カトレヤ カトレヤの概要

カトレヤ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 11:41 UTC 版)

カトレヤ属
Cattleya gaskelliana
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: ラン目 Orchidales
: ラン科 Orchidaceae
: カトレヤ属 Cattleya
学名
Cattleya Lindl.1821
タイプ種
Cattleya labiata Lindl.
  • 本文参照
Cattleya loddigesii
Cattleya warscewiczii

概要

非常に大輪で派手な花であり、言わば洋ランの代名詞として扱われ、現在では多くの交配種があり、栽培されている。切り花としては華麗さと高級感を演出する。名前はこの属の最初の収集者で最初に栽培で花を咲かせたWilliam Cattleyにちなみ、属の名前として献名されたものである。もともと彼が南米から送ってもらった植物の梱包材として使われていたこの着生植物に興味を持ち、栽培してみたところ予想もしなかった見事な花をつけたため、イギリスの著名な植物学者、ジョン・リンドリーが記載して献名したという逸話が伝わっている。和名としては C. labiata に対してヒノデランというのが牧野富太郎によって与えられている。花の美しさを日の出に見立てたとのこと[1]

これ以降、カトレヤ属は洋ランの代表として注目され、四大洋ランのトップに必ず挙げられる。カトレヤの名はカトレヤ属の植物の総称として使われる。これは当然であるが、この属および近縁属との属間交配も多く行われ、それらはカトレヤの花をより美しいものにするために行われた傾向がある。そのため、それらの属間雑種にはそれ相応の名が与えられてはいるが、一般にはそれらすべてをまとめてカトレアと呼んでいる。なお、近年の分類体系の変更により、その属の境界も変遷をたどっており、カトレヤの名を冠する植物の幅も広くなった面がある。

カトレアを国花としている国はコスタリカである。

形態的特徴

カトレヤは着生植物であり、匍匐茎の節から出る白くて太いうどん状ので樹皮に張り付くようにして生活する。根の表面は白いスポンジ状の死細胞からなる組織で覆われ、雨水や着生した樹木の樹皮を伝って落ちてきた水をすばやく吸収し、その後でゆっくりと内側の生きた組織で吸収する。根の生きた組織は葉緑体を持ち、光合成の能力を持つ。そのため、表面のスポンジ状の組織が水を吸って光の乱反射が起こらなくなると生きた組織が透けて見え、根全体が緑色に見える。

植物体は全体に肉厚で固い。匍匐茎はあまり伸びず数節だけ成長した後にすぐに立ち上がり、多肉質の偽球茎(バルブ)となる。偽球茎はこん棒状でやや偏平・数節からなるが、そのうちの1節だけが長く発達し、先端には1枚だけ或いは2枚のをつけ、これは同じ個体でも個々の偽球茎で変異があることがある。そのため、偽球茎の先端の葉が1枚だけの場合、一見すると太い葉柄を持つ1枚の葉のようにも見える。しかし茎である証拠に、花は偽球茎の先端の葉の根元の内側(腋芽)から出る。偽球茎には多量の水分や栄養分が蓄えられ、間欠的にしか水が得られない樹上の環境に耐えられるようになっている。偽球茎と葉は何年間もの寿命を持ち、株全体で常に数本の偽球茎を持っており、古い偽球茎では葉が枯れて落ちてもなお余命を保ち、水分と栄養分の貯蔵器官として機能している。

成長期になると匍匐茎と偽球茎の境界部の節の腋芽が成長を開始し、新しい偽球茎が立ち上がり葉が伸び始める頃に新しい匍匐茎から新しい根が伸張して樹皮に固着する。この成長期の根の先端部はまだスポンジ状の死んだ組織が分化していないため、みずみずしい緑色をしている。

は偽球茎の先端から出て1~数輪つく。ただしワルケリアナCattleya walkeriana)は葉を生じない特別な偽球形を生じてその先端で開花する。外花被はやや細い楕円形、側弁は幅広い楕円形、唇弁の基部は蘂柱を包むように両端が上に曲がって筒状になり、先の方では卵形に広がり、周囲はひだになってうねり、中央は濃く色づくものが多い。花びらは大きく開き、正面を向く。色は白からピンク系のものが多く、非常に華やかで美しい。


  1. ^ 牧野(1961)p.900
  2. ^ Cattleya
  3. ^ 大場監修(2010),p.16-18


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