除皮質姿勢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/16 05:21 UTC 版)
除皮質姿勢は除皮質反応・除皮質硬直・屈曲肢位あるいは口語で「ミイラベビー」(英語の場合)ということもある。除皮質姿勢では、腕(肘関節)は屈曲して胸の上におかれ手(関節)は掌側に屈曲(掌屈)、下肢は伸展し足は内反・底屈(足の裏側へ曲がる)する。痛み刺激でこの姿勢を示すとき、グラスゴー・コーマ・スケールでは「運動機能3点」と評価する。 除皮質姿勢をしめすのには2つの機序がある。 第1は赤核の脱抑制と赤核脊髄路の促通(神経興奮の亢進)である。赤核脊髄路は、頚髄では上肢の屈筋を支配する運動神経を促通する。上肢筋の屈曲にかかわる赤核脊髄路と延髄網様体脊髄路が、上肢筋の伸展にかかわる内側縦束や外側前庭脊髄路および橋網様体脊髄路よりも優勢になるのである。 除皮質姿勢にいたる第2の機序は、下肢の屈筋群を支配する下位脊髄の運動ニューロンを促通するための外側皮質脊髄路が障害されることである。皮質脊髄路が遮断されてしまうと、伸展にかかわる橋網様体脊髄路および内側・外側前庭脊髄路が、屈曲にかかわる延髄網様体脊髄路を圧倒してしまうのである。 前述のような病変が皮質脊髄路と赤核脊髄路の2つに及ぼす影響によって、図のような特徴的な上肢と下肢の姿勢となって現れる。 除皮質姿勢は、大脳半球・内包および視床を含む部位の損傷がある可能性を示唆するが、中脳の損傷である場合もありうる。除皮質姿勢はもちろん重篤な脳損傷の不吉な徴候であるが、除脳姿勢は通常(赤核脊髄路の、そして赤核そのものも含むより下位の脳幹が傷害されている点で)より重篤な損傷がある徴候である。
※この「除皮質姿勢」の解説は、「異常肢位」の解説の一部です。
「除皮質姿勢」を含む「異常肢位」の記事については、「異常肢位」の概要を参照ください。
- 除皮質姿勢のページへのリンク