お役所言葉 概要

お役所言葉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/08 08:39 UTC 版)

概要

夢野久作によると、古くは勝海舟が明治政府の言葉の使い方を見て皮肉を言ったという。

故勝海舟翁はこんな意味のことを云ったことがある。
「昔、江戸市中のお布告だの掟書なぞいうものは、みんな人民にわかり易い文句ばかりで書いてあった。それが御維新後になると、急に八釜やかましい漢語になってしまったが、これは人民に政治をわからないものと考えさせて、お上のなさることに口出しさせないために持って来いの妙案かも知れぬ」
と。この言葉を味わって見ると、云うに云われぬ皮肉な意味が出て来て、思わず膝を打つようなところがある。
誰でも自分のわるいことを弁解をして塗りかくすためには、鹿爪らしい漢語を使うものである。勿体らしく構えて、腹の底を見すかされまいとする時も同様で、こんな場合に漢語位便利なものはない。 明治維新後、新政府の権威を見せるために、又は人民を煙に捲いてドンドン改革をして行くためには、法令でも、布告でも、何でも、漢語片仮名で塗りかためて人民の前につき立てて、内幕をのぞかれないようにする必要があった。官僚藩閥は漢語の蔭にかくれて、あれだけのわるいことをした。[1]

1996年、カナダ人著作家のイアン・アーシー(以下「アーシー」という)は自著『政・官・財(おえらがた)の日本語塾』(1996年 中央公論社刊、以下「本書」)の中で「整備文」という言葉を提唱した。「整備」をはじめとする限られた漢語や、一般にはあまり熟していない外来語や難読語・専門用語などを多用するため、堅苦しく抽象的でまわりくどい。そのため、一般庶民は読む気を失うことが多く、国民の政治的無関心を目的として使用されているのではないかとアーシーは疑っている。また、一般市民から上げ足を取られたくないという自治体職員の自衛本能、そして公文書は堅い文書であるべきだという意識から生まれたものだという指摘もある[2]

アーシーが「整備文」の概念に到達したのは、本書によれば「何々候」というかたちで「候(そうろう)」を繰り返す「候文」(江戸時代に多用された)からの類推であるとされる。

このような批判が多いため、一部の自治体では改善の動きがみられるようになった[3][4][5]








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