周術期管理 よくある開腹術後合併症

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 概念 > 管理 > 周術期管理の解説 > よくある開腹術後合併症 

周術期管理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/21 01:04 UTC 版)

よくある開腹術後合併症

術後の発熱

術後2~3日はしばしば微熱を認めるが多くは一過性であり持続、再発する発熱の場合は原因の精査が必要となる。

無気肺、肺炎
術後の発熱の中では最も頻度が高い。無気肺は術後3日以内の早期の持続性の発熱によって疑われる。肺底部に起こりやすく胸部単純X線撮影で診断ができる。体位変換、早期離床、Bi-PAPなどで対応できる。不適切な対応をすると肺炎に進行する。術後肺炎は3~5日に多く抗菌薬の投与が重要である。
創感染
術後4~5日ではじまる発熱が特徴である。創部痛、創部の発赤、腫脹、波動を認めることがある。開放創とし完全なドレナージをはかることが大切である。CTを行うと腹腔内膿瘍を認める場合がある。
静脈カテーテル感染
静脈確保後3~5日後に非常に多い。刺入部の発赤、疼痛が特徴的である。CVの場合は留置後7~10日後におおく38~39度前後のスパイク型の発熱が特徴的である。治療はカテーテルの速やかな抜去、カテーテルの先端の培養や血液培養である。血液培養に時間がかかる場合は臨床的に診断がついたとき即座に対応できるように術後の高度の発熱で血液培養することが多い。しかし、術後の高度の発熱で特に敗血症は疑わない。
尿路感染
膀胱留置カテーテルの留置後5日以降に多い。尿意切迫と血尿、恥骨上部の疼痛が特徴的である。直腸の手術では排尿訓練が必要なので術後1週間程度で抜去することが多いが、通常は術後3日ほどで抜去する。
縫合不全
術後7~10日頃に現れるスパイク型の発熱であり、腹痛、腹部膨満感を伴うことが多い。多くはドレーンの性状や消化管造影、CTなどで診断は可能であるが致死的になることもある。治療はドレナージ、抗菌薬、再手術である。
術後乏尿
一日尿量が500ml以下である場合を乏尿という。術後には尿量が0.5~1.0ml/kg/hourで尿比重が1.010以上であれば腎機能は正常であるという。成人では一日1000ml以上の尿量が必要である(高齢者はもっと低い)。膀胱から尿が出にくいだけか、腎不全で尿が出ないのかは調べておくのが重要である。術後3~4日で尿量が増加してこない場合は感染症を疑う。
術後イレウス
手術によって消化管蠕動は一時的に減弱、消失する。これは生理的イレウスであり48~72時間で回復する。この状態が遷延した場合を術後イレウスという。麻痺性イレウスや癒着性イレウスが多い。術後28日以内に発症するものを早期イレウスといい、それ以降を晩期イレウスという。早期イレウスは大抵は腸管麻痺の遷延と軽い癒着性イレウスであり、下腹部手術後1~2週目に多い。
術後胆嚢炎
術後食事開始から1週間以内に発症することが多い。発熱と上腹部痛を認めるが創部痛との鑑別が困難である。

  1. ^ a b 周術期管理チームテキスト 第3版. 公益社団法人 日本麻酔科学会. (2016年8月10日) 


「周術期管理」の続きの解説一覧




周術期管理と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「周術期管理」の関連用語

周術期管理のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



周術期管理のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの周術期管理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS