花成への転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:18 UTC 版)
ABCモデルが適用される花器官形成に先立って、栄養成長期から生殖成長期への移行が起こる。この移行は植物の生命周期における劇的な変化、それもおそらく最も重要な変化を伴う。というのも、確実に子孫を残すためにはこの移行が正しく遂行されることが必須だからである。その過程は花序のメリステムが誘導され発生することに特徴づけられる。この花序メリステムが花の集合、あるいは場合によってはただ一つの花を作り出すのである。以上のような花の形態形成の開始には内的要素と外的要素の両方が影響を与える。例えば、この変化が開始されるには、その時点で植物体が一定数の葉をつけていなくてはならず、また植物体全体のバイオマスが一定量に達している必要がある。ある特別な光周期(例えば、長日条件など)などの環境条件も必要とされる。植物ホルモンもこの過程で大きな役割を果たしており、特にジベレリンの働きが重要とされる。 この過程を分子生物学的に制御するシグナルは多数知られている。 とくにFLOWERING LOCUS T (FT)、 LEAFY (LFY)、そしてSUPPRESOR OF OVEREXPRESSION OF CONSTANS1 (SOC1、AGAMOUS-LIKE20とも。)という3つの遺伝子がモデル植物のシロイヌナズナにおいて、花成への転換において一般的で独立した機能を持つとされる。SOC1は「MADSボックス」と呼ばれるタイプの転写因子で、光周期、春化、ジベレリンに対する応答を統合する役割を果たすとされている。
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