ジョルダン測度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/24 05:22 UTC 版)
ルベーグ測度
前述の通りジョルダン可測な集合の種類はかなり絞られてしまうことがわかる。
例えば区間 [0, 1] に含まれる有理数全体の成す集合は、その境界が [0, 1] 全体となりジョルダン測度零でないから、ジョルダン可測でない訳であるが、直観的には有理数全体の成す集合は可算無限だから「小さい」集合として「大きさ」は零であると思いたい。これは実際には「正しい」感覚なのだが、それはジョルダン測度ではなくルベーグ測度を考えた場合の話である。
前述の通りルベーグ測度はジョルダン可測集合に関する限り、そのジョルダン測度と一致する訳であるが、ルベーグ測度はより広範なクラスの集合に対して定義可能で、たとえば上で述べた区間内の有理数の集合や、有界でない集合あるいはフラクタルのようなものに対してもルベーグ測度が定まる(ルベーグ可測性に関するカラテオドリの判定条件も参照)。また、ルベーグ測度は、ジョルダン測度の場合と異なり、真の測度[注釈 3]を与える。これはつまり、ルベーグ可測集合の可算合併はやはりルベーグ可測である(対して、ジョルダン可測集合の可算合併は必ずしもジョルダン可測でない)ということを意味する。
参考文献
- Emmanuele DiBenedetto (2002). Real analysis. Basel, Switzerland: Birkhäuser. ISBN 0-8176-4231-5
- Richard Courant; Fritz John (1999). Introduction to Calculus and Analysis Volume II/1: Chapters 1 - 4 (Classics in Mathematics). Berlin: Springer. ISBN 3-540-66569-2
関連項目
注釈
- ^ 測度が定義される集合に「可測」と付けるのはよいが、ジョルダン容積(あるいはもっとほかの、有限加法的な「容積」)が定義される集合につけて呼ぶ一般的に受け入れられた呼称は特に存在しない。Munkres (1991)は求長可能な曲線に用いる "rectifiable" を一般にも用いることを提案した(その場合の訳は「求積可能」となるであろう)。他の提案名には、「許容、認容、可容」("admissible": Lang, Zorich); 「被覆可能、敷き詰め可能」("pavable": Hubbard); 「容積を持つ」("have content": Burkill); 「容積付けられた」("contented": Loomis and Sternberg) などがある
- ^ a b 特に、開区間(開矩形)および閉区間(閉矩形)の測度は半開区間に対するものと一致する[3]
- ^ 「現代数学における測度」の意
出典
- ^ Munkres, J. R. (1991). Analysis on Manifolds. Boulder, CO: Westview Press. pp. 113. ISBN 0-201-31596-3
- ^ G. Peano, "Applicazioni geometriche del calcolo infinitesimale", Fratelli Bocca, Torino, 1887.
- ^ Jordan content of an n-cell - PlanetMath.(英語)
- ^ なぜならば、そのジョルダン内測度は補集合が稠密であることから零となるが、他方でそのジョルダン外測度はそのルベーグ測度より小さくならない(実は一致する)から消えていない。
- ^ Volume - PlanetMath.(英語)。なお杉浦光夫『解析入門I』ではこれを体積確定(=ジョルダン可測)の定義としている。
- ^ Orrin Frink (1933-07). “Jordan Measure and Riemann Integration”. The Annals of Mathematics. 2 34 (3): 518-526. ISSN 0003-486X. JSTOR 1968175.
- ^ 二次元の場合は新井仁之『ルベーグ積分講義』p.44証明がある
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