MERS
別名:中東呼吸器症候群
英語:Middle East respiratory syndrome
2012年半ばに確認された新型コロナウィルスによる呼吸器症候群。2013年5月に「MERS」と命名された。感染源となるコロナウィルスも「MERSコロナウィルス」(MERS-CoV)と名付けられた。
MERSはSARSに似た重症性の呼吸器疾患である。呼吸器以外の臓器にも疾患が生じ、高い確率で死に至る。2012年9月から2013年5月現在までの間にWHOに報告されたMERS患者(確定患者)は44名であったが、このうち22名が死亡している。
MERSの感染者はその後徐々に増え、2014年初旬頃までに200名を超えた。さらに2014年4月になって感染者数が急増、5月時点で570余名に上った。死亡例は170名に上っており、感染者の約30パーセントは死に至っていることになる。
MERSコロナウィルスの感染源としてはラクダが有力視された他、コウモリの可能性もあるとされ調査が急がれていた。2014年5月にサウジアラビア政府はラクダを感染源と見なし、ラクダを扱う事業者などに手洗い、手袋着用などの措置を取るよう呼びかけている。
2015年6月現在、韓国において、前月に中東から帰った男がMERS感染していると確認された。院内感染による二次感染、さらに三次感染が広がり、三次感染による罹患者の死亡例も発生するなど、混乱が拡大している。
関連サイト:
2013年05月24日更新 中東で発生している新種のコロナウイルス感染症について (更新18) - 厚生労働省検疫所 FORTH
2013年05月23日更新 新種のコロナウイルス感染症について (更新17) - 厚生労働省検疫所 FORTH
マーズ【MERS】
読み方:まーず
《Middle East respiratory syndrome》MERSコロナウイルスによる感染症。アラビア半島諸国および同地域への渡航後の発症が報告されている。中東呼吸器症候群。
中東呼吸器症候群
(MERS から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/04 02:56 UTC 版)
中東呼吸器症候群(ちゅうとう こきゅうき しょうこうぐん、英: Middle East respiratory syndrome; MERS〈マーズ〉)は、MERSコロナウイルス (MERS-CoV[注釈 1]) により引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患。2012年に中東へ渡航歴のある症例から発見された新種のコロナウイルスによる感染症であり、イギリス・ロンドンで発見された[1][2][3]。
注釈
- ^ 「SARI」の呼称も使われていたが、2013年5月に「MERSコロナウイルス(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus"(MERS-CoV)という名前に決まった。 英語ではNovel Coronavirus, SARS-like virus, NCoV,といった表現があり、この他、発見したザキ博士が送った試料オランダのエラスムス医療センターの遺伝子解析で新型コロナウイルスであると判明したことからHCoV-EMCHuman Coronavirus-Erasmus Medical Centerとの表記もある。
- ^ 関西福祉大学の勝田吉彰教授は指定感染症の指定を急ぐべきであると述べている。
- ^ 感染方法が不明なので、断言できるわけではない。ただ全員が、中東地域居住か直前に中東地域に滞在していたというかなり強い状況証拠がある。
出典
- ^ “中東呼吸器症候群(MERS)”. 国立感染症研究所. 2014年6月6日閲覧。
- ^ "Acute respiratory illness associated with a new virus identified in the UK" HPA, 23 September 2012
- ^ "Novel coronavirus infection in the United Kingdom" WHO, 23 September 2012
- ^ “中東呼吸器症候群を指定感染症として定める等の政令の施行等について” (PDF). 厚生労働省. 2015年5月26日閲覧。
- ^ “中東呼吸器症候群(MERS)及び鳥インフルエンザA(H7N9)の二類感染症への追加後の対応について” (PDF). 厚生労働省. 2015年5月26日閲覧。
- ^ “WHO、韓国MERS感染拡大は「警告」 緊急事態とみなさず”. ロイター. (2015年6月17日)
- ^ “韓国のMERS、なぜ感染拡大したのか 24人死亡”. 朝日新聞. (2015年6月19日). オリジナルの2015年6月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ ザキ博士による全世界初の公表により認知された。"Novel coronavirus - Saudi Arabia: human isolate" ProMED-mail,2012-09-20 15:51:26
- ^ a b “Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – The Kingdom of Saudi Arabia”. Word Health Organization. 2020年1月16日閲覧。
- ^ a b c d e “中東呼吸器症候群(MERS)について”. 厚生労働省. 2020年2月25日閲覧。
- ^ WHO Press Statement Related to the Novel Coronavirus Situation WHO,May 12,2013
- ^ “MERSウイルス感染源はラクダ、直接の証拠を確認 研究”. AFPBB News. (2014年6月5日)
- ^ “コロナウイルスとは”. 国立感染症研究所 (2020年1月10日). 2020年1月20日閲覧。
- ^ a b “新型コロナウィルス世界的流行の恐れ 死亡率高く、治療薬もない危険な病気”. J-CASTニュース. (2013年5月10日)
- ^ 「新型コロナウイルスNCoVはヒトヒト感染?子供の急速経過(脳炎?)」 新型インフルエンザ・ウォッチング日記 2013-05-06 13:12:55
- ^ 5月8日、フランスで1名、ドバイから帰国、滞在地不明。"Deadly SARS-related coronavirus case found in France for first time"AP,Tronto Star,May 08 2013
- ^ "Novel coronavirus infection - update" May 6,2013,Global Alert and Response(GAR),WHO
- ^ "Novel coronavirus - Eastern Mediterranean(18): Saudi Arabia" ProMED-mail 2013-05-05 18:49:21。2つめの保健副大臣からの直接投稿
- ^ "Novel coronavirus - Eastern Mediterranean(21): Saudi Arabia" ProMED-mail 2013-05-09 10:10:04
- ^ "Novel coronavirus infection - update" 15 May 2013 ,Global Alert and Response(GAR)
- ^ “中東・欧州「新型コロナウイルス」ヒト・ヒト感染で拡大!日本防げるか?”. J-CASTニュース. (2013年5月14日)
- ^ “MERS-CoV cases reported betwen 1 to 31 May 2019”. World Health Organization. 2020年1月16日閲覧。
- ^ 中東呼吸器症候群(MERS)感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨 (更新2) WHO著/厚生労働省検疫所訳 2013年6月27日
- ^ MERS検査を速く正確に 国立感染研、診断体制整え対策 日本経済新聞 2015年6月13日
- ^ 2014年05月30日更新 米国でのMERSコロナウイルス接触者感染は陰性と判明しました 厚生労働省検疫所 2014年05月30日
- ^ a b 2014年05月15日更新 米国で2例目のMERS輸入例が確認されました 厚生労働省検疫所
- ^ 感染症予防法の一部改正について(2014年11月21日公布) Yoshida Pharmaceutical
- ^ 【続報】MERS初期症状、38℃超の高熱例は34%と少なく 日経メディカル 2015年6月23日
- ^ `메르스 지역확산 차단` 자택격리, 제대로 이뤄지나 毎日経済 2015年6月3日
- ^ 新型コロナウィルス(nCoV)MERS による感染症についての情報 立命館保健センター 2013年9月10日
- ^ 국내 첫 '무증상 확진' 초비상…당국 "중동서도 사례있어" 中央日報 2015年6月27日
- ^ a b c “予防薬、京都府大グループが大量精製 既に韓国に配布 ダチョウの卵から取り出す”. 産経新聞. (2015年6月19日) 2015年6月21日閲覧。
- ^ “中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A”. www.mhlw.go.jp. 2020年1月27日閲覧。 “日本環境感染学会 - MERS感染対策委員会”. 日本環境感染学会. 2020年1月27日閲覧。 “2012年新型コロナウイルス(MERS-CoV)に関するよくあるご質問 2013年5月13日更新版”. www.niid.go.jp. 2020年1月27日閲覧。
- ^ Delayed induction of proinflammatory cytokines and suppression of innate antiviral response by the novel Middle East respiratory syndrome coronavirus: implications for pathogenesis and treatment. Journal of General Virology 2013年
- ^ <MERS>20、30代の患者増加…健康だった医師・警察官の状態悪化なぜ=韓国 中央日報 2015年6月15日
- ^ 感染症:インターフェロンα2bとリバビリンの投与はMERS-CoVに感染したアカゲザルの転帰を改善する Nature Medicine
- ^ Ribavirin and interferon therapy in patients infected with the Middle East respiratory syndrome coronavirus: an observational study
- ^ Investigating treatment strategies for the Middle East respiratory syndrome coronavirus The Pharmaceutical Journal 2014年10月20日
- ^ Epidemiological Alert - Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) Pan American Health Organization/WHO 2015年6月5日
- ^ WHO Blood Regulators Network (BRN) - Position Paper on Collection and Use of Convalescent Plasma or Serum as an Element in Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus Response* WHO 2014年
- ^ 松山州徳、「中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染症 (PDF) 」 モダンメディア 2014年 60巻 4号 p.137-142、栄研化学。
- ^ ドラッグリプロファイリングによる中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染を阻害する薬物の同定 東京大学
- ^ Identification of Nafamostat as a Potent Inhibitor of Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus S Protein-Mediated Membrane Fusion Using the Split-Protein-Based Cell-Cell Fusion Assay Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2016年
- ^ ウイルス性肺炎の症状と原因 Gooヘルスケア
- ^ T-705 (favipiravir) activity against lethal H5N1 influenza A viruses 米国科学アカデミー紀要 2009年
- ^ I's eye: 中東呼吸器症候群コロナウイルス ベクトン・ディッキンソン
- ^ WHO Convenes Emergency Committee on MERS Virus Science
- ^ 2012年新型コロナウイルス(HCoV-EMC)重症肺炎の発生について IASR Vol. 33 p. 303-304: 2012年11月号 国立感染症研究所
- ^ 新たなコロナウイルスについて 厚生労働省検疫所 2012年9月
- ^ 中東でSARSに似た新型ウィルス「メッカの巡礼」で感染拡大懸念 J-Castニュース 2012年9月25日閲覧
- ^ 보건의료노조 메르스 상황판(6/25 10:00) 韓国保健医療労組 2015年6月25日
- ^ 취재현장 - '메르스' 국내 첫 확진..치사율 40% Daum 미디어다음 2015年5月21日
- ^ a b 35명 확진자 '메르스 병원' 6개 실명 공개합니다! プレシアン 2015年6月4日
- ^ 中東呼吸器症候群(メールス)対応の現状と対策(アレアハングル形式、朝鮮語)韓国疾病予防対策センター 2015年5月26日
- ^ a b c 메르스와의 전쟁 - 평택성모병원 問病·간병인·의료진 100여명 한곳서 통합관리해야 中央日報 2015年6月5日
- ^ 病院の密閉空間でMERS空気感染の可能性=韓国 中央日報 2015年6月6日
- ^ OZ723 / AAR723 — Asiana Airlines Plane Finder Data
- ^ China says South Korean traveller tested positive for Mers virus South China Morning Post 2015年5月29日
- ^ Punish travellers who lie about their health, Sars expert urges South China Morning Post 2015年6月1日
- ^ a b 韓国でMERS患者12人に…香港でも女性1人に症状 中央日報 2015年5月30日
- ^ a b Hong Kong orders 18 into quarantine after Korean traveller is diagnosed with Mers South China Morning Post 2015年5月29日
- ^ a b 香港全力排查MERS在港接触者 已至少隔离12人 中国新闻网 2015年5月29日
- ^ MERS患者が搭乗したアシアナ機、消毒しないまま名古屋までフライト ハフィントンポスト 2015年06月02日
- ^ (朝鮮語)확진자 탔던 아시아나 여객기, 늑장 통보 탓에 이틀간 그대로 운항(確定者乗ったアシアナ旅客機、先延ばし通報のせいで二日間そのまま運航) 朝鮮ビズ 2015年05月31日
- ^ “韓国、MERS初の死者男女2人 感染者計25人に”. 47NEWS. 共同通信. (2015年6月2日) 2015年6月2日閲覧。
- ^ 메르스 방역, 서울이 뚫렸다… 감염 확진 서울 의사, 시민 1500여명과 접촉 京郷新聞 2015年6月5日
- ^ 【社説】隔離を拒否してゴルフ場行く市民ではMERS勝てない=韓国 中央日報 2015年6月4日
- ^ [속보] 문형표 “메르스 집중 발생 평택성모병원 방문자 연락달라” 東亜ドットコム 2015年6月5日
- ^ 평택 자가격리 70대女, 순창으로 무단 이동해 160명 접촉한 뒤 메르스 검사서 '양성' 朝鮮日報 2015年6月5日
- ^ 격리대상인 순창 확진환자 진료 의사들, 해외 여행 논란…"통보 못받았다" 朝鮮日報 2015年6月8日
- ^ 부천 메르스 양성반응 남성, '병원 밖 감염' 의심 ハンギョレ 2015年6月6日
- ^ 台湾発の訪韓ツアー、キャンセル相次ぐ=MERS感染拡大で 中央社フォーカス台湾 2015年6月3日
- ^ MERSがベトナムに波及しないよう ベトナムの声放送局 2015年6月2日
- ^ ロシア 韓国への渡航自粛呼びかけ NHKニュースWeb 2015年6月9日
- ^ UAE、国民に韓国旅行の自粛を韓国 産経ニュース 2015年6月9日
- ^ 香港・マカオ両政府「韓国への渡航自粛を」=警戒レベル相次ぎ引き上げ
- ^ (朝鮮語)“부산 메르스 환자 14일 숨져”. 朝鮮日報. (2015年6月14日) 2015年6月27日閲覧。
- ^ “141번 환자, 강남세브란스 격리 중 탈출 소동”. 中央日報. (2015年6月15日) 2015年6月27日閲覧。
- ^ “메르스 확진환자 제주도 관광다닌 것으로 확인돼”. 朝鮮日報. (2015年6月18日) 2015年6月27日閲覧。
- ^ MERS 隔離した人たちの中に日本人も NHKニュース 2015年6月15日
- ^ 대구 메르스 환자와 같은 목욕탕 이용 103명 추적 난항 デイリー韓国 2015年6月20日
- ^ (朝鮮語)“‘14일 격리’ 해제된 뒤 첫 확진 환자 발생”. ハンギョレ. (2015年6月22日) 2015年6月27日閲覧。
- ^ “外国人観光客を対象に「MERS保険」…最高約1千万円補償”. ハンギョレ. (2015年6月22日) 2015年6月27日閲覧。
- ^ 뉴스쇼 판 - 메르스 업고 '짝퉁' 살균 소독제까지…유통 일당 적발 中央日報 2015年6月25日
- ^ 메르스 이용 '가짜 살균소독제' 제조·유통 적발 KBS NEWS 2015年6月25日
- ^ “感染危険の追跡に限界 なんと対象5万人! サムスン病院訪問者に届け出要請”. 産経ニュース. (2015年6月19日) 2015年7月2日閲覧。
- ^ 中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A 厚生労働省
- ^ 中東呼吸器症候群(MERS)の国内発生時の対応について 厚生労働省 2015年6月11日
- ^ 【時視各角】我々が「MERS」を逃した理由=韓国(2) 中央日報 2015年6月3日
- ^ 음압 병상 없는데 '거점 병원' 하라니…당혹 SBSニュース 2015年6月11日
- ^ a b '보호복 입었는데' 간호사 메르스 감염 - '보호복 입고도 감염' 이유 있었다 ソウル新聞 2015年6月16日
- ^ a b Jasmine Taylor-Coleman (2020年2月5日). “新型コロナウイルス、正式名称はどうやって決まるのか”. BBC News Japan. 2020年2月6日閲覧。
- ^ “日本環境感染学会 - MERS感染対策委員会”. 日本環境感染学会. 2020年1月27日閲覧。
MERS (2012年-)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 07:42 UTC 版)
「感染症の歴史」の記事における「MERS (2012年-)」の解説
詳細は「中東呼吸器症候群」および「MERSコロナウイルス」を参照 2012年に発見されたMERSコロナウイルスはヒトコブラクダを感染源として、ヒトに感染すると重症肺炎を引き起こした。2012年9月以来、2020年1月現在も流行中である。 2013年5月15日、サウジアラビアの病院の院内感染で「ヒト - ヒト感染」が初めて確認された。2015年韓国でのアウトブレイクでは186人が感染し、36人が死亡した。2019年にもサウジアラビアで14人が感染し、5人が死亡した。 2019年11月までに診断確定患者は2494人、死者858人、約27ヶ国に感染例が波及している。特別な治療法やワクチンはない。
※この「MERS (2012年-)」の解説は、「感染症の歴史」の解説の一部です。
「MERS (2012年-)」を含む「感染症の歴史」の記事については、「感染症の歴史」の概要を参照ください。
- MERSのページへのリンク