デアリング級駆逐艦 配備

デアリング級駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/29 06:26 UTC 版)

配備

本級は1943年から1945年にかけて17隻が発注されたが、第二次世界大戦後の軍縮のために1945年12月に8隻がキャンセルされた。残る8隻は1945年12月から1949年3月にかけて順次に起工されたが、戦後に起工した他の駆逐艦同様、しばらくの間建造が中断され、就役は1950年代まで遅延した。また、当初はバトル級の一部として建造される予定であった「ダナエー」と「デライト」は、本級に設計変更されたものの、予算削減に伴って「ダナエー」の建造は中止され、「デライト」のみが就役した。また、オーストラリアにおいても3隻が建造されており、これらは同国海軍においてヴォイジャー級として運用された。また、1964年2月10日の空母「メルボルン」との衝突事故によって「ヴォイジャー英語版」が失われたことから、英海軍艦であった「ダッチェス」が同年中にオーストラリア海軍へ貸与され、1972年にはそのまま同海軍へ150,000UKポンドで売却された[12]

同型艦

建造地 # 艦名 竣工 退役 その後
英国 D35 ダイヤモンド
HMS Diamond
1952年 2月 1970年 繋留練習艦として運用後、1981年にスクラップ処分
D05 デアリング
HMS Daring
1952年 3月 1971年 1971年中に解体処分
D119 デライト
HMS Delight
1953年10月
D108 デインティ
HMS Dainty
1953年 2月 1972年
D114 ディフェンダー
HMS Defender
1952年12月 1969年 標的艦として運用後、1972年に解体処分
D106 デコイ
HMS Decoy
1953年4月 ペルー海軍に売却、「フェレ」(DM-74)として再就役
D126 ダイアナ
HMS Diana
1954年3月 ペルー海軍に売却、「パラシオス」(DM-73)として再就役
D154 ダッチェス
HMS Duchess
HMAS Duchess
1952年
10月23日
1964年
5月8日
「ヴォイジャー」の喪失に伴い豪海軍へ貸与。
1972年8月に代金150,000UKポンドで同海軍へ売却[12]
豪州 1964年
5月8日
1977年
10月23日
1972~73年に、練習艦に改修。1980年解体[12]
D04 ヴォイジャー英語版
HMAS Voyager
1957年
2月12日
1964年2月10日、空母「メルボルン」との衝突事故により沈没。
この事故により、士官14名、水兵67名、民間人1名の合計82名が死亡[9]
D08 ヴェンデッタ
HMAS Vendetta
1958年
11月26日
1979年
10月9日
1987年、スクラップ処分[10]
D11 ヴァンパイア
HMAS Vampire
1959年
6月23日
1986年
8月13日
1980年~1982年に練習艦に改修。
退役後はオーストラリア国立海洋博物館博物館船として展示[11]

また、一旦は発注されたものの、1945年12月にキャンセルされた艦の予定艦名は以下の通りであった:

  • ダナエー (HMS Danae)
  • デーモン (HMS Demon)
  • ダルウィーシュ (HMS Dervish)
  • デコイ (HMS Decoy) [注釈 4]
  • デライト (HMS Delight)[注釈 5]
  • デスパレート (HMS Desperate)
  • デザイアー (HMS Desire)
  • ダイアナ (HMS Diana)[注釈 6]

また、オーストラリアでも4隻目の「ウォーターヘン(HMAS Waterhen)」が1952年に起工されたが、1954年にキャンセルされ建造中止となっている。


注釈

  1. ^ オーストラリア海軍向けに建造されたヴォイジャー級の3隻はリンボーを1基搭載
  2. ^ アメリカ海軍が1938年度計画で建造したベンソン級では50,000馬力に対して693トンであった[5]
  3. ^ アメリカ海軍の駆逐艦はベンソン級より缶機のシフト配置を導入するとともにボイラー4缶の構成となった。また積極的に蒸気の高温・高圧化を進めたことで機関出力も増強されており、ベンソン級では圧力615 lbf/in2 (43.2 kgf/cm2)、温度825 °F (441 °C)としてバトル級と同等の50,000馬力、1941年度計画のフレッチャー級では圧力は同様であったものの温度を850 °F (454 °C)とし、出力は60,000馬力に達した。ただし機関の小型軽量・高効率化を図ってタービンを高速回転としたこともあり[7]、推進器の回転数が早く、水中放射雑音が大きいという問題があった[3]
  4. ^ D106は当初「ドラゴン」(HMS Dragon)として発注されていた
  5. ^ D119は当初「ディスダイン」(HMS Disdain)として発注されていた
  6. ^ D126は当初「ドルイド」(HMS Druid)として発注されていた

出典

  1. ^ a b 中川務「イギリス駆逐艦史」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、122 -126頁、ISBN 978-4905551478 
  2. ^ a b c d Robert Gardiner, ed (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. p. 505. ISBN 978-1557501325 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Norman Friedman (2012). “New Destroyer Classes”. British Destroyers & Frigates: The Second World War & After. Naval Institute Press. pp. 108-131. ISBN 978-1473812796 
  4. ^ a b c Raymond V. B. Blackman, ed (1954). Jane's Fighting Ships 1953-54. Watts. p. 31. ASIN B000R5B066 
  5. ^ Norman Friedman (2004). U.S. Destroyers: An Illustrated Design History. Naval Institute Press. p. 470. ISBN 9781557504425. https://books.google.co.jp/books?id=Tzp58htKLkEC 
  6. ^ a b 阿部安雄「機関 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、164-171頁、ISBN 978-4905551478 
  7. ^ 阿部安雄「機関 (技術面から見たアメリカ駆逐艦の発達)」『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、156-163頁。 
  8. ^ 高須廣一「兵装 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、172-179頁、ISBN 978-4905551478 
  9. ^ a b Royal Australian Navy - HMAS Voyager (II)
  10. ^ a b c d e f Royal Australian Navy - HMAS Vendetta (II)
  11. ^ a b c d Royal Australian Navy - HMAS Vampire (II)
  12. ^ a b c d Royal Austlaian Navy - HMAS Duchess






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