赤韋威鎧〈兜、大袖付/〉
主名称: | 赤韋威鎧〈兜、大袖付/〉 |
指定番号: | 255 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1999.06.07(平成11.06.07) |
国宝重文区分: | 国宝 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1領 |
時代区分: | 平安 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 兜と大袖を具備した大鎧である。胴の仕立ては前立挙【まえたてあげ】二段、後立挙【うしろたてあげ】三段、衡胴【かぶきどう】四段とし、草摺【くさずり】は脇楯【わいだて】を含め四間としてその前後を四段、左右を五段下がりとする。札【さね】は黒漆塗【くろうるしぬり】の大型三ツ目札で、要所を鉄革交【てつかわま】ぜとしている。威毛【おどしげ】は赤引染革【あかひきそめがわ】の毛引威【けびきおどし】とする。金具廻りの染韋【そめかわ】は菱襷【ひしだすき】に撫子【なてしこ】丸文、獅子丸文、桜草丸文などである。脇楯の壺板は鉄製二枚矧ぎ、後立挙の二段目中央には総角付鐶【あげまきつけかん】を打っている。 兜鉢【かぶとばち】は鉄製黒漆塗、一〇間の星兜で、鉄の無垢星【むくほし】を一行五点ずつ一〇行並べている。正面には鉄の鎬垂【しのだれ】を一条伏せ、天辺【てつぺん】には金銅八幡座【こんどうはちまんざ】(後補)を打つ。眉庇【まびさし】・吹返【ふきかえし】は獅子牡丹文の染韋包で、大型の金銅据文金物【こんどうすえもんかなもの】を打っている。〓【しころ】は三ツ目札五段下がりで、札の要所を鉄革交ぜとしている。大袖は三ツ目札六段下がりで、仕様は胴に準ずる。また胴に栴檀板【せんだんのいた】・鳩尾板【きゆうびのいた】が付属している。 本鎧はかつて備中国赤木家【あかぎけ】に伝来したもので、兜の眉庇の染韋や金銅据文金物、〓など、一部に鎌倉時代の改変が加えられているものの、総体に製作当初の姿をそのままに伝え、かつ大型三ツ目札を用いる点、草摺を前後四段、左右五段下がりとし、前の裾を分割しない点、菱襷に撫子、桜草、獅子の丸文などの染韋、粒の粗い星を有する小振りな兜鉢など、平安時代後期の大鎧に共通する古様な形制を随所に示す。実用性の高い豪壮な趣を有する大鎧として、昭和四十四年に重要文化財に指定された。すでに国宝に指定されている平安時代大鎧の多くが神前に奉納されたもので、近世以降に大幅な補修を受けているなか、そうした後補の手が加えられずに伝えられた大鎧の遺例として、その価値は甚だ貴重である。 |
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