製法と種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/23 08:38 UTC 版)
「鳥の子紙#名塩鳥の子」も参照 雁皮を主原料とした淡黄色の上質な和紙は鳥の子紙と呼ばれるが、名塩は越前と並んで著名な産地であった。越前ではほかに越前奉書などコウゾ(楮)を原材料とした紙も漉いているが、名塩は雁皮紙のみを漉き続けていたことが特徴である。鳥の子紙の紙質は柔滑で、厚さはさまざまである(厚葉・中葉・薄葉の3種とされる)。襖の幅である半間(約0.9メートル)の間尺に合う(継ぎ目なく貼ることのできる)幅の広い鳥の子紙のことを間似合(まにあい)といい(泥土の混和量の多い鳥の子のことともいう)、襖や屏風に利用された。 名塩紙は、六甲山に自生する雁皮を原料に、粘料にはノリウツギの皮の抽出液を用い、これに名塩周辺で採取される以下のような泥土(神戸層群第二凝灰岩と呼ばれる地層の岩石微粒子)を加えて溜め漉き法で仕上げる。 東久保(とくぼ)土 - 白 天子(あまご)土(尼子土とも) - 微黄 蛇豆(じゃまめ)土 - 薄褐色 カブタ土 - 青(青の泥を「五寸土」とする説明もある) これらの泥土は、紙にに特有の色のほか、防虫性、耐熱性を加え、シミができにくく変色しないという。防虫性の点から薬袋紙(やくたいし)や茶室の腰張り紙に用いられ、また耐熱性の点から箔打ち紙として使われる。また、日焼けせずに長期保存に耐えることから、江戸時代中頃から近畿・中国地方では諸藩の藩札に用いられた。 21世紀初頭現在は、箔打ち原紙や、文化財修復に用いる生漉間似合紙が主な製品である。
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