ハーグ陸戦条約
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ハーグ陸戦条約(ハーグりくせんじょうやく)は、1899年にオランダ・ハーグで開かれた第1回万国平和会議において採択された「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約(英: Convention respecting the Laws and Customs of War on Land, 仏: Convention concernant les lois et coutumes de la guerre sur terre)」並びに同附属書「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」のこと。戦時国際法に関するハーグ条約の一つであり、1907年の第2回万国平和会議やジュネーヴ条約等で改定・拡張され、今日に至る。ハーグ陸戦協定、ハーグ陸戦法規などとも言われる。
注釈
- ^ 被弾した者に著しい苦痛を与えるダムダム弾(弾丸の一種で、命中すると体内で破裂するもの)の使用禁止を明記した条約は、これとは別のダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言(1900年発効)であり、軍事用としての使用禁止のみが明記されている。
- ^ 「50口径(12.7 mm)以上の対物ライフルで人を攻撃するのは国際条約違反」と言われる事がままあるが[要出典]、厳密には本条約及びその他の条約においても、対人攻撃兵器の口径の上限を明示した条文は存在しない。50口径での対人狙撃が「不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること 」に抵触するとする解釈もあり、対人使用をすべきではないとするガイドラインが存在するということである。
- ^ a b 1903年加盟。
- ^ 1904年加盟。
- ^ a b c 1906年加盟。
- ^ a b 1907年加盟。
- ^ 国内において批准をしていない。
- ^ a b 同附属書第44条を留保。
- ^ 同附属書第3条を留保。
- ^ ソ連建国(1922年)以後、ソヴィエト政府は帝政時代に締結された条約をすべて否認した。
- ^ 1917年加盟。
- ^ 遠方から識別可能な物を身につけることは敵に発見されやすくなるため、現在では各国とも低視認性の徽章が用いられているが「遠方から識別可能」の定義は明確ではなく違法とはされていない。
出典
- ^ a b 陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約 - 国立国会図書館 日本法令索引
- ^ 加藤隆之「国際法と国内法の効力関係 : 国民主権・国家主権との関係を基軸として」『亜細亜法学』第48巻第1号、亜細亜大学法学研究所、2013年、33-82頁、ISSN 03886611、NAID 110009595559。
- ^ 原文は同志社大学・主要条約集[1]・陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約[2]を参照
- ^ 本条約第2条に総加入条項があるため、条約外の国が参戦した場合、条約は形式的に失効する。
- ^ 戦争法に関する条約に挿入される条項で、条約の非締約国が一国でも参戦すれば、そのときから交戦国たる締約国相互間にも条約が適用されなくなるという趣旨のもの。締約国でない交戦国との関係で不利にならないようにするため、かつては総加入条項をもつ条約が多かった。小学館・日本大百科全書「総加入条項」(藤田久一)、ブリタニカ国際大百科事典・小項目事典「総加入条項」[3]
- ^ 1940.6.10に英仏宣戦布告
- ^ 東京地方裁判所平成21年12月14日判決、平成19年(ワ)第5951号損害賠償等請求事件。
- ^ 黒崎将広「戦争法秩序の誕生-総加入条項とマルテンス条項の機能的連続性-」(国際関係論研究会、国際関係論研究、2003-03)[4]
- 1 ハーグ陸戦条約とは
- 2 ハーグ陸戦条約の概要
- 3 ハーグ陸戦条約と使用禁止兵器
- 4 条約付属書
- 5 注記
- 6 脚注
陸戦法規
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陸戦法規は陸上作戦における武力行使についての規則であり、現代では主に1977年に署名されたジュネーヴ諸条約第一追加議定書によって規定される。その内容は主に攻撃目標の選定と攻撃実行の規則であり、従来の戦闘教義にも変化を促した。 攻撃目標の選定の原則は、攻撃を行う目標をどのように選定するのかについての原則である。まず攻撃目標は敵の戦闘員か軍事目標に定められる。戦闘員とは紛争当事国の軍隊を構成している兵員であり、陸戦法規における軍事目標とは野戦陣地、軍事基地、兵器、軍需物資などの物的目標である。また攻撃目標として禁止されているものは、降伏者、捕獲者、負傷者、病者、難船者、軍隊の衛生要員、宗教要員、文民、民間防衛団員などの非戦闘員と、衛生部隊や病院などの医療関係施設、医療目的の車両および航空機、教育施設、歴史的建築物、宗教施設、食料生産設備、堤防、火力や水力、原子力の発電所などの軍事目標以外の民用物である。 攻撃実行においては主に3つの規則が存在する。第1に軍人と文民、軍事目標と民用物を区別せずに行う無差別攻撃の禁止を定めている。これによって第二次世界大戦において見られた住宅地や文教施設、宗教施設を含む都市圏に対する戦略爆撃は違法化されている。第2に文民と民用物への被害を最小化することである。軍事作戦においては文民や民用物が巻き添えになることは不可避であるが、攻撃実行にあたっては、その巻き添えが最小限になるように努力し、攻撃によって得られる軍事的利益と巻き添えとなる被害の比例性原則に基づいて行われなければならない。第3に同一の軍事的利益が得られる2つの攻撃目標がある場合、文民と民用物の被害が少ないと考えられるものを選択しなければならない。
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