に「DX」と「GX」の中間グレードである「VX」が追加された。「VX」は「GX」からシルバー色インサイドフロントドアハンドルフィニッシャー、フロントシート上下調節式ヘッドレスト、助手席シートスライド、ラゲッジフロアカーペット、左側ラゲッジサイドボックスが省かれ、ドアミラーは電動リモコンから可倒式に、シート地はエンボストリコットからトリコットに、フロントシートはローバックシートからハイバックシートにそれぞれ変更される。

GX インテリア

2014年4月に追加された「プレミアムGX」はバン「GX」の装備内容に加え、専用カラードフロントバンパー+ハロゲンフォグランプ、プライバシーガラス(UVカット断熱機能付、スライドドア・リアサイド・バックドア)、両側スライドサイドウィンドウ(フラッシュタイプ)、インテリジェントキー&エンジンイモビライザー、専用フロントグリル、専用フードトップモール、「Premium GX」ロゴの専用エンブレムが追加で装備される。11月にワゴンにも設定され、「プレミアムGX-2R」・「プレミアムGX-3R」として追加。バンとは特別装備内容が一部異なり、ハロゲンフォグランプ(フロントバンパー組込)がベース車に標準装備となり、ステアリングは専用本革巻ステアリングにグレードアップされる。

2018年1月に追加されたバンの4WD車は、2WD車と一部装備内容が異なり、タイヤが前後輪共に175/80R14 99/98N LTに変更され、スペアタイヤに代わりタイヤ応急修理キットが装備され、ジャッキはディーラーオプション設定となり、2WD車ではメーカーオプションの、大型バッテリー、ヒーター付ドアミラー、5人乗り仕様のみリアヒーターダクト、寒冷地仕様クーラント、の寒冷地仕様が標準装備となる。「DX」はメーカーオプション設定の前席パワーウィンドウと荷室天井トリムが標準装備となり、ドアミラーが電動リモコンにグレードアップされる。バン「VX」、「GX」、「プレミアムGX」、ワゴンはカラードバンパーとフルホイールカバーを装備し、バン「プレミアムGX」とワゴンはMTおよび4WDが用意されない。

タクシー

タクシー(日本交通仕様)

2010年12月22日に、日本で車椅子に対応した「NV200バネット タクシー」を発売し[21]日本車で初めて国土交通省が定める「ユニバーサルデザインタクシー」の設定要件を満たした車種に認定される。イエローキャブ仕様車と同様のタクシー仕様車「NV200タクシー」を2015年6月に日本で発売すると、2014年11月26日に発表した。

「NV200タクシー」は、オートスライドドアやステップランプを内蔵した電動式スライドステップを装備し、座席は角度調整機能付の新シートを、リアサスペンションは構造を変更して2枚リーフスプリングをそれぞれ採用し、パノラミックルーフや直流12ボルトの電源ソケットを装備した。

フロントグリルはNV200バネットと異なり、NV350キャラバンなどにも採用されている「Vモーショングリル」を採用し、イエローキャブ仕様車と異なりメッキグリルとなる。ボディカラーは「スーパーブラック(#KH3)」、「ホワイト(#QM1)」、「ブリリアントシルバーメタリック(#K23)」に、特装色の「イエロー」を加えた4色を設定する。価格はセダンタイプのタクシーと同等に設定しており、ガソリン車のほかに、ガソリンLPGの両方を自動または手動で切り替えて走行可能な「LPGバイフューエル車」が設定され、LPGタンクの容量を73リットルに拡大した[22]

既存の「NV200バネット タクシー」はユニバーサルデザイン仕様車として継続販売されており、「NV200タクシー」の販売開始に合わせて、2015年6月にフロントグリルのデザイン変更と特装色「イエロー」を追加する仕様変更を行って「NV200タクシー ユニバーサルデザイン」に改名し、「バネット」のサブネームが外れ「NV200タクシー」のバリエーションモデルに移行した。

車体形状が、それまでのセダンタイプからミニバンタイプに大きく変わったことから、タクシー会社では同車の導入に際し「料金は通常のタクシーと同じです」という告知を行っており[23]、一部の会社では、自動車本体に掲示している。

北米市場において「NV200 TAXI」として販売されていたが、2019年モデルを最後に生産・販売が終了した(後述)。また、ニューヨーク市においては独占供給が予定されていたものの、二転三転し、独占供給契約は破棄されており、現在は市の指定する車両の一部に留まっている。

日本向けについても2021年3月に生産が終了し同社からLPG車が消滅した。以降のタクシー仕様車はセレナおよびノートにて対応となる。

マルチベッド

マルチベッドはワゴンの2列シート車「16X-2R」をベースに、車中泊に対応する為収納式ベッドシステムを備えた仕様である。

2列目シートを倒して付属のベッドボードを設置し、後部のベッド部分を下すことで大人2人まで対応するベッドスペースが出現する。併せて装備されたフロアパネルには撥水性に優れたロンリューム張りが採用されており、ベッド下には収納スペースも確保されている。後部のベッド部分は左右跳ね上げ式、ベッドボードは2分割構造となっており、跳ね上げたベッドの左右の後ろ側にベッドボードを収納することで通常のワゴンと同じように大きな荷物の積載が可能となる。

メーカーオプションとして、テーブル(可倒式、高さ調節機能付)が設定されている。設定した場合、納車時に梱包された状態で積載されているので、ユーザー自身で取り付ける必要がある(工具不要で取り付け可)。また、走行時の使用は不可となる。

2020年1月の一部仕様向上では、ボディカラーで通常のワゴンのラインナップに加え、マルチベッドワゴン専用設定となるパステル調2トーンカラーの「2トーン車体色」が新たに設定され、「2トーンブルー系(ホワイト/ライトブルー 2トーン・#XJM)」と「2トーンイエロー系(ホワイト/アイリッシュクリーム 2トーン・#XJL)」の2種類が設定された。「2トーン車体色」ではベッドシステムとフロアパネルをボディカラー連動の「2トーン車専用色」に設定することも可能である。

ワークユースビークル

ワークユースビークルはバンの「DXルートバン」及び「DX」をベースに、用途に合わせた仕様に変更した商用特装車で、以下の4種類をラインナップする。

  • 保冷バン - 「DXルートバン」をベースに、荷室の全面に断熱材を施した仕様。外気温が庫内に与える影響を軽減し、積荷の温度を保って運搬が可能となる。また、荷物の積み下ろしをスムーズにするため、荷室床面の地上高を低くしている。
  • リフター付バン - 「DX」の2人乗り仕様をベースに、車両後方に折りたたみ式の自動昇降リフターを装備した仕様。350kgまで昇降可能なため、重量物の積み下ろしが容易となる。また、格納時に横方向に開閉する構造となっているため、リフターを使用しない軽い荷物の積み下ろしをする際に妨げない設計となっている。
  • VX2人乗りバン - 「DX」の2人乗り仕様をベースに、「VX」並みの装備や外観デザインとした仕様。2WDのみの設定となる。
  • 外装VX仕様ルートバン - 「DXルートバン」をベースに、カラードバンパーやフルホイールカバーを装備し、「VX」と同等の外装デザインとした仕様。「VX2人乗りバン」同様に2WDのみの設定となる。

海外仕様

欧州仕様車 リア

欧州仕様車については、2009年秋に日本仕様の2人乗りルートバンに相当するモデルが「バン」として、そして乗用および貨客兼用の5人乗りあるいは7人乗りモデルが「コンビ」として発売された。欧州向け独自の仕様として、バン全車とコンビの一部グレードのバックドアが観音開きとなり、セカンドシートの6:4分割格納が可能で利便性が向上している。日本国内仕向けは生産地などの事情からシートバックは分割可倒だが格納は一体式である。2011年1月以降ドイツおよびスイスを皮切りに順次5/7人乗りの乗用モデル「EVALIA」も追加される[24]


注釈

  1. ^ 欧州の商用車に良く見られる、両端がテーパー状に薄くなった単板リーフスプリングのこと。モノリーフは重ね板ばねに比べ、軽く、板間摩擦がないため動きがよく、反発力が急に高まることもない。さらに両端をテーパー状に成型することで微小ストローク域での乗り心地も良くなる。切りっぱなしのばねに比べ成型工程が増えるため、コスト重視の日本車では少数派である。なお、重ね板ばねではあるが、日産は60型系パトロール、および160型系サファリでテーパードリーフスプリングの使用実績を持つ。
  2. ^ ばねが目玉(ブッシュの入る輪)の中心に位置する。テーパードリーフ同様メリットはあるが、曲げ工程が増えるため、これも日本車では少数派。

出典

  1. ^ Nissan NV200 What Van?(英語)
  2. ^ グッドデザインファインダー ミニバン Good Design Award
  3. ^ a b c 日産NV200バネット(FF/4AT)【短評】 webCG
  4. ^ a b NV200: Nissan's new global van makes European debut at Barcelona Motor Show”. Nissan Media Europe (2009年5月11日). 2009年5月11日閲覧。
  5. ^ a b c 郑州日产NV200正式上市 引领中国CDV进入全新时代” (中国語). 鄭州日産汽車 (2010年6月18日). 2013年7月16日閲覧。
  6. ^ a b c Zach Bowman (2012年2月8日). “2013 Nissan NV200 goes after Transit Connect's lunch money”. Autoblog. 2012年2月18日閲覧。
  7. ^ 日産 NV200バネットにロンドンタクシー…2013年から実証実験
  8. ^ “日産、ロンドン名物の「黒タク」新型モデルを公開”. AFP (フランス通信社). (2014年1月6日). http://topics.jp.msn.com/world/general/article.aspx?articleid=2912544 2014年1月8日閲覧。 
  9. ^ “New LEVC TX electric London taxi could be a game-changer”. The Sunday Times Driving (The Sunday Times Driving). (2017年12月5日) 
  10. ^ a b 日産自動車、小型商用車「NV200バネット」発売[リンク切れ] GAZOO.com
  11. ^ 三菱自動車、5ナンバーミニバン『デリカD:3』と小型商用車『デリカバン』を新発売”. 三菱自動車工業プレスリリース (2011年10月6日). 2011年10月6日閲覧。
  12. ^ a b GM to Source Small Cargo Vehicle from Nissan for U.S., Canada Markets”. GM Media Online (2013年5月14日). 2013年5月14日閲覧。
  13. ^ GM シボレー、シティエクスプレス を米国で出荷開始…日産 NV200バネット のOEM”. response.jp (2014年10月27日). 2019年6月1日閲覧。
  14. ^ CHEVROLET CITY EXPRESS DISCONTINUED”. motortrend.com (2018年7月17日). 2019年6月1日閲覧。
  15. ^ a b Nithyanandh K (2013年7月16日). “[All Images and Press Release Updated Carlos Ghosn unveils the Ashok Leyland Stile]”. Indian Autos blog. 2013年7月16日閲覧。
  16. ^ a b Nabanita Singha Roy (2013年7月16日). “Ashok LeyLand Stile India unveil with Carlos Ghosn a day after India Datsun GO shown”. Rush Lane. 2013年7月16日閲覧。
  17. ^ Ashok Leyland Stile MPV launch on October 8”. CarDekho (2013年10月3日). 2019年6月1日閲覧。
  18. ^ Ameya Naik (2015年5月13日). “Ashok Leyland Discontinues the Stile MPV in India”. auto.ndtv.com. 2019年6月1日閲覧。
  19. ^ Ashok Leyland exits MPV segment, plans bus plants overseas”. ETAuto.com (2015年5月13日). 2019年6月1日閲覧。
  20. ^ ネコ・パブリッシング『car MAGAZINE』No.374 今月のちょい乗りレビュー
  21. ^ 「NV200バネットタクシー」を発売 NISSAN PRESS ROOM
  22. ^ 「NV200タクシー」を発表 NISSAN PRESS ROOM
  23. ^ 一例:チェッカーキャブ車両紹介ページより
  24. ^ Nissan Unveils Future Heavy Van In A World Premiere At The 63rd Hanover Motor Show Nissan Media Europe(英語)
  25. ^ 日産自動車:NY市の次世代「イエローキャブ」供給-13年から Bloomberg.co.jp 2011年5月4日
  26. ^ Nissan NV200 Selected As New York City's “Taxi Of Tomorrow” Nissan/Infiniti News Room(英語)
  27. ^ “日産のイエローキャブ、NYで10年間独占供給に危機”. 産経ニュース. (2013年10月26日). オリジナルの2014年6月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140613132421/http://sankei.jp.msn.com/world/news/131026/amr13102614030009-n1.htm 2014年5月7日閲覧。 
  28. ^ 日産自動車、コンパクトな車体に広い積荷スペースを備えた新型LCV「NV200」を2009年度に発売 NISSAN PRESS ROOM
  29. ^ Nissan NV200 is the International Van of the Year 2010”. Nissan Media Europe (2009年11月16日). 2009年11月16日閲覧。
  30. ^ Sagar Patel (2012年1月6日). “Nissan unveils NV200 MVP known as Evalia for Indian auto market at Delhi Auto Show (Photos)”. Rush Lane. 2012年2月18日閲覧。
  31. ^ Sagar Patel (2012年1月10日). “Ashok Leyland - Nissan JV unveil their first passenger vehicle and LCV at Delhi Auto Expo”. Rush Lane. 2012年2月18日閲覧。
  32. ^ Danny Tan (2012年2月18日). “Nissan NV200 Vanette launched – successor to the C22”. paultan.org. 2012年2月18日閲覧。
  33. ^ 日産が新MPV、現調率引き上げで低価格化[車両]”. NNA (2012年6月8日). 2013年7月16日閲覧。
  34. ^ NISSAN LAUNCHES NEW CLASS-LEADING EVALIA IN INDIA”. インド日産 (2012年9月25日). 2013年7月16日閲覧。
  35. ^ 「NV200バネットタクシー LPGバイフューエル」を発売”. 日産自動車 (2013年8月2日). 2013年8月2日閲覧。
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  37. ^ 「NV200バネット ワゴン」の仕様を一部変更”. 日産自動車 (2014年9月3日). 2014年9月3日閲覧。
  38. ^ 「NV200バネット バン」の仕様を一部変更”. 日産自動車 (2014年10月16日). 2014年10月16日閲覧。
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  40. ^ 「NV200バネット バン」の仕様を一部変更”. 日産自動車 (2016年1月18日). 2016年1月19日閲覧。
  41. ^ 「NV200バネット バン」に4WD車を追加”. 日産自動車 (2018年1月19日). 2018年1月19日閲覧。
  42. ^ 「NV200バネット バン」の仕様を一部変更”. 日産自動車 (2018年12月10日). 2018年12月10日閲覧。
  43. ^ 日産自動車、「NV200バネット」を仕様向上”. 日産自動車 (2020年1月9日). 2020年1月9日閲覧。
  44. ^ 車中泊仕様のセレナ「マルチベッド」を発売 あわせて、NV200バネット「マルチベッドワゴン」を一部仕様向上”. 日産自動車 (2020年2月10日). 2020年2月10日閲覧。
  45. ^ 「NV200バネット」を一部仕様向上”. 日産自動車 (2021年7月13日). 2021年9月25日閲覧。
  46. ^ 「NV200バネット」バン4WDモデルを一部仕様向上”. 日産自動車 (2022年9月9日). 2022年9月12日閲覧。






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