言語変種
言語変種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 15:10 UTC 版)
ベンガル語の話し言葉に関して、バングラデシュの北東部シレットと、同南東部チッタゴンにおいては、町や村で暮らす人々(ここでは「ジュマ」という焼畑農耕民とは異なるという意味)の間で、他地域のベンガル語話者にはすぐには理解できない、音韻や語彙に特徴を持った方言が生まれている。これらを方言ではない独立した言語であるとみなす立場からは、それぞれ、「シレット語」「チッタゴン語」と呼ばれる。これらを除く狭義のベンガル語の方言は、大まかに Radha、Pundra (Varendra)、Kamrupa、Bangla の4つに分けることができ、イギリスの植民地統治時代の地方区分におおむね合致している。21世紀現在の地域名称で言うと、Radha は西ベンガル州、Pundra は西ベンガル州とバングラデシュの北部、Kamrupa はバングラデシュの北東部、Bangla はバングラデシュの残りの部分に相当する地域で話されている方言である。 バングラデシュと西ベンガル州のベンガル語は、コルカタで用いられるh音がダッカでは脱落し、またいくつかの語彙・発音の差や、バングラデシュ側の方がより実際に発音に近い綴りを用いるなどの違いがあるもののほとんど同じであり、出版や音楽などの交流も支障なく盛んに行われている。この語彙の差は、主に宗教の差によるものであり、イスラム圏であるバングラデシュのベンガル語が、アラビア語やペルシア語からの借用語が多く存在するのに対し、ヒンドゥー教圏であるインドにおいてはこれらの語彙がサンスクリット語由来のものとなっているためである。
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