金熔融物付着土器の出土
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 03:55 UTC 版)
黒川千軒の中心地域である「代官屋敷」に近接するD地点と呼ばれるテラス遺構からは、金粒子が付着した金熔融物付着土器(きんようゆうぶつふちゃくどき)が出土しており、2012年時点で12点が確認されている。金熔融物付着土器の土器としての形態的特徴は器壁が厚く、玉縁状の口縁で、D地点出土のかわらけと同様の特徴をもつことが指摘される。 黒川金山をはじめとする山梨県内外から発見された金熔融物付着土器は、X線透過装置や蛍光X線分析装置(XRF)など微量元素の解析装置を持つ山梨県立博物館で分析が実施され、付着した金粒子の周囲に、金鉱石の不純物に由来すると考えられているビスマスやテルル、タングステンなどの元素が存在し、特にビスマスが多いことが指摘される。 戦国時代の金熔融物付着土器は近年、甲府城下町遺跡や中山金山など甲斐国内外の遺跡から出土事例が相次いでおり、黒川金山にも近い甲州市勝沼の勝沼氏館跡の金加工場跡からも出土している。勝沼氏館跡からは金熔融物付着土器が2012年時点で49点確認され、うち15点にビスマス、亜鉛、テルルなどの元素が確認され、黒川金山の付着不純物と共通点が見られることから、黒川金山から勝沼氏館に輸送されていた可能性も考えられている。 また、これにより、採掘された金鉱石の精錬が行われていたと考えられている。長野県川上村の梓久保金山遺跡でも金熔融物付着土器が出土しており、出土した鉱山臼は黒川型であることも指摘されている。
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