フィアット 日本での歴史

フィアット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/23 06:44 UTC 版)

日本での歴史

1990年代まで

1910年12月、日本人による日本国内での飛行機の初飛行が成功[10]。翌1911年5月には米国人のJ.C.マースが乗る飛行機と、大倉喜七郎のフィアット(100馬力)のスピード・レースが川崎競馬場で早くも開かれた。大倉はマースの飛行機に勝った[11]

第一次世界大戦後より日本への乗用車の輸出を始め、大倉喜七郎率いる日本自動車や、ヤナセが正規輸入販売代理店となり「509トルペード」や「1500ベルリーナ」などの中型車を販売していた。その後1930年代に入ると満州国への輸出も行っていた。1938年(昭和13年)には大日本帝国陸軍イ式重爆撃機を輸入して使用していた。

第二次世界大戦後も乗用車の輸入が行われていたが、いくつかの変遷を経て1980年代に入ると、ジヤクス・カーセールスチェッカーモータース、サミットモータース(住友商事)が正規輸入販売代理店となり、フィアットのみならず、「アバルト」ブランドの車種も輸入販売された。

なおアルファロメオの輸入販売は、イタリア本社の民営化など様々な要素から正規輸入販売代理店が変わり、その中で1980年代中盤には日本国内での正規輸入販売代理店がなくなり、輸入販売が中断することとなった。しかし1988年大沢商会が正規輸入販売代理店となったことで輸入販売が再開された。

フィアットとアルファロメオ、ランチア

フィアットオートジャパンが運営する「アルファロメオ新宿パーク」(現在は閉店済み)
旧アレーゼ中川(現:フィアット/アバルト中川)

1990年代以降は地場資本の企業による輸入販売をやめ、当時他の欧米の自動車会社でも積極的に行われていたように自社の日本法人を設立して、自前での輸入販売への切り替えを進めた。

1990年4月より、フィアットグループオートモービルズは日本法人「アルファロメオジャパン」を設立、アルファロメオ車を販売するディーラー網「アレーゼ」の整備を始めた。同年11月にはアレーゼにおいてフィアット車の取り扱いも開始し、社名を「フィアットアンドアルファロメオモータースジャパン」へと改称した。

さらに1997年の「フィアットオートジャパン」への改称を経て、2007年8月より「フィアットグループオートモービルズジャパン」として、フィアット、アルファロメオおよびアバルト・ブランド車の輸入・販売を行っている。ディーラー網の名称は、2003年以降アレーゼから「アルファロメオ」へと変更され、更に「フィアット」「アバルト」が追加されている。

1998年まではマツダ系列の「オートザム」でも取り扱われていた、ランチアの正規輸入は現在行われていないが、ガレーヂ伊太利屋が並行輸入し販売を行っている。

クライスラー日本との統合

2012年7月1日に、「フィアットグループオートモービルズジャパン」はクライスラーの日本法人でもあり、「メルセデス・ベンツ日本[注釈 2]の子会社でもあった「クライスラー日本」と業務統合し「フィアットクライスラージャパン(FCJ)」を発足させた[12][リンク切れ]

なお、「フィアット・クライスラージャパン」は法人名称ではなく、登記上は別々に存続していた「フィアットグループオートモービルズジャパン」と「クライスラー日本」を一括した呼称としていた。そして2015年1月1日、「フィアットグループオートモービルズジャパン」と「クライスラー日本」の両法人は正式に合併し、社名を「FCAジャパン株式会社」(FCA Japan Ltd.、略称:FCAJ)に変更[13]

販売網の再編成

2016年からは、フィアット・クライスラーのそれぞれの部門で、正規ディーラー網の再編成が行われている。2016年4月1日に、全国の「クライスラー・ジープ」店の名称を「ジープ(+地名)」に変更。同年10月より新CIによる統一店舗デザインが導入される[14]

2016年7月1日から、フィアット正規ディーラーでアバルトブランド全車の取り扱い及びサポートを開始。合わせて、ディーラー名をフィアット/アバルト(+地名)に変更した[15]。2017年より、アルファロメオを新CIの専売店舗で販売する体制を開始[16]。アルファロメオの販売をフィアット/アバルトとの併売体制から切り離し専売制へと移行する。2018年より、フィアット/アバルト販売店にも新CIによる統一店舗デザインが導入される。

フェラーリとマセラティ

フェラーリマセラティは、長年正規輸入販売代理店を経由しての輸入販売が行われていたが、同じく日本法人による輸入販売に切り替えられた。現在フェラーリは2008年に設立された日本法人のフェラーリ・ジャパンが輸入し、「コーンズ・モーターズ」や「ロッソ・スクーデリア」など8社の正規販売代理店が販売している。マセラティは2010年4月に設立された日本法人のマセラティ・ジャパンが輸入し、全国の正規販売代理店が販売を行っている。

ニューホランドとケースIH

かつてはクボタがフィアットブランドのトラクターを輸入していたが、現在は傘下の「ニューホランド」と「ケースIH」のトラクターが、日本法人の日本ニューホランドおよび三菱農機によって輸入されている。

日本法人の再統合

2022年1月に、FCAジャパンとGroupe PSA Japanを合併させ日本法人を統一することが発表された[17]。存続会社はFCAジャパンとなる。

2022年3月1日に、両法人は合併し社名を「Stellantisジャパン株式会社」とし、日本におけるステランティスの経営が完全に統合された。本社機能は旧FCAジャパン側に置かれる[18]。なお、マセラティ・ジャパンは統合の対象外となり、それぞれ現状のまま独立会社として運営される。


注釈

  1. ^ 鉄道車両部門のFIAT Ferroviariaは2000年にアルストム・トランスポール社に買収された。
  2. ^ ダイムラーとクライスラーの協業が解消されたものの、日本では小規模ながらもメルセデス・ベンツ日本がクライスラー日本の経営に携わっていたことから

出典

  1. ^ カーグラフィック』2013年5月号「昂ぶるトリノ フィアット・グループのいま」より
  2. ^ ロゴとオーナメントの変遷
  3. ^ 伊フィアット、自動車部門と産業機械・商用車部門を分離”. ロイター (2010年4月23日). 2013年7月13日閲覧。
  4. ^ 大矢アキオ (2010年4月23日). “フィアットがトラック&トラクター部門を分離”. Response.. 2013年7月13日閲覧。
  5. ^ FIAT Industrial - FAQs The Group”. フィアット・インダストリアル. 2013年7月13日閲覧。
  6. ^ マツダ、フィアットと協業プログラムを発表 (PDF) - 2012年5月23日 マツダ株式会社 フィアットグループオートモービルズ
  7. ^ フィアット、クライスラーを統合 ホンダ超え世界7位に 朝日新聞 2014年1月2日
  8. ^ 新生フィアット・クライスラー、13日にNY市場に上場 - THE WALL STREET JOURNAL 2014年10月10日
  9. ^ “カルソニックカンセイの親会社、マニエッティ・マレリを買収で合意…世界7位の独立系自動車部品メーカーが誕生”. Response. (2018年10月22日). https://response.jp/article/2018/10/22/315306.html 
  10. ^ 第1章 日本人、初飛行へ”. 国立国会図書館. 2024年2月12日閲覧。
  11. ^ 『決定版 昭和史 第3巻』毎日新聞社、1984年8月30日、138頁。
  12. ^ 「フィアット クライスラー ジャパン」が7月1日より始動 7月9日より本社機能を統合移転
  13. ^ 「FCAジャパン株式会社」2015年1月1日誕生! - FCAジャパン 2015年1月1日
  14. ^ ジープの新CIを導入する第一号店「ジープ福岡西」グランドオープン - FCAジャパン 2016年9月23日
  15. ^ フィアット正規ディーラーにてアバルトの販売を開始 - FCAジャパン 2016年6月30日
  16. ^ アルファロメオ専売の正規ディーラー網を全国に構築 - FCAジャパン 2016年10月14日
  17. ^ FCAジャパンとGroupe PSA Japanが統合 ステランティスジャパン設立 アルファ ロメオのSUV「トナーレ」など2022年は13モデル導入へ - Car Watch 2022年1月18日(2022年1月20日閲覧)
  18. ^ Stellantisジャパン誕生 個性豊かな8のブランドを1法人の下に統合 - Stellantisジャパン 2022年3月1日(2022年3月1日閲覧)
  19. ^ 参考リンク


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