S500/ S600/ S800
ホンダが4輪車に進出した最初の作品が、1963年10月に発売したS500だった。プロトタイプを62年10月の第9回全日本自動車ショーに参考出品した。356ccエンジンのスポーツ360と492ccエンジンのスポーツ500があった。しかし、実際に市販したモデルは531ccエンジンを積んだS500であり、360は幻に終わった。エンジンには可変ベンチュリーキャブを4連装し、最高出力44ps/8000rpm、最大トルク4.6kg-m/4500rpmを得た。フロントエンジン・リヤドライブで、サスペンションは前ウイッシュボーン/トーションバー、後トレーリングアーム/コイル。ただし。後ろは独創的なレイアウトで、アクスルケースと一体のチェーンケースがトレーリングアームを兼ねた。駆動方式もユニークで、ラダーフレームに固定したデフの両端からローラーチェーンを渡して後輪を駆動した。車重675kg。4速MTで現金正価は45万9000円。
64年3月、606ccになったS600を発売。S500も併売したが、主力はS600に移った。エンジン性能は57ps/8500rpm、5.2kg-m/5500rpmに向上した。サスペンション関係は変更なし。車重715kg。0→400m加速18.7秒、最高速は145km/hといわれた。4速MTで現金正価は50万9000円。65年2月、S600クーペ、SM600クーペ(上級グレード)を発売した。オープンのSM600も現れた。S600クーペの車重は734kgに増えたが、最高速は変わらなかった。0→400m加速は18.8秒で0.1秒遅かった。価格は54万5000円。
65年12月、S800、SM800、S800クーペ、SM800クーペを発売した。エンジン性能は70ps/8000rpmと6.7kg-m/6000rpmに向上、最高速は160km/hを公称し、0→400m加速は16.9秒といわれた。S800のボンネットにはパワーバルジを設けていたが、これは燃料噴射装置の一部をクリアするためだった。しかし、このシステムは導入されなかった。発表して間もなく、S800のリヤサスペンションはリジッド/コイルとなった。66年1月時点でのS800の全国統一現金正価はクーペが69万4000円、ロードスターが65万8000円だった。68年5月、車名がS800Mと変わり、そのときクーペは廃止。このS800Mも1970年7月をもって生産を中止した。ちなみに、生産台数はS500が1363台、S600がクーペを含めて1万3084台、S800が同じく1万1406台といわれる。
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