ツイスト・アンド・シャウト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 07:40 UTC 版)
オリジナル・バージョン
アメリカのR&Bボーカル・グループであるトップ・ノーツは、1961年2月23日にアトランティック・スタジオで「ツイスト・アンド・シャウト」のレコーディングを行なった。編曲はテディ・ランダッツォ、プロデュースはフィル・スペクターが手がけた。リード・ボーカルはハワード・ゲイトンで[1]、伴奏はサクソフォーン奏者のキング・カーティス、ギタリストのバッキー・ピザレリ、ドラマーのパナマ・フランシスによるもので、バッキング・ボーカルでクッキーズが参加している[2]。
『オールミュージック』のリッチー・アンターバーガーは、トップ・ノーツによる演奏について「単調でありふれたR&Bのメロディを持ったラテン系のレイブ」と評している[3]。作曲者の1人であるバート・バーンズは、本作のレコーディングとスペクターによるプロデュースに対して不満を持っていた[4]。
アイズレー・ブラザーズによるカバー
「ツイスト・アンド・シャウト」 | ||||
---|---|---|---|---|
アイズレー・ブラザーズ の シングル | ||||
B面 | スパニッシュ・ツイスト | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチシングル | |||
録音 |
| |||
ジャンル | ||||
時間 | ||||
レーベル | ワンド・レコード | |||
作詞・作曲 |
| |||
プロデュース | バート・ラッセル | |||
チャート最高順位 | ||||
後述を参照 | ||||
アイズレー・ブラザーズ シングル 年表 | ||||
| ||||
アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、1962年5月にシングル盤として発売され、B面には「スパニッシュ・ツイスト」が収録された。プロデュースは、作曲者であるバーンズ(名義はバート・ラッセル)が手がけた。アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、オリジナルよりもテンポを大幅に遅くしていて、3つの上昇するコードでチャチャを思わせるリズムを刻んでいる。また、ボーカル・パートは大幅に作り変えられ、リード・ボーカルの呼びかけに対して、ハーモニー・ボーカルで応えるというコールアンドレスポンスの形式が採られた[3]。
アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、アメリカのBillboard Hot 100で最高位17位を記録し[5]、バンドで初めて上位20位以内にチャートインしたシングルとなった。また、オリジナルも含めて本作が初めてチャートインした例ともなっている。
クレジット(アイズレー・ブラザーズ版)
- ロナルド・アイズレー - リード・ボーカル
- オケリー・アイズレー - バッキング・ボーカル
- ルドルフ・アイズレー - バッキング・ボーカル
- キング・カーティス - サクソフォーン
- エリック・ゲイル - ギター
- トレイド・マーティン - ギター
- コーネル・デュプリー - ギター
- ポール・グリフィン - ピアノ
- チャック・レイニー - ベース
- ゲイリー・チェスター - ドラム
チャート成績(アイズレー・ブラザーズ版)
チャート (1962年 - 1963年) | 最高位 |
---|---|
UK シングルス (Official Charts Company)[6] | 42 |
US Billboard Hot 100[5] | 17 |
US Hot Rhythm & Blues Singles (Billboard)[7] | 17 |
US Cash Box Top 100[8] | 7 |
US Cash Box Rhythm & Blues Singles[9] | 3 |
ビートルズによるカバー
「ツイスト・アンド・シャウト」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トリー・レコードから発売されたシングル盤 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ビートルズ の シングル | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
初出アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
A面 | バック・イン・ザ・U.S.S.R. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
B面 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
リリース | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
録音 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャンル | ロックンロール | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
時間 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レーベル |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作詞・作曲 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ゴールドディスク | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
チャート最高順位 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ビートルズによるカバー・バージョンは、アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンに基づき[10]、リード・ボーカルはジョン・レノンが務めた。1963年に発売した1作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』に収録された。
1963年2月11日にEMIレコーディング・スタジオで行われた録音のレコーディング・エンジニアはノーマン・スミスが担当した。アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の録音に向けて、同日午前10時から約3時間のセッションを3回繰り返し、10時間弱でシングルで既に発表されていた4曲を除く10曲を録音するという計画が立てられた[11]。当日風邪をひいていたレノンは、牛乳と咳止めドロップを飲んで録音に臨んだ[12]。2テイク録音されたうちのテイク1が採用されたが、これはテイク2の録音中にレノンの声が出なくなったためである[13]。
1976年、レノンは本作の録音について「死にそうだった。ずっと歌いっぱなしで、もういつもの声じゃなかった。紙やすりのようにザラザラで、情けない気分になった…。だってもっと上手に歌えたんだから。でも今は平気。この曲を聴くと僕が全力を尽くしていたのがわかると思う」と語っている[14]。
発売
ビートルズによるカバー・バージョンは、アメリカで1964年3月2日にトリー・レコードよりB面に「ゼアズ・ア・プレイス」を収録したシングル盤として発売され、1964年4月4日付のBillboard Hot 100より4週連続で第2位を記録した[15]。アメリカで唯一ミリオンセラーとなったビートルズのカバー曲で、全国レコードチャートで唯一トップ10入りしたビートルズのカバー曲となっている。その後、ヴィージェイ・レコードから発売された『Introducing ... The Beatles』やキャピトル・レコードから発売された『ジ・アーリー・ビートルズ』に収録された。なお、日本でも1964年4月25日臨発としてシングル盤が発売されたが、B面には「ロール・オーバー・ベートーヴェン」が収録された。
イギリスでは『プリーズ・プリーズ・ミー』に収録された後、4曲入りのEP[注釈 1]としてリカットされた。このEPは全英シングルチャートで第1位を獲得した。ビートルズ解散後の1976年6月25日に発売されたシングル盤『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』のB面にも収録された[16]。カナダでは1964年2月3日に発売された同国での2作目のオリジナル・アルバムの表題曲として収録された。
2007年に全英シングルチャートの判定基準が改訂され、ダウンロード販売された楽曲もチャートに登場するようになった。2010年にiTunes Storeにおいてビートルズの全楽曲がダウンロードできるようになると、本作を含めたビートルズの数曲が到達を果たし、中でも本作は最高位48位を記録した[17]。
本作はビートルズの解散後に発売された『ロックン・ロール・ミュージック』、『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス』などのコンピレーション・アルバムや『イマジン (オリジナル・サウンドトラック)』に収録された。
演奏
本作は、1963年10月にロンドン・パレイディアム劇場で開催された『Sunday Night』や1963年11月4日に行なわれた王室主催の音楽演奏会『ロイヤル・バラエティー・パフォーマンス』[18]で演奏され、1964年2月に『エド・サリヴァン・ショー』に出演した際にも演奏されたほか、1964年夏の全米ツアーから1965年の全米ツアーまで、オープニング・ナンバーとして本作の短縮バージョンが演奏された。
1977年に発売された『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』には1965年8月30日のハリウッド・ボウル公演での音源[19]、1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』には『ロイヤル・バラエティー・パフォーマンス』での音源が収録された。
クレジット(ビートルズ版)
※出典[20]
- ジョン・レノン - リード・ボーカル、リズムギター
- ポール・マッカートニー - ベース、バッキング・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - リードギター、バッキング・ボーカル
- リンゴ・スター - ドラム
チャート成績(ビートルズ版)
チャート (1963年 - 1964年) | 最高位 |
---|---|
オーストラリア (Kent Music Report)[21] | 5 |
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[22] | 38 |
オランダ (Single Top 100)[23] | 9 |
ニュージーランド (Lever Hit Parade)[24] | 1 |
ノルウェー (VG-lista)[25] | 7 |
スウェーデン (Kvällstoppen Chart)[26] | 2 |
US Billboard Hot 100[15] | 2 |
US Cash Box Top 100[27] | 1 |
西ドイツ (Media Control Singles Chart)[28] | 10 |
チャート (1986年) | 最高位 |
---|---|
カナダ トップシングルス (RPM)[29] | 16 |
US Billboard Hot 100[30] | 23 |
チャート (2010年) | 最高位 |
---|---|
UK シングルス (Official Charts Company)[17] | 48 |
チャート (1964年) | 最高位 |
---|---|
日本 (ミュージック・マンスリー洋楽チャート)[31] | 8 |
認定(ビートルズ版)
国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
---|---|---|
イタリア (FIMI)[32] | Gold | 25,000 |
イギリス (BPI)[33] | Gold | 400,000 |
アメリカ合衆国 (RIAA)[34] | Platinum | 1,000,000 |
^ 認定のみに基づく出荷枚数 |
- ^ 他には「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」と「蜜の味」と「ゼアズ・ア・プレイス」が収録された。
固有名詞の分類
- ツイスト・アンド・シャウトのページへのリンク