フリーペーパー フリーペーパーの概要

フリーペーパー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/13 15:37 UTC 版)

なお、ここでは主に、新聞に準じた形態か雑誌に準じた形態かを問わず、広告収入を元に無料で配布される、広告ではない記事内容も含んだ印刷媒体について述べる。このような印刷媒体を発行する企業は、「生活情報紙(誌)」などとも称することが多い。また、冊子体で雑誌に準じるものは「フリーマガジン」とも呼ばれる。

概要

本来は、英語free newspaper, freesheet などと称する、新聞に準じた形態のものを指し、「無代紙」「無代広告紙」などと言われていた。しかし、1980年代ころから徐々に雑誌に準じた冊子体のものなども含め、より広い意味で無料の印刷媒体を「フリーペーパー」と総称することが多くなっている。また、本来は、広告ばかりを掲載した集合チラシとは一線を画し、地域情報や生活情報などの記事を掲載していることが特徴とされていたが、「フリーペーパー」という表現の普及とともにそのような意味合いは薄れており、近年では特定企業の宣伝用印刷物のようなものや、非営利団体の広報資料のようなものでも、無料で配布される印刷媒体であれば「フリーペーパー」と称する場合がある。

フリーペーパーは、全ての世帯に到達するわけではない新聞広告や新聞の折り込み、大規模な広告しか行えないテレビに比べ、柔軟に特定の範囲、商圏や購買層に対して全戸配布が可能であったり、逆に、特定の購買層が集まる場所に配布ポスト設置することによって対象を絞った広告が可能になり効率が良いこと、地域に密着した情報を提供し双方向性を保つことができることなどから、第5のマスメディアとして急成長している。

日本では、戦時中に新聞社が国策で統廃合された経緯から、戦後はその反動として地域情報を提供するメディアとして各地で地域紙が発達した。しかし、有料の地域紙は大都市部などでは成立が難しく、存在していても普及率が低く社会的な影響力は限られていることが多かった。その結果、大都市部を中心に、地域の生活情報需要に応じるメディアとして、既存の新聞社が付加価値を高めるために無料の地域新聞や生活情報誌を顧客に配布したり、当初から無料で配布することを目的に制作される新聞が登場した。

フリーペーパーを発行する企業には、背後に新聞社等の有力メディアがいる例や、ノウハウを活かして複数の地域で複数のフリーペーパーを発行しているような例も多い。1971年から各地で発行されて来たサンケイリビング新聞は、その代表的な例である。

2006年4月に日本生活情報紙協会が発表したデータでは、日本全国のフリーペーパー・フリーマガジンの紙数は1000紙(2000版)以上、総発行部数は2億9000部を超えているとされている[1]

コンテンツ

第三種郵便物の条件を満たすために広告が紙面の50%未満でなければならない新聞に比べ、フリーペーパーにおいては記事と広告の区別が曖昧な「記事体広告」と呼ばれる企業メッセージを伝える記事が多く見られる。しかし、ただ漫然と広告を集積したものではチラシとの区別がつかないから、各社ともそれぞれ広告掲載基準や記事編集の指針を掲げており、クライアント側と同様に読者からも一定の客観性を同時に確保しようとしている。

イギリスはじめ欧米諸国や韓国などの都市部では、すでに街頭や地下鉄構内などで配布される無料の日刊新聞が定着している。2002年創刊の"Tokyo Headline"(週刊)をはじめとして、諸外国におけるような都市型の無料新聞が日本に登場したことは、報道にも耐えうる信頼性をフリーペーパーが日本でも獲得しようとしていることを示唆していると見ることもできるが、逆に、今のところ日刊体制の都市型無代紙が日本に存在していないことは、そのような市場環境が未熟であることを示していると考えることもできる。


  1. ^ フリーペーパーの普及状況”. JAFNA(日本生活情報紙協会). 2009年6月8日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年7月27日閲覧。


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