化学消防車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/11 04:29 UTC 版)
型式
自治体消防の化学車は以下の型式で表される。
軽化学車
- I型
- II型
- II型は登録台数が最も多く、ポピュラーな化学車。通常、1,300 L以上の水槽と500 Lの薬液槽を装備し、危険物火災の他に、タンク車として一般火災にも十分に対応できるような装備になっている。5 t級シャーシをベースに艤装されることが多い。
重化学車
- III型
- III型は大規模な油脂火災や工場火災にも対応できるような仕様の車両。通常は7 t級シャーシや8 t級シャーシで製作され、1,300 L以上の水槽と1,200 L以上の薬液槽、800型泡放射砲を装備している。
- IV型
- IV型化学車は8 t級シャーシで製作されることが多く、2,000 L以上の水槽と1,600 L以上の薬液槽を装備している。800型泡放射砲を2門装備しているのが特徴。全国的にも配備数は少ない化学車である。
- V型
- V型化学車は10 t級の三軸シャーシで製作され、A-1級ポンプに2,300 Lの水槽、1,800 Lの薬液槽を装備しており、大規模化学火災にも対応できるような仕様になっている。IV型同様全国的に配備数は少ない。管内に空港あるいは石油コンビナート等特別防災地域でない工業地域を持つ消防本部が主に保有している (石油コンビナート等特別防災地域を管轄する消防本部は基本的に後述の大型化学車、大型化学高所放水車を配置しているため)。
大型化学車
- 大I型
- 大型化学車は石油コンビナート等特別防災地域を管轄する消防本部に配置され、化学車3点セットとして大型高所放水車、泡原液搬送車と共に活躍する。石油コンビナートにおける大規模油脂火災に対応するため、通常は、8 t級のシャーシにA-1級のポンプと1,800 L - 2,000 L程度の薬液槽を装備している。ほかの消防車からの送水または有圧水利からの取水を前提に作られているため、水槽は装備されていない車両がほとんどである。出動は滅多にないため車庫の2列目であったり、別車庫で待機していることが多い。更に近年は高所放水車に薬液槽を装備した『大型化学高所放水車』も開発されシェアを伸ばしている。
- 大II型
- いわゆる航空機火災用の大型化学車のことを指す。早く現場に駆けつけ初期消火を行うため、高出力のエンジンとポンプを積み、高速、高加速で走行放水が可能な車両である。近年の空港消防力充実にともない、現在、公設消防には配備されていない。(最後まで公設として残っていたのは成田市消防本部三里塚消防署に配備されていたもの。令和4年3月に現役を引退し、現在は千葉県芝山町にある「航空科学博物館」に展示されている。)
特殊化学車
上記の型式にあてはまらず特殊な化学車も存在する。
- 毒劇物災害対応特殊化学車
- 毒劇物災害用に赤外線分光ガス分析装置、陽圧式化学防護衣を積載し、その上化学車としての機能も積んだ化学車のこと。なお、近年は化学車としての機能を持たずに汚染物質の流入を防ぐため、空気浄化装置により車内を陽圧にできる機能や各種測定・分析機能を有しNBC災害に特化した特殊災害対応自動車の導入が進められており、化学車とは別の特殊災害対策車に分類される。
- 東京消防庁第三消防方面本部及び第九消防方面本部の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)には陽圧機能の他に放射線の透過を防ぐため車体が鉛板や水槽で覆われており、日本で唯一の放射線災害にも対応した特殊災害対策車(大型)が配備されており福島第一原子力発電所事故でも活躍した。
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特殊災害対策車(大型)
東京消防庁第三消防方面本部消防救助機動部隊旧第三本部CS1 (当時)[6]
- 空港用超大型化学消防車
- 空港での航空火災に備えた化学車で前述の大II型と機能はあまり変わらないが大II型より若干、加速力等を向上させている。
- 関西国際空港が開港時にローゼンバウアー社の車両を導入したのをきっかけに、最近では海外からの輸入の空港化学消防車が配備される例も少なくない。
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放水するローゼンバウアー・パンサー(パンター)
- 空港用特殊化学消防車
- 中小規模の空港(飛行場)に配備される化学車のことで航空機の初期消火、乗務員の救出を行う。そのため、別名「救難消防車」とも言われる。
- 粉末消火剤は、そのまま空中に散布することで消火する。水と反応して発火したり、可燃性ガスを生じる禁水性物質に関連する火災の消火に用いる。
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航空自衛隊の破壊機救難消防車
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陸上自衛隊の救難消防車
- ^ “自衛防災組織等の防災活動の手引き”. 危険物保安技術協会. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “化学車”. 東大阪市. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “令和4年版 消防白書 資料”. 総務省消防庁. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “航空自衛隊の消防車①:空自航空基地や飛行場の航空機火災などに対応する「破壊機救難消防車」”. Motor-Fan[モーターファン] (2022年5月7日). 2024年1月11日閲覧。
- ^ 省力型消防車システム | 日本機械工業株式会社
- ^ 2011年の福島第一原子力発電所事故後、東京電力へ提供し新たな車両へ更新された
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