半導体産業とは? わかりやすく解説

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半導体産業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/21 08:08 UTC 版)

半導体産業(はんどうたいさんぎょう)とは、電子部品である半導体生産販売する産業である。米国を主体に欧州韓国設計開発が行われ、これらの地域アジア地域で生産が行われる傾向がある。2008年平成20年)の世界中の半導体売上高の合計は 2,550億米ドルであった。


注釈

  1. ^ 減価償却の済んだ生産設備も安価なアナログ用半導体の生産には使用されるが、産業の規模は小さなものとなる。
  2. ^ CPUでは次世代製品の開発だけでは短い世代交代のサイクルで遅れをとるため、次々世代製品の開発も同時並行で行われる。
  3. ^ 半導体製造メーカーが向上すべき1つの指標に100%を上限とするイールド(歩留まり)があり、たとえ工場を24時間操業してもファブごと扱えるウェハーの枚数には簡単な計算で求められる限界があり、これらの限られた枚数のウェハーからどれだけ多くの良品ダイ、つまりKGD(Known Good Die)が得られるかが損益に直接結びついてくる。また、半導体の販売においては、ASP(Average Sales Price、平均販売価格)の高低が損益に直接結びついてくる重要な指標である。
  4. ^ デジタルとアナログの混載製品は、1つの半導体ダイ上に両回路を作り込むことを避けて2つのダイを1つのパッケージに封じたものも存在するが、単一のダイ上にデジタルとアナログという異なる種類の回路を1つの半導体ダイ上に構築した製品も一般的になっている。これら2種類の回路を作り込む工程は複雑となり、それぞれの特性を維持したまま量産するにはプロセスと品質管理に高度な技術と経験の蓄積が求められる。
  5. ^ アナログ半導体の分野ではデジタルに対比する用語として「リニアー」又は「リニア」(linear、直線の)と呼ぶことがある。
  6. ^ アナログ半導体の独擅場だった音響用や映像機器用の集積回路もデジタルTVの普及のように情報そのものがデジタル化しているだけでなく、チューナーのような同期回路までソフトウェア・チューナーのようにデジタル化している分野がある。
  7. ^ IDM(Integrated Device Manufacturer)と呼ばれ、米Intel社がその代表である。
  8. ^ ファブレス・メーカーには、クアルコムブロードコムNVIDIAザイリンクスMediaTekマーベル・テクノロジー・グループアルテラコネクサントVIA Technologiesウォルフソン・マイクロエレクトロニクス、Sunplusテクノロジなどがある。
  9. ^ テストとパッケージングを行う世界的なサブコントラクターには台湾の企業が多く、ASE、SPIL、チップモスがある。日本国内では各総合電気メーカーごとに系列の会社が存在する。
  10. ^ 専業ファブには、台湾のTSMCUMC、ドイツ、シンガポールのGLOBALFOUNDRIES、中国のSMIC等があり、他にも中小が存在する。
  11. ^ IPプロバイダーには、英ARM社、米ラムバス社、米MIPS社などがある
  12. ^ 半導体産業の草創期には、半導体製造メーカーが自ら半導体製造装置も開発・製造していたが21世紀現在では分業化されている。
  13. ^ 前工程だけでなくレチクル作成に関わる装置も高額であるがフォトマスク(レチクル)製作を専門に請負う会社への外注が進んでいるため、半導体製造に占めるコストはそれほど大きくない。
  14. ^ フォトマスクの元となるフォトブランクスは日本のHOYA社が世界シェアで他を圧倒している。2006年度の世界市場規模は3,026億円であったとされる。
  15. ^ フォトマスク製作の請負会社とは、日本の凸版印刷大日本印刷であり、これら2社で半導体製造会社の内製分(2-3割)も含めた世界中の全フォトマスク製造の約半分を作っている。
  16. ^ ステッパはドイツのASML、日本のニコンキヤノンの3社でほぼ市場を独占している。ステッパも解像度を維持しながら露光領域を広げるためにレチクルとウェハーを同時に動かすスキャナと呼ばれる装置がある。また、解像度を上げるために露光レンズとウェハーの間に純水などで満たす液浸露光装置も使用されている。
  17. ^ ステッパが開発される以前はコンタクト露光といってウェハー上に直接、フォトマスクを置いて露光させていた。フォトマスクにレジストが付着する可能性があり、作業性だけでなく解像度も望めなかった。2009年現在、ナノインプリントという技術によって再び原版をレジストに接触させる方法が検討されている。
  18. ^ エッチングを行うエッチャーの代表的な製造メーカーは、米ラムリサーチ社、米アプライド・マテリアルズ社、日本の東京エレクトロン社である。
  19. ^ CMP装置の世界的シェアは約7割が米アプライド・マテリアルズ社で、約2割が日本の荏原である。
  20. ^ CMP用スラリーの世界的な供給会社は、米キャボット社、日本のフジミインコーポレーテッド、米ニッタ・ハース社、日立化成、DAナノ、旭硝子、JSR、昭和電工デュポン、など多数が存在する。2006年度の世界市場規模は770億円であったとされる。
  21. ^ CMP装置の研磨布(パッド)には発泡ポリウレタン系の繊維が主に使用される。
  22. ^ プロセス工程に使用される洗浄用薬液の世界的な供給会社は非常に多数が存在する。
  23. ^ LSIテスターにより電気的な動作を確認するための「テストパターン」を作成することも工学分野での研究対象となるほど重要である。高性能デジタル半導体に生じる不良を、無限に近い入出力パターンから、有限の時間内、実際は秒や分の時間内で実行可能で不良の判別に有効なテストパターンを作成する必要がある。
  24. ^ ダイシング工程で使用されるダイサーは、日本のディスコ社が市場を独占している。
  25. ^ マウンティング工程では、マウンターやダイボンダーと呼ばれる装置が使用される。
  26. ^ ワイヤーボンディング工程ではワイヤーボンダーが使用される。
  27. ^ プラスチック以外のパッケージ素材としては、セラミック基板や銅基板も使用して放熱性を高めたものや、封止材としての少量以外はプラスチックを使わずにダイそのものや小型基板であるインターポーザーだけでパッケージがされるフリップチップ実装やCSP(チップ・サイズ・パッケージ)がある。
  28. ^ 米アプライド・マテリアルズ社が世界最大の製造装置メーカーであり、世界の製造装置市場の4分の1近くを占めている。
  29. ^ 検査装置の世界市場では米KLAテンコール社が大きなシェアを持っている。
  30. ^ シリコン・ウェハーの製造では日本の信越化学工業SUMCO(住友金属と三菱マテリアルとの合弁により誕生)の2社がほぼ同規模で、世界市場の7割以上を占めている。
  31. ^ 日本での半導体商社は独立系の他にも半導体メーカーの系列としての半導体商社が存在する。
  32. ^ 32-45nmプロセスで35-40億ドル必要というのは、25,000wspm(Wafer-Start-per-month)程度の量産規模のファブである。
  33. ^ フラッシュメモリが製品として受け入れられはじめた2000年前後は、量産規模もDRAMに比べれば小さく、DRAMで最先端プロセスによる量産を終えた1世代程度古いファブでフラッシュメモリが生産されることが多かったが、2009年現在では価格がそれほど暴落していないフラッシュメモリの生産が先に行われてから、可能であればDRAMの生産が行われる状態になっている。
  34. ^ エルピーダメモリは台湾半導体メーカー3社と合併するという予測もある。
  35. ^ 米インテルは不況下にあっても150億ドルの手元資金から2009年と2010年の2年間で70億ドルの投資を計画していると発表した。
  36. ^ フラッシュメモリの主要メーカーであるサムスン、東芝/サンディスク、ハイニックス、IM Flash Technology(インテルとマイクロンの合弁)などがNANDフラッシュメモリを使ったSSD製品を主に大手PCへの組み込み用途として販売している。
  37. ^ 一般的には工場ごとでプロセス技術に違いがあるため、前工場での生産経験があってもファブを切り替えた直後はイールド(歩留まり)が悪くなる。
  38. ^ HDDに代わるフラッシュメモリの用途拡大やRFタグの普及も期待されている。

出典

  1. ^ a b c d e f 半導体産業新聞編集部著 『半導体業界ハンドブック Ver.2』 東洋経済新報社 2008年4月10日発行 ISBN 9784492092705
  2. ^ 遠藤信裕・他著 『はじめての半導体製造装置』 工業調査会 2002年4月22日初版第1刷発行 ISBN 4769312105
  3. ^ 菊地正典監修 『半導体製造装置』 日本実業出版社 2007年4月20日初版発行 ISBN 9784534042170
  4. ^ 日本放送協会. “半導体メーカーTSMCの熊本県進出 関係深い台湾企業トップが語る | NHK | ビジネス特集”. NHKニュース. 2023年1月21日閲覧。
  5. ^ https://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0410/gartner.htm 米ガートナー社の発表を伝えるインプレス社のニュースページ
  6. ^ 日経エレクトロニクス2009年2月9日号p.123


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