訴因不特定の主張について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 17:32 UTC 版)
「沖縄国体日の丸焼却事件」の記事における「訴因不特定の主張について」の解説
弁護人は、「起訴状記載の公訴事実には、器物損壊罪の対象たる器物に関し『国旗』と記載しているが、わが国に国旗が存在するか否か、また、いかなる旗が国旗であるのか法制化されておらず確定していない以上、『国旗』という記載は意味不明である。また、威力業務妨害罪の対象たる業務につき競技会のいかなる業務を妨害したのかが明確にされていない。」として、本件公訴提起は訴因が不特定であるから無効であり、公訴棄却すべきである旨主張する。 国旗という用語は、法律等により国家を象徴する旗として用いるべきものと定められた旗をいう場合もあるが、この場合に限らず、事実上国民の多数により国家を象徴する旗として認識され、用いられている旗をいう場合もある。現行法制上、日の丸旗をもってわが国の国旗とする旨の一般的な規定が存しないことは弁護人が指摘するとおりである。しかし、船舶法等では、一定の船舶に国旗を掲揚すべきことなどが定められており、その場合に国旗として用いるべき旗については商船規則(明治三年一月二七日太政官布告第五七号)に基づき、あるいは当然の前提として日の丸旗を指していると解される。このように日の丸旗は、国際関係においては、他国と識別するために法律等により国旗として用いるべきことが定められているといえるが、他方、国内関係において国民統合の象徴として用いる場合の国旗については何らの法律も存せず、国民一般に何らの行為も義務づけていない。しかし、現在、国民から日の丸旗以外に国旗として扱われているものはなく、また多数の国民が日の丸旗を国旗として認識して用いているから、検察官が公訴事実において器物損壊罪の対象物として記載した「国旗」とは「日の丸旗」を指すと理解でき、訴因の特定、明示に欠けるところはない。したがって、訴因の不特定を理由とする公訴棄却の申立はいずれも理由がない。
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