沖縄国体日の丸焼却事件とは? わかりやすく解説

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沖縄国体日の丸焼却事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 19:46 UTC 版)

沖縄国体日の丸焼却事件(おきなわこくたいひのまるしょうきゃくじけん)は、1987年昭和62年)10月26日沖縄県で開催された第42回国民体育大会のうちの少年男子ソフトボール競技会の開始式において、掲揚された日の丸旗知花昌一が引き降ろして燃やした事件。当時は日本の国旗について法整備がされておらず、第一審判決についてマスコミが「日の丸を国旗と認める初の司法判断」として報道したこと[注釈 1]、控訴審では、沖縄戦における集団自決を始めとする沖縄の歴史と現状への認識について、日の丸を焼却した行為が表現行為(象徴的表現)であるかどうかが焦点とされたことから各方面で大きな反響を呼んだ[2][4]


注釈

  1. ^ 正確には、検察官が起訴状において器物損壊罪の対象物を「国旗」と記載し、公判において「国旗とは日の丸旗のことである」と釈明したことに対して、訴因の特定の観点から「検察官が公訴事実において器物損壊罪の対象物として記載した『国旗』とは『日の丸旗』を指すと理解でき、訴因の特定、明示に欠けるところはない。[1]」と判示しただけであり、日の丸旗全般について法的意味を持つ日本の国旗であると判示したわけではない[2][3]
  2. ^ 知花は、第二次世界大戦中の沖縄戦において自身の生まれ育った読谷村にあるチビチリガマで起こった集団自決について調査を勧めていく中で、日の丸旗は国民を戦争に動員するために利用されたものであり、日の丸旗は国旗にふさわしくないと考えるようになった[16]。また、10月25日にチビチリガマへ参拝に来た弘瀬の言動や態度を見て日の丸旗を引き降ろす決心をした、と自著で述べている[17]
  3. ^ 知花は、事前に職員から日の丸旗と共に読谷の非核宣言の旗も上がるという話を聞き、両者を同列に扱うように掲揚されると期待していたが、日の丸旗がメインポールに上がっていたことで、日の丸が勝ち誇っているような、読谷村民の意思を押し潰して嘲笑っているように見えた、と自著で述べている[18]
  4. ^ 知花は、燃えるように日の丸旗を振っただけで見せつける余裕はなかった、と自著で述べている[19]

出典

  1. ^ 第一審判決 1993, p. 117.
  2. ^ a b 中島 1994, p. 14.
  3. ^ 松元剛 (2014年9月). “日の丸事件を裁いた宮城京一さん 沖縄の戦後見つめた憲法論”. 取材ノート. 日本記者クラブ. 2021年9月27日閲覧。
  4. ^ 中村 1996, p. 289.
  5. ^ 高良 1992a, p. 76.
  6. ^ 高良 1992b, p. 16.
  7. ^ 森川 2002, p. 117.
  8. ^ 「引き裂かれた師弟 日の丸焼き捨て事件に有罪判決」『朝日新聞』、1993年3月23日、12面。
  9. ^ チビチリガマ”. 読谷村の戦跡めぐり. 読谷村史編集室へようこそ. 2021年9月27日閲覧。
  10. ^ a b c 「「かりゆし」火消え沖縄の“長い秋”に幕 日の丸事件重い沈黙」『朝日新聞』、1987年11月16日、3面。
  11. ^ 「「平和の像」破壊指示の右翼2人に懲役 那覇地裁が判決」『朝日新聞』、1988年5月30日、12面。
  12. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)『国旗』 - コトバンク
  13. ^ 加藤 2001, p. 32.
  14. ^ a b c d e f 第一審判決 1993, p. 115.
  15. ^ a b c d 控訴審判決 1996, p. 267.
  16. ^ a b c d e f g h 第一審判決 1993, p. 116.
  17. ^ 知花 1996, pp. 17–20.
  18. ^ 知花 1996, pp. 12–13.
  19. ^ 知花 1996, p. 14.
  20. ^ 知花 1996, p. 15.
  21. ^ 知花 1996, p. 42.
  22. ^ 知花 1996, p. 43.
  23. ^ 「日の丸引き降ろし、器物損壊で逮捕」『朝日新聞』、1987年10月27日、30面。
  24. ^ 「日の丸放火男を逮捕 沖縄の海邦国体」『読売新聞』、1987年10月27日、27面。
  25. ^ 「判決録 刑事」『判例時報』第1459号、判例時報社、1993年8月11日、157-162頁。 
  26. ^ 「沖縄国体日の丸焼却事件第一審判決」『判例タイムズ』第815号、判例タイムズ社、1993年7月1日、114-120頁。 
  27. ^ 「「日の丸は国旗として定着」 那覇地裁、「焼き捨て」に有罪判決」『朝日新聞』、1993年3月23日、1面。
  28. ^ 「国旗は「日の丸」を指す 沖縄国体焼き捨て事件 初の司法判断」『読売新聞』、1993年3月23日、1面。
  29. ^ 「判決録 刑事」『判例時報』第1555号、判例時報社、1996年4月1日、140-150頁。 
  30. ^ 「沖縄国体日の丸焼却事件控訴審判決」『判例タイムズ』第901号、判例タイムズ社、1996年5月1日、266-277頁。 
  31. ^ 「被告側が控訴 沖縄・日の丸焼き捨て事件」『朝日新聞』、1993年4月5日、9面。
  32. ^ 「沖縄国体日の丸焼き捨て事件 一審敗訴の知花被告が控訴」『読売新聞』、1993年4月5日、18面。
  33. ^ 「知花被告の控訴棄却 沖縄国体の日の丸焼却で」『朝日新聞』、1995年10月26日、18面。
  34. ^ 「沖縄・日の丸焼き捨て事件 被告の控訴を棄却」『読売新聞』、1995年10月26日、1面。
  35. ^ 「日の丸焼いた男性方に放火」『朝日新聞』、1987年10月28日、15面。
  36. ^ 「日の丸放火男のスーパーに報復」『読売新聞』、1987年10月28日、15面。
  37. ^ 「日の丸焼き捨て事件の知花代表、またスーパー襲われ店に被害」『朝日新聞』、1987年11月4日、27面。
  38. ^ 「日の丸事件また嫌がらせ 沖縄県読谷市のスーパー店内壊す」『朝日新聞』、1987年11月4日、26面。
  39. ^ 「沖縄・読谷村事件、スーパー襲撃の1人を逮捕」『朝日新聞』、1987年11月12日、31面。
  40. ^ 「沖縄・読谷村の平和像粉々 国体の日の丸事件に嫌がらせ?」『朝日新聞』、1987年11月9日、13面。
  41. ^ a b 「沖縄の「平和の像」破壊、右翼2人逮捕」『朝日新聞』、1987年12月21日、13面。
  42. ^ 「平和の像破壊の右翼に実刑判決 那覇地裁」『朝日新聞』、1988年3月10日、19面。
  43. ^ 「「日の丸焼き捨て」逮捕妨害 証拠不十分で無罪」『読売新聞』、1993年5月27日、18面。
  44. ^ 「日の丸焼き捨て「逮捕妨害」 地検が控訴断念」『読売新聞』、1993年6月10日、9面。


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