アラゴン語 文法

アラゴン語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 21:40 UTC 版)

文法

地域変種

アラゴン語の4地域変種グループ

地域変種(方言)の分類分けについて、最も受け入れられているのはフランチョ・ナゴーレスペイン語版によるもので、それによるとアラゴン語は4つの地域変種グループに分けられる[4][5]

これらのグループは、それぞれが方言的特徴を有する変種の複合体で、コマルカや集落によってさらに下位の地域変種に分けられる。

表記

正書法

アラゴン語の表記についてはいくつか提案されている:

  • 1987年のウエスカ表記法(grafía de Huesca de 1987):この表記法は、アラゴン語復興運動においてもっとも支持されているが、全てのアラゴン語諸地域変種を考慮していないと指摘されている。1987年にウエスカで開催された第一回アラゴン語正常化会議で決定されたが、以前から幾人かの作家によって使用されていた表記法に類似したものであった。この表記法は、音素を反映したもので、ほぼ一貫した考え方が貫かれているが、語源については考慮されたものとはなっていなかった。例えば(スペイン語で以下のようにあらわされる文字は)、vbbで、chjg(+e)g(+i)chで代表させている。また他にはスペイン語でのñやアクセントの使用法が採用された。2010年、第二回会議で設立されたアラゴン語アカデミアアラゴン語版は『暫定正書法試案』を出版した。このことを受けていくつかのグループや1987年表記法を使用する個人(スペイン語正書法に準じた正書法を使用する方言作家たちを含む)はアカデミアの正書法の使用に踏み切った。
  • SLA表記法(Wikipedia:Biquiprochecto:Grafía/SLA):アラゴン語協会(SLA)アラゴン語版によって2004年に制定。少数の使用にとどまっている。ウエスカ表記法が、スペイン語正書法に準じているとの理由で、それに代わるべく、カタルーニャ語オクシタン語ともいくつかの共通性が認められる、伝統的な中世アラゴン語の表記法への回帰を志向した表記法である。例えば、中世アラゴン語では2つの音素として区別したvbの区別や、同様に中世語では別の音素として区別されたchjg(+e)g(+i)などの区別。ñで表される、硬口蓋鼻音音素のnyへの置き換え(中世語の表記法ではnyは現行のñよりその使用がより広範であった)。また、アクセント符号の使用もカタルーニャ語やオクシタン語に準じたものとなっている。
  • アラゴン語アカデミア正書法:ウエスカ表記法やその対案としてのSLA表記法における一般性の欠如は、言語法の制定の必要性が認識されるようになり、第一回アラゴン語会議で制定された表記法を使用する多くのグループや個人と、ウエスカ表記法の使用を拒絶し続けた地域のグループや個人が、2005年にChuntos por l'Aragonés(「アラゴン語のためにともに」の意)と名付けられた運動を開始した。この運動の目的は言語の統一とアラゴン語のための統制機関設立のために第二回アラゴン語会議の開催を目指すものであった。この運動は2006年のアラゴン語アカデミアの設立へと実を結んだ。言語の正常化に関して様々な意見を有する人々によって構成されたこの新機関は、多くの人々によって受け入れられる正書法の発展のためと標準アラゴン語(variedad estandar)の制定のための多くの団体の意見を認めた。3年以上の期間を経て、2010年2月、最初の成果として『アラゴン語アカデミア暫定正書法試案』を世に問い、それをもとに同年6月には改訂版である『正書法試案』を発表した。この試案は、歴史的事実、アラゴン語アイデンティティ、一貫性、体系性および機能性を考慮したものとなった。この試案においては、まず語源および中世語(vbの語源的区別や、nyの使用など)の形式が考慮された、が、いくつかの場合においては機能性(二重字母として、chjg(+e)g(+i)に対応するchの一般的使用)が優先された。そのほかの面では語形変化の一貫性や体系性(複数形などの動詞変化などで、共通アラゴン語では/θ/と発音され、リバゴルサ方言では/ts/で発音される字母tz)が重視された。

現在のアラゴン語

現在でも、アラゴン語はその中心地で母語として話されている。ピレネー山脈のアラゴン山地や、ソモンタノ、ソブラルベ、リバゴルサといった地区である。主要な都市や町にもアラゴン語の話者がいる。ウエスカ、モンソン、バルバストロ、サビニャニゴ、ハカアイェルベといった町である。

アラゴン語は、ウエスカ、サラゴサ、エヘアデロスカバリェロス、テルエルといった場所では第2言語としても学習されている。最近の調査では、話者はすべて合わせても3万人程度である。

カタルーニャ語との境界地域で話されているリバゴルサ方言は、カタルーニャ語との共通点もみられる。


  1. ^ Aragonese”. SIL (n.d.). 2014年1月19日閲覧。
  2. ^ Altoaragonés en la [Gran Enciclopedia Aragonesa.
  3. ^ Aragonés en [ethnologue].
  4. ^ Nagore, Francho; Gimeno, Chesús (1989). El aragonés hoy. Informe sobre la situación actual de la lengua aragonesa. Huesca: IberCaja/Publicazions d'o Consello d'a Fabla Aragonesa 
  5. ^ Nagore, Francho (1989). Gramática de la Lengua Aragonesa. Zaragoza: Mira Editores 


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