運用と退役
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 16:29 UTC 版)
研究が進み核兵器が小型化され、ロケットの性能が向上すると核兵器の主力は核弾頭を搭載した弾道ミサイルとなった。1960年代になり、米国のMark57のような小型核兵器が開発されると核爆弾は小型の航空機にも搭載できるようになり、単座の戦闘爆撃機による核攻撃ミッションが各国の空軍部隊で採用されるようになった。その後、米国のB61のような威力可変型核爆弾が開発されると戦術用途のみならず戦略任務も課せられるようになる。 航空機投下型核爆弾では、核爆発による自機の被害を避けるため特殊な運用が成される。そのひとつであるトス爆撃方法では、航空機は目標直前で急上昇しつつ核爆弾を切り離し、目標上空へ核爆弾を放り上げる。航空機は核爆弾が上昇から落下に移る時間を利用して核爆発の影響圏内から退避する。また投下後にパラシュートがひらき、落下速度を減じるパラシュート減速爆弾では、核爆弾の落下そのものの時間を利用して退避する。 冷戦期の核保有国の空軍は多数の航空機投下型核爆弾を配備し、核攻撃任務を担っていた。しかしながら冷戦が終了すると軍事予算の削減の影響で、これらの核爆弾は1990年代後半から順次退役し、各国とも核戦力を主要な核兵器に絞り込みつつある。そのなかで巨大で目標になりやすく、かつ攻撃に脆弱な空港という施設から運用される航空機による戦略核攻撃部隊は真っ先に削減対象になり、多くの国々で自由落下型航空核兵器が退役した。また航空機発射型巡航ミサイルを運用する爆撃機部隊も一部の国々を除いて退役が進んでいる。
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