被曝線量に関する見解と評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 01:32 UTC 版)
「ウェード・アリソン」の記事における「被曝線量に関する見解と評価」の解説
一般に認められている、ICRPの被曝に関する勧告については影響の過大評価であるとの立場をとった。「しきい値あり仮説」の立場で月間100mSv、生涯被曝5000mSv以下では健康に被害をもたらさないとの見解を示し、福島原発事故に対する日本での過剰反応に警鐘を鳴らしたと主張している。こうした見解を示したことにより、アリソンの発言は、反核運動(反原子力運動)などを批判する報道や、温暖化ガスにからめた原発を擁護する論者によって引用されている。なお、アリソンは、2011年10月に自著『放射能と理性』の日本語版出版のおりに訪日した際、自身について、“これまで1度も原子力業界と密接な関係を持ったことのない純粋な1人の物理学者”と述べている。 著書『放射能と理性』に関する肯定的な評価として、インペリアル・カレッジ・ロンドンの最高責任者であったエリック・アッシュは「この本の結論に全く賛成であり、一般の読者に近づきやすい形で提供されていることがわかって大変嬉しい」と評し、英国の作家であり科学著述者のブライアン・クレッグ、英国物理学会が出版するCERNに関連したニュースや出来事を扱う月刊誌「CERN Courier」なども賛意を寄せた。 一方、否定的な評価としてJournal of Radiological Protectionの書評では「本書は専門書ではなく、一般大衆を対象として『被曝の脅威はそれほど大きくない』とする説が紹介されている。単純で、レトリックに富んだ、誤解を招くような内容で自分の意見を説いている。また異なった事象を強引に関連付け、技術的というより技巧的論説を繰り広げている」と評した。 Journal of Radiological Protectionが紹介した『放射能と理性』についての書評の原文 “His view of less threatening effect of the ionizing radiation, is much less accepted concepts. This book is targeted general public not scientific community and intended to winning support over to his point of view by the exercise of rhetoric and simplistic, misleading analogies.” “The concept of negotiation between stakeholder groups with different interests or of consensus building to agree a way forward does not get much attention.” “Another concept that is fundamental to the author’s argument is that of non-linear responses. His arguments are primarily rhetorical rather than technical.”
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