リー脳症
本症は脳基底核、脳幹部に左右対称性の壊死性病変をみる神経病理学的診断名(病理解剖をして、はじめて原因が分かる診断名)でした。しかし、画像診断の進歩により、病変部位が確認できるようになって、臨床診断名となっています。
典型例は乳児期に発症します。発育発達の停止、筋力・筋緊張低下、呼吸障害、知的退行を主症状とします。進行例では筋緊張が亢進することもあります。呼吸不全、るいそうで発症後数年で死の転帰をとることもありますが、中には治療により改善する人もいます。血清、髄液の乳酸値は上昇します。脳CT/MRIで脳基底核や脳幹(脳の中心部にあります)の異常が診断的です(図34)。
本症の原因は一つではありません。ミトコンドリアDNAのATPaseコード領域に変異を持つ患者さん(8,993 番目のT→GあるいはT→C変異など)が約20-30%みられ、それは母系遺伝をとります。ミトコンドリアDNAに変異がない例が多く、それは常染色体劣性遺伝をとると考えられています。リー脳症の約20%の患者さんではミトコンドリアにあるチトクロームc酸化酵素欠損が欠損しています。この場合はミトコンドリアDNAでなく、核DNAがコードするSURF1という遺伝子に変異があります。ミトコンドリア病で核の遺伝子に変異がみつかった珍しい例です。原因が分かったものにピルビン酸脱水素酵素複合体(pyruvate dehydrogenase complex: PDHC)欠損がありますが、これはリー脳症の数%を占めるだけです。ですから、リー脳症の半数以上は原因となる異常が見いだされていないことになります。
治療法としては特別なものはありません。ただ、中にはビタミンB1が著効する例がある(B1依存性PDHC欠損など)ので、ビタミンの投与を行います。またアシドーシス(血液の酸性度が強くなる)にはジクロロ酢酸が効果あります。
典型例は乳児期に発症します。発育発達の停止、筋力・筋緊張低下、呼吸障害、知的退行を主症状とします。進行例では筋緊張が亢進することもあります。呼吸不全、るいそうで発症後数年で死の転帰をとることもありますが、中には治療により改善する人もいます。血清、髄液の乳酸値は上昇します。脳CT/MRIで脳基底核や脳幹(脳の中心部にあります)の異常が診断的です(図34)。
脳の基底核(線条体)に 左右対称性の壊死病変(→) がみえる。 | |
図34:リー脳症の脳CT像 |
治療法としては特別なものはありません。ただ、中にはビタミンB1が著効する例がある(B1依存性PDHC欠損など)ので、ビタミンの投与を行います。またアシドーシス(血液の酸性度が強くなる)にはジクロロ酢酸が効果あります。
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