日産・スカイラインセダン V37
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概要
2014年2月26日、スカイラインセダンはV37型へフルモデルチェンジが行われた。先代V36型ではV6 2.5LおよびV6 3.7L(2014年2月販売型は3.5L)の2種類のガソリンエンジンを搭載していたが、V37型では販売当初Y51型フーガハイブリッドやシーマハイブリッドと共通のVQ35HR型ガソリンエンジンとHM34型モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載するモデルのみの設定だった。同年5月28日に先代から排気量を2.0Lへダウンサイジングされたターボエンジンを搭載したモデルが新たに設定された[1]。V36型の2.5L車はV37型発売後も仕様変更を行った上で継続販売されていたが、2.0Lターボ車の登場に伴い2014年度にて生産終了となった。なお、4気筒エンジンの搭載は8代目・R32型セダンに設定されていた1.8Lモデルの「GXi」以来5世代ぶりとなる。2019年7月のマイナーチェンジでターボ車がV6 3.0Lのツインターボ仕様へ変更されている。
本モデルは日産自動車の高級車ブランド「インフィニティ」展開地域においてはインフィニティ・Q50として販売される。日本国内にはインフィニティブランドは展開していないため日産の販売店で販売されるが、V37型では2017年12月改良モデルまで、日産のCIではなく、輸出モデルと同様にインフィニティのCIがエンジンヘッドカバーやホイールのセンターキャップといった細部にまで装着されていた。日本向けの日産車にインフィニティのCIが装着されるのはインフィニティ・Q45以来であるが、「インフィニティ」のブランド名称は冠されず、あくまでも正式車名は「日産・スカイライン」である。しかし、各種広告において日産のCIを一切出さず「NISSAN MOTOR CORPORATION」と表記し、日産ブランドからの離脱およびインフィニティブランドへの移行をアピールした[注釈 1][注釈 2]。こういった販売手法を採った理由は、V37型スカイラインが世界基準で開発され、世界に通じる高級セダンであることをアピールするためであった[2][3]。またスカイラインブランドの廃止が提案された役員会における、志賀俊之をはじめとした日本人幹部の「インフィニティQ50」の日本市場を含めた世界統一呼称への反対意見が大きく影響している。副社長のアンディ・パーマー(当時)をはじめとした外国人役員は世界統一呼称を推したが、志賀らは「ネーミングの統一は日本市場を軽視していると取られかねない」と真っ向から反論。結果、CEO(当時)のカルロス・ゴーンは日本市場に限ってQ50の基本的な意匠を変えずにスカイラインのネーミングを踏襲することに決めた[4]。
2019年7月のビッグマイナーチェンジでフロント・リアのバッジ、ホイールのセンターキャップ、本革巻ステアリングのエンブレムが日産のCIに変更された。同時に各種広告において日産のCIを出し、日産ブランドへ復帰した。その理由は、「スカイラインが『技術の日産』の象徴である」ことを再認識し、日産ブランドの車として再定義したためである[5]。尚、Vモーションを核としたフロントマスクは日本市場専用の意匠となる。 そして今回のマイナーチェンジの目玉として、「プロパイロット 2.0」がハイブリッドモデルに搭載された。プロパイロット2.0は、高精度な3次元の地図データ、車の周囲の状況を把握するカメラやセンサーなどを連動させることで実現。ドライバーがすぐハンドルを操作できる状況において、高速道路の同一車線上での手放し運転や前方車両の追い越しが可能となってた。GPS信号の受信できないトンネル内や、急カーブでは従来通りドライバーがハンドルを握る必要があった。
2021年6月12日に日本経済新聞が「スカイラインの開発中止[6]」を報道した。しかし、同年6月15日にて行われた新型車「ノートオーラ」の発表会にて、日産の執行役副社長である星野朝子が「先週末に日本経済新聞でスカイライン開発中止と、日産の象徴、開発に幕というような記事が日経新聞で報道されておりますけれども、そのような意思決定をした事実は一切ございません。日産自動車は決してスカイラインを諦めません。ということでこの場をお借りして申し伝えておきたいと思います」と述べ公式に否定[7]、翌年9月22日に日産CIを現行CIへ更新するなどの小規模な一部仕様変更が発表され[8]、販売が継続されることとなったことで、報道そのものが完全否定される形となった。
2022年、ハイブリッドモデルが生産中止となり、それに伴いプロパイロット2.0を搭載したグレードがスカイラインから消滅した。
注釈
- ^ この手法は、2015年2月に販売を開始したY51型フーガ2015年2月改良型においても採られた。
- ^ 2017年の日産公式サイトリニューアル時には、「NISSAN MOTOR CORPORATION」が外れ、「SKYLINE」のみの表記となっていた。
- ^ 細かなところでは、API規格のエンジンオイルが使用可能となっている[11]。
- ^ 「GT Type SP」のターボ車に「スポーツパッケージ」としてメーカーオプション設定。
- ^ なお、ハンズオフには条件があり、ハンズオフ不可の区間に入る場合には事前にシステムがドライバーに通知するため、ドライバーはハンドル操作を行う必要がある。また、本機能を使うには、NissanConnectサービス『新型スカイライン ハイブリッド専用「プロパイロットプラン」』への入会が必要である
- ^ 2020年11月より木村拓哉に変更。
出典
- ^ a b c d e 『「スカイライン」に、ターボチャージャー付2.0Lガソリンエンジンを追加』(プレスリリース)日産自動車、2014年5月26日 。2014年5月26日閲覧。
- ^ 新型スカイラインのすべて p.18-21
- ^ 新型スカイライン完全ファイル pp.46-47
- ^ “「スカイライン」ブランド廃止 番頭「志賀俊之」は真っ向から外国人役員に食ってかかった”. 産経ニュース. (2014年11月25日) 2015年4月12日閲覧。
- ^ “新型スカイラインは“技術の日産”の象徴 プロパイロット2.0などの搭載新技術をチーフエンジニアが説明”. CAR&レジャーニュース (2019年7月19日). 2019年8月11日閲覧。
- ^ “日産、「スカイライン」開発中止 SUVへシフト”. 日本経済新聞 (2021年6月12日). 2021年7月12日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2021年6月15日). “日産、星野副社長「日産自動車は決してスカイラインを諦めません」とスカイライン開発中止報道を否定”. Car Watch. 2021年7月12日閲覧。
- ^ a b 『「スカイライン」を一部仕様変更』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2022年9月22日 。2022年9月22日閲覧。
- ^ a b c d e 新型スカイラインのすべて pp.50-57
- ^ a b 新型スカイライン完全ファイル pp.24-31
- ^ NISSAN オイル適合表(HKS)
- ^ 【解説】メルセデス製2リッターターボ搭載!日産「新型スカイラインターボ」新型車解説/渡辺陽一郎 オートックワン
- ^ 日産、ダイムラー製直列4気筒2.0リッターターボ搭載の「スカイライン 200GT-t」発表会 Car Watch
- ^ 新型スカイライン完全ファイル pp.50-51
- ^ 八重洲出版 『driver』 2014年8月号
- ^ スカイライン 次世代ターボ車「200GT-t」に「ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロール」をオプション設定 - 日産自動車 2014年11月13日
- ^ ランフラットタイヤが「スカイライン」に新車装着 ニュースリリース | 株式会社ブリヂストン
- ^ ダンロップの高性能ランフラットタイヤが日産自動車株式会社の「SKYLINE」に装着 住友ゴム工業株式会社
- ^ 新型スカイラインのすべて pp.36-43
- ^ 新型スカイライン完全ファイル pp.18-23
- ^ 新型スカイライン完全ファイル pp.14-17
- ^ 新型スカイライン完全ファイル pp.36-39
- ^ 【日産 スカイライン 200GT-t 発表】4気筒エンジンモデルに「GT」と名付けた理由 Response.
- ^ 『「インフィニティQ50」を発表』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2013年1月15日 。2022年1月19日閲覧。
- ^ 『新型「スカイライン」を発表』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2013年11月11日 。2022年1月19日閲覧。
- ^ 『スカイライン 次世代ターボ車「200GT-t」に「ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロール」をオプション設定』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2014年11月13日 。2022年1月19日閲覧。
- ^ 『「フーガ」、「スカイライン」の特別仕様車「クール エクスクルーシブ」を発売 併せて一部仕様を向上』(プレスリリース)日産自動車、2015年12月21日 。2015年12月21日閲覧。
- ^ 『「スカイライン」の一部仕様を向上、自動ブレーキを全グレードに標準装備』(プレスリリース)日産自動車、2016年3月28日 。2016年3月28日閲覧。
- ^ スカイラインのリコールについて - 日産自動車 2016年6月9日
- ^ 『「スカイライン」の期間限定特別仕様車「60th Limited」を発売』(プレスリリース)日産自動車、2016年11月7日 。2016年11月7日閲覧。
- ^ 『「スカイライン」をマイナーチェンジ』(プレスリリース)日産自動車、2017年12月20日 。2017年12月20日閲覧。
- ^ 『日産、世界初の先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載した新型「スカイライン」を発表』(プレスリリース)日産自動車、2019年7月16日 。2019年7月16日閲覧。
- ^ 『2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、「日産デイズ」が「スモールモビリティ部門賞」を受賞、あわせて「スカイライン」が「イノベーション部門賞」を受賞』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2019年12月6日 。2019年12月6日閲覧。
- ^ 『「スカイライン」を仕様向上』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2020年9月14日 。2020年9月14日閲覧。
- ^ "「スカイライン NISMO」、「スカイライン NISMO Limited」を発表" (Press release). 日産自動車株式会社. 8 August 2023. 2023年8月8日閲覧。
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