シリコンサイクル
シリコンサイクルとは、半導体産業において見られる、約4年の周期を持つ景気循環のことである。
技術革新のスピードが早い半導体産業では、設備投資や在庫管理のタイミングの調整が難しいとされており、製品の世代が変わる時期に、需給と供給のバランスが崩れやすい。好景気には大量に発注が集中して供給が不足するが、不景気には需要が急減して供給過剰となる。
半導体業界における受給の状況を測る指標としては「BBレシオ」(BB ratio)と呼ばれるものがあり、シリコンサイクルの目安として使われる。BBレシオは、主に半導体製造装置業界における出荷額に対する受注額の割合を表している。月次の額では変動が大きいため、業界全体の3カ月平均の受注額を、同期間の出荷額で割って求めることが多い。
以前は、シリコンサイクルに業績が大きく影響を受ける半導体企業が多かったが、最近ではできるだけ落差を抑えるよう各社がさまざまな取り組みを行っている。
ムーアの法則
シリコンサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 03:53 UTC 版)
「Dynamic Random Access Memory」の記事における「シリコンサイクル」の解説
現在では、メモリ半導体メーカー各社は、パーソナルコンピュータの需要が拡大する時期(新しいWindows OS製品が登場するときなど)に合わせて、量産体制を拡大している。一方、過去には「シリコンサイクル」と呼ばれるサイクルが、半導体業界の景気の好不況の循環を主導してきた。パーソナルコンピュータの需要拡大等でメモリ製品が不足すると、価格は上昇する。メモリ半導体メーカーは、上昇した価格と旺盛なメモリ製品への需要に基づいて、将来への投資といった経営判断を下し、生産設備への拡大投資を決定する。このとき、1社が生産設備の拡大を行うだけでなく、ほとんど全てのメモリメーカーが生産設備を拡大するので、生産ラインが完成して量産に移行する頃には需要拡大は既に終わっており、各社の生み出す大量のメモリ製品がほとんど同時期に市場にあふれて価格は暴落する。こういったサイクルを過去に数回繰り返してきたため、日本の総合家電メーカーのように多くの企業は、度々訪れる莫大な赤字に耐え切れず半導体ビジネスから撤退していった。このような経緯から、1990年代中期以降、生き残ったDRAMメーカー各社は、過去の失敗を参考に、将来の需要予測に対して細心の注意を払いながら設備投資を行い、かつ価格操作や供給コントロールを行うことで、シリコンサイクルが起こらないように努めてきた。
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