インフォームド・コンセント 獣医学領域におけるインフォームド・コンセント

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インフォームド・コンセント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 03:15 UTC 版)

獣医学領域におけるインフォームド・コンセント

獣医師法においては直接の規定はないが、獣医学領域においてもインフォームド・コンセントの概念は必要とされている。ただし、医学領域と異なり、インフォームド・コンセントの対象となるのは治療される動物ではなく、その飼育者である。

訴訟

インフォームド・コンセントの重要性が強調されるにつれ、本来の医療行為等に対する医療不信以外に、説明義務違反についても訴訟が起こされるように改善されてきた。患者の自己決定権や、説明義務違反が争点となった最高裁判所の判例もかなり出てきている[2]

エホバの証人輸血拒否事件

あらかじめ輸血を拒否していたエホバの証人の信者である患者に対して十分な説明を行わず輸血を行った医師と病院に、患者が損害賠償を請求した事件。2000年2月19日、最高裁判所は、宗教上の理由で輸血を拒否する意思決定を行う権利は人格権の一内容として尊重されると認めた上で、十分な説明を行わず輸血を行ったことにより患者の意思決定をする権利を奪い、人格権を侵害したとして、日本国と東京大学医科学研究所付属病院の担当医に対して患者の遺族(患者は一審判決後に死去)へ55万円の支払いを命じる判決を下した。[21][22]

フィクション

  • 白い巨塔……同作で扱われる誤診が最終的には「主人公財前五郎が患者へのインフォームド・コンセントへの不足していた」という形で敗訴となっている。

脚注

参考文献

  • 水野肇『インフォームド・コンセント-医療現場における説明と同意』中央公論新社〈中公新書958〉、1990年1月1日。ISBN 978-4-12-100958-6 
  • 秋山秀樹『日本のインフォームド・コンセント』講談社、1994年11月。ISBN 978-4-06-207118-5 
  • 森岡恭彦『インフォームド・コンセント』日本放送協会出版〈NHKブックス〉、1994年9月。ISBN 978-4-14-001711-1 
  • 唄孝一・宇都木伸・平林勝政編『医療過誤判例百選』(第2版)有斐閣〈別冊ジュリスト140〉、1996年12月。ISBN 4-641-11440-4 
  • 星野一正『インフォームド・コンセント-日本に馴染む六つの提言』丸善〈丸善ライブラリー〉、1997年5月。ISBN 978-4-621-05232-7 
  • 吉原敬典医療経営におけるホスピタリティ価値:経営学の視点で医師と患者の関係を問い直す』(2016年4月、白桃書房・単著)、ISBN 978-4-561-26674-7

関連項目


注釈

  1. ^ 「説明と合意 (informed consent)」と記す場合があれば[6]、「Informed Consent (説明と同意)」と記す場合もある[7]
  2. ^ 本書において「インフォームド・コンセント(informed consent 以下、IC と略)」と記している[11]
  3. ^ 本人の代理として代理決定をした家族の心理的な負担について、(水野 1990, p. 200-202)。
  4. ^ 精神疾患患者の自己決定権がどのような要件の下で制約されるか、憲法学からの考察として、竹中勲「精神衛生法の強制入院制度をめぐる憲法問題」『判例タイムズ』第34巻第5号、判例タイムズ社、1983年2月、50-76頁、ISSN 04385896NAID 40003206077  を参照。
  5. ^ エホバの証人の輸血拒否事件を法的パターナリズム論の視点から考察したものとして、以下を参照。中村直美 『エホバの証人の輸血拒否とパターナリズム』。ホセ・ヨンパルト、三島淑臣編 『法の理論』13、成文堂、1993年。

出典

  1. ^ 川上武『戦後日本病人史』社人法団農山漁村文化協会、2002年、1ページ、ISBN 4-540-00169-8
  2. ^ a b http://medical.nihon-data.jp/archives/1116
  3. ^ a b 松井英俊「インフォームド・コンセントの歴史的展開から得られた患者:医療従事者関係の検討」『看護学統合研究』第5巻第2号、広島文化学園大学、2004年3月、70-73頁、CRID 1050577818268303232ISSN 13460692 
  4. ^ 五十嵐雅哉「医療におけるパターナリズムが正当化され条件」『日本老年医学会雑誌』第41巻第1号、日本老年医学会、2004年1月、9頁、doi:10.3143/geriatrics.41.8ISSN 03009173NAID 10012898485 
  5. ^ a b c d e 江口聡 著「インフォームド・コンセント: 概念の説明」、加藤尚武・加茂直樹 編『生命倫理学を学ぶ人のために』世界思想社、1998年1月、30頁。ISBN 978-4-7907-0690-8 
  6. ^ 笹子三津留, 石川勉, 松江寛人, 山田達哉, 木下平, 丸山圭一, 岡林謙蔵, 田尻久雄, 吉田茂昭, 山口肇, 斉藤大三, 小黒八七郎「早期胃癌に対する局所切除」『日本消化器外科学会雑誌』第23巻第9号、日本消化器外科学会、1990年、2194頁、doi:10.5833/jjgs.23.2191ISSN 0386-9768NAID 130004116429 
  7. ^ 井上裕美「―Informed Consent (説明と同意) ―婦人科内視鏡手術とInformed Consent ―“Great expectaion syndrome”とDay surgery」『日本産科婦人科内視鏡學會雜誌』第16巻第2号、日本産科婦人科内視鏡学会、2000年12月、180-185頁、doi:10.5180/jsgoe.16.2_180ISSN 1884-9938NAID 10020399469 
  8. ^ a b 星野一正「インフォームド・コンセント-考え方と実際:第42回日本透析医学会教育講演より」『日本透析医学会雑誌』第30巻第10号、日本透析医学会、1997年10月、1222頁、doi:10.4009/jsdt.30.1219ISSN 13403451NAID 10004920752 
  9. ^ 伊澤純「医療過誤訴訟における医師の説明義務違反(一)」『成城法学』第62号、東京 : 成城大学法学会、2000年7月、41-123頁、CRID 1050001337473596544ISSN 03865711 
  10. ^ 水野 1990, p. 61-67,「アメリカのインフォームド・コンセント」節
  11. ^ a b 一宮茂子「生体肝移植ドナーが経験したインフォームド・コンセント -ドナーインタビューの分析より」『Core Ethics : コア・エシックス』第8号、立命館大学大学院先端総合学術研究科、2012年、53頁、doi:10.34382/00005540ISSN 1880-0467NAID 110009426552 
  12. ^ シンポジウム 第54回人権擁護大会 2011年10月6日 2018年7月8日閲覧
  13. ^ a b c d 日本医師会 診療情報の提供に関する指針 第2版』日本医師会、2002年10月。 オリジナルの2019年12月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20191203133304/http://www.med.or.jp:80/doctor/member/000318.html 
  14. ^ 名古屋地裁平成19年6月14日、判例タイムズ1266号、271頁。
  15. ^ 浅井篤「インフォームド・コンセントの基本」『健康人間学』第16号、京都大学医療技術短期大学部、2004年、11-15頁、ISSN 09163352NAID 120000896598 
  16. ^ a b 子どもを対象とする看護研究に関する倫理指針(日本小児看護学会)
  17. ^ Reference guide to consent for examination or treatment (second edition), イギリス保健省, (2009-08), https://www.gov.uk/government/publications/reference-guide-to-consent-for-examination-or-treatment-second-edition 
  18. ^ インフォームドアセントを得ると、児の不安・恐怖は和らぐか? 小児から得るのは同意ではなく「賛意」”. 中外医学社(m3.com) (2021年4月6日). 2021年4月6日閲覧。
  19. ^ Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse (1996). This page cannot be found (PDF) (Report). World Health Organization. WHO/MNH/MND/96.9。 [リンク切れ]
  20. ^ 樋澤吉彦「「同意」は介入の根拠足り得るか?:パターナリズム正当化原理の検討を通して」『新潟青陵大学紀要』第5巻第5号、新潟青陵大学、2005年、77-90頁、doi:10.32147/00001138ISSN 1346-1737NAID 110007568924 
  21. ^ a b 2000年2月29日最高裁判決(平成一〇年(オ)第一〇八一号、第一〇八二号平成一二年二月二九日第三小法廷判決)。
  22. ^ a b 『判例時報』1629号、34頁。『判例タイムズ』965号、83頁。
  23. ^ 「患者の権利」の保障は医療現場の改善につながる | TKC全国会 医業・会計システム研究会 | TKCグループ”. www.tkc.jp. 2019年5月25日閲覧。





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