運用事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 14:05 UTC 版)
こうした状況の中、早くも機能別団員の先進的な事例となったものとして、愛媛県松山市消防団などの取り組みが注目を集めている。同消防団では、日ごろ、地域への郵便物配達の業務により地域の状況に長けた郵便局員との連携を図り、郵便局員が消防団員を兼任する郵政消防団員という部隊を創設している。さらに、松山市消防団では市内に在住・通学する大学生を対象として大学生消防団員の制度を設け、消火活動はしないが、主に負傷者への応急措置や外国人への通訳を担う要員として任用する道を開いている。これによって、消防団活動に多様な参加の機会と方法を拡大し、これまで獲得困難とされた若い世代の参加の機会を開くこととなった。 このように今後、機能別消防団員制度の活用次第では、松山市の郵政消防団員、学生消防団員以外のあらゆる業種とのタイアップの可能性も出てこよう。今後のコミュニティがどのように変化し、かつ消防団がその中でどのような役割を果たしていくか。近年の地方分権の推進、三位一体の改革という流れの中で一層の可能性であるとともに地域の安全に向けた課題であるといえる。 今日では日本最大の消防本部である東京消防庁管内、即ち東京都特別区及びその周辺の消防団でも、機能別消防団員を技能団員と称して導入の方向へと向かいつつあり、その他の市町村においても次第に機能別消防団員制度の活用例が散見されるようになってきた。今後、全国においても機能別消防団員には今後制度そのものが定着するか、または災害時に機能するか、基本団員と機能別団員との関係において問題は生じないかなど懸念の声もなくはないが、こうした諸々の課題を克服しつつ、現代の地域社会に適応した制度として定着していくことが期待されている。しかし、こうした事例は依然と稀少であり、機能別消防団員制度が、これからの消防団のあり方に如何に寄与するのかはこれからの課題といえる。
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